[要旨]
バーナードは、組織の3つの要素として、コミュニケーション、貢献意欲、共通目的を挙げています。しかし、これは、一般的に使われている意味での組織の要素ではなく、バーナードのいう組織である、「組織に属する人々を動かすしくみ」の要素であるということに注意が必要です。
[本文]
前回、バーナードの定義する組織について説明しました。今回は、バーナードのいう、組織の3要素について説明します。(もし、ご関心がある方は、組織の3要素について解説している、Podcast番組もお聴きください。→ https://apple.co/3s1Gwgy )バーナードは、「お互いに意思を伝達できる人々がいて、その人々は活動することによって貢献しようとする意思を持ち、共通の目的を成し遂げようとするときに、組織は成立する。したがって、組織の要素は、コミュニケーション、貢献意欲、共通目的である」と述べています。この、バーナードのいう組織の3要素は、よく知られていますので、これまで目にした方も多いでしょう。
その一方で、「組織の要素なのに、その中に『人』が含まれていないのはどうしてなのだろう?」という疑問を感じている方もいるのではないでしょうか?でも、前回、説明したとおり、バーナードの定義する組織は、「組織に属する人々を動かすしくみ」のことなので、その中に、「人」は含まれていません。ですから、「組織」を「組織に属する人々を動かすしくみ」に置き換えると、「組織に属する人々を動かすしくみの要素は、コミュニケーション、貢献意欲、共通目的である」ということになり、この文章であれば、すんなり理解できるでしょう。
ところで、この3つの要素について、あらためて説明すると、組織は、ひとりでは達成できないことを複数の人が集まって成し遂げるときに必要とされるものです。そこで、その集まった人々にとっての共通の目的があるということになります。そして、その共通の目的を成し遂げるために人々が集まるわけですから、その人たちが自分を犠牲にして目的達成のために貢献しようとする意思があるということになります。さらに、共通目的と貢献意欲の間に入り、両者を結びつけるものがコミュニケーションということです。今回はここまでとしますが、次回は、さらに組織について掘り下げ、「組織の均衡」について説明します。