[要旨]
銀行が融資をしている会社の経営者に連帯保証人になってもらう理由には、経営者の方に、融資返済に忠実に努めて欲しいという規律づけの意味合いがあるので、事業が組織的に行われているなど、銀行から高い信頼を得られる状態にならなければ、解除に応じてもらうことは難しいでしょう。
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今回も、Clubhouseでご相談を受けた内容なのですが、融資取引に関する経営者保証の解除についてシェアしたいと思います。銀行から融資を受けている会社の経営者の方の多くは、経営者保証を解除して欲しいと考える方は多いようです。そのことは積極的に行うべきと私も考えるのですが、経営者保証について正しく認識していないと、解除の要請に応じてもらうことは時間がかかると思います。
というのは、経営者保証の解除に、手続きだけでアプローチしようと考える方が多いようです。すなわち、民法の改正や、経営者保証ガイドラインで、経営者保証に関してどのように規定されているのかということにのみ目を向けてしまいがちということですう。それよりも、なぜ、銀行がなぜ経営者保証を求めるのかという意義について理解した上で、解除の要請を行うことの方が、効果的です。
では、具体的にはどうすればよいのかというと、まず、経営者保証は、形式的には経営者に対して、融資を連帯して返済することを求めるものですが、実態は、規律づけをするという意味合いが強いということを理解することです。規律づけとは、「銀行が、貴社に期待をして融資を行いますから、経営者として真摯に事業の発展と、融資の返済に努めてください」という要請に対し、経営者の方がそれに応じたということが客観的に分かるようにしておくということです。
そこで、事業が順調に発展していき、会社と経営者個人では、きちんと財布が分かれている状態になっていること、事業運営は組織的に行われてるようになっていることなどが銀行に伝わる状態になれば、銀行も経営者保証は不要と判断できるようになります。このような、銀行に、より高い信頼を得られるような状況を示すことができないうちは、経営者保証の解除の要請をしても、銀行としては、それに応じようとすることは難しいでしょう。