鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

利益が増えると資産が増えるとみなされる

[要旨]

会計的な観点では、利益が多いほど、その会社の資産も増えていると評価されます。したがって、利益を増やすことは、銀行からの融資承認を円滑に得られるようになることにつながります。


[本文]

日経ビジネス2020年11月16日号に、ニトリによる島忠へのTOBに関する記事が載っていました。記事の要旨は、9月に、DCMホールディングス(以下、DCMと記します)が、1株4,200円で島忠のTOBを行うと発表したことに対し、10月に、ニトリが、1株5,500円で島忠のTOBを行うと発表した。両社でTOB価格に差が出たのは、DCMが、ホームセンター事業の収支で島忠を評価しているのに対し、ニトリは、島忠の営業利約96億円のうち、約68億円を占めていると思われる、不動産賃貸収入を評価しているからだ、というものです。

この、TOB価格に、正解というものはありませんが、TOBが成立した後に、島忠の完全親会社となるニトリと、完全子会社の島忠の連結決算で、黒字を継続して計上できれば、TOBの意義があったということになるでしょう。したがって、現時点では、ニトリが島忠のTOBを成立させることになりそうですが、5,500円という価格の妥当性は、数年後に分かることになるでしょう。ところで、説明が少し乱暴になりますが、会社が利益を出すということは、「会社の価値(=株価)」を高めることになるということが、ニトリの島忠への評価の基本的な考え方になっていると思います。

これは、銀行の融資判断にも共通する考え方だと思います。よく、「銀行は、担保がないから、うちの会社に融資をしない」と考える経営者の方がいますが、銀行は、担保よりも、収益性を重視しています。銀行が融資相手に対して最も望んでいることは、融資金に利息を加えて、確実に返済をしてくれることです。担保品を銀行のものにすることではありません。会計的な観点からは、銀行から円滑に融資を受けられるようになるには、利益を増やすことが最善の方法です。

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