[要旨]
事業への新規参入者が多くなった現在は、手っ取り早い集客方法は存在しませんが、集客方法がないということはなく、手間や費用がかかってでも実践すれば集客は可能なので、それを実践できるかどうかということが、事業の成否の鍵となります。
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先日、一般社団法人全国コーチング普及協会代表理事で、ビジネスコーチの田中直子さんのメールマガジンを読みました。メールマガジンの要旨は、田中さんがプロコーチの育成をしているとき、手っ取り早い集客方法をきかれることがある。結論としては、手っ取り早い集客方法はない。例えば、ブログで集客するという方法があるが、ブログはすぐに始められるものの、アメーバブログには、すでに、6,500万人の会員がいるように、多くの人がブログを利用しているので、ブログで集客できるようになるには、それなりの努力や手間がかかる。
したがって、「手っ取り早い集客方法」を求めることそのものが残念な考え方になっている。そこで、集客するには、あえて、手っ取り早くない方法、すなわち、同業者が面倒と感じることや、ハードルが高いと感じることをやってみることも手だ。例えば、田中さんは、多額の広告費を払って集客をしているが、単に広告を出せばよいということではなく、緻密な方法をとらないと、広告の効果は得ることが難しい。
すなわち、現在は、効果のある集客をするためには、差別化された商品を作り、潜在的な顧客に新しい価値観を提供するための発信をするしかなく、「手っ取り早い集客方法をあきらめる」ことが、結果的に「最も手っ取り早い集客方法」になる、というものです。この田中さんのご指摘は、「石の上にも三年」ということであり、私もその通りだと思います。
そして、田中さんのご指摘から学ぶことはたくさんあると思いますが、私は、つぎの2つが重要だと思っています。ひとつは、現在は、多くの人がビジネスに参入できる時代になっているので、単に、起業さえすれば、それが直ちに成功することにはならないということです。これは当然のことではありますが、しかしながら、田中さんに、「手っ取り早い集客方法」をきいてくる、「残念な考え方」を持っている人はいまでもいます。
もし、「起業≠成功」と分かっていれば、「残念な考え方」をすることはないでしょう。起業するからには、短絡的に起業することなく、成功するための道筋までを考えて起業しなければなりません。ふたつめは、だからといって、成功がとても難しいことかというと、決してそうではないということです。田中さんも、「差別化された商品を作り、潜在的な顧客に新しい価値観を提供するための発信をする」ということをすれば、成功できると述べておられます。
すなわち、単に起業しただけでは成功することはできないことも事実ですが、成功するための方法は明らかになっています。したがって、簡単ではないことも事実ですが、その方法を実践しさえすれば、高い確率で成功でるようになります。私も、経験的に、業績のよい会社は、PDCAを実践しているということをつかんでいますが、業績のよくない会社に、PDCAを実践しましょうと提案しても、なかなか実践しません。すなわち、成功しない会社の成功しない要因は、成功が難しいというよりも、成功する方法を実践しているかどうかということだと、私は考えています。