鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

社会の役に立つ仕事

[要旨]

顧客に商品を売ることは、その商品が顧客に役立つということであり、あえて、社会の役に立つ仕事をしようと意識する必要はないのですが、社会的な名声を得ることを強く望む人は、社会の役に立つ仕事をしようと意識しすぎて、かえって、自らの事業活動に制約をかけることになってしまうので、注意が必要です。


[本文]

「社会の役に立つ仕事をしたい」、「世の中に貢献する仕事をしたい」、「人によろこばれる仕事をしたい」ということばを、経営者の方から、しばしば聞くことがあります。僭越ですが、私は、このようなことばを口にする経営者の方は、自らのビジネスで、あまり、成功しないと思っています。

というのは、「社会の役に立つ仕事をしたい」ということを口にする方は、本当は、「社会の役に立つ」こととは別のことを目的にしていると、私は考えています。そもそも。顧客が商品を買ったり、サービスを利用するのは、その商品やサービスが、顧客からみて役に立つからでしょう。だから、「商取引が成立する=社会の役に立っている」のであり、これを言い換えれば、「ビジネスをする=社会の役に立つ」ということです。

一方で、あえて、「社会に役に立つ仕事をしたい」と考えている人は、「仕事には、社会に役に立つ仕事と、社会の役に立たない仕事がある」という前提で、そのようなことを言っているのでしょう。そうであれば、単にビジネスをするだけでは満足できず、さらに、名声を得ようとしたり、注目されようとしたりして、さら労力がかかるようなことをするでしょう。

そのような人は、普通にビジネスするだけで社会の役に立つことができると考えている人と比べると、たくさんのものを背負うことになるので、競合上、自らを不利な状況に追い込むことになると思います。私は、ビジネスパーソンが名声を得たいと望むことは当然と思いますが、それは、ビジネスで成功していけば、自ずと社会から評価されるようになるのであり、直接、名声を得ようとする活動は、あまり必要ないと考えています。

ちなみに、私もこのようなことは信じられないのですが、プロ野球選手、新聞記者、調理師など、いまでは花形の職業が、かつては、社会的地位の低い人が就く職業と考えられていた時代があったそうです。私は、職業に貴賎なしと考えているので、いつの時代も、どんな職業であっても、働くことは尊いことと思っていますが、人気のある職業というのは、時代によって変わるものでもあるようです。

ちなみに、私が、かつて勤めていた銀行は、20年くらい前までは、学生に人気の高い会社でしたが、いまでは、あまり人気がないようです。ですから、どういう仕事をするのかということは、あまり気にしても意味がないことであり、どういう仕事をするかではなく、どんな仕事であっても、業績を高めることこそが重要であると、私は考えています。


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