鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

自信過剰バイアス

[要旨]

劣等感を埋めたり隠したりするために、人は自信過剰バイアスを持ってしまいがちですが、それを持ったままでは、事業運営上の判断を誤ってしまうので、適宜、自社の業績を確認しながら、自信過剰バイアスに左右されない運営体制をつくることが必要です。


[本文]

証券業界の用語に、自信過剰バイアスというものがあります。その意味は、「自らの知識や能力を過大に評価した過剰な自信から生じるバイアス」(野村証券のホームページより)という意味です。ちなみに、「バイアス」とは、ここでは、「思い込み」と置き換えることができるでしょう。

この自信過剰バイアスは、証券投資以外にも、起業家にもあてはまるといわれることがあり、私自身にも心あたりがあります。私自身も、自分が開業する前の期待と、実際に開業したあとの現実とのギャップを、強く感しています。また、私以外の起業家の方の中にも、自信過剰バイアスがある方は少なくないと感じています。

これは、私の想像であり、きちんとした根拠はありませんが、人は、どうしても劣等感を持ってしまうので、自らの能力が高いと考えることで、その劣等感を隠したり、不安を取り除こうとするのだと思います。したがって、一部の人を除けば、自信過剰バイアスを持つことは避けることができないと思います。そこで、自信過剰バイアスへは、どう対処すればよいのかというと、私は、冷静に自分の実力に向き合うことだと思います。

その手法は、ひとつだけではありませんが、私がお薦めするものは、日報コンサルティングを受けることだと思います。日報コンサルティングを受けること以外にも、顧問税理士や取引銀行に、1か月ごとに、自社の業績を確認してもらうことから始めるだけでも、自信過剰バイアスによる誤った判断を防ぐことができるでしょう。しかし、自分を過信し過ぎて、自社の業績を確認することさえしないとすれば、上から目線で恐縮ですが、私は、そのような方は、経営者としてのセンスに欠けていると考えます。

ちなみに、起業家の中には自信過剰バイアスがある人が少なくないということを逆手にとって、そのような人たちの自尊心をくすぐるような、高額セミナーを開いたり、高額教材を販売する人たちも少なくありません。自信過剰バイアスが強すぎると、そのような心ない人にずっと依存してしまい、結果として、なかなか成功までたどりつくことができなくなったり、成功しないまま事業を閉じることになりかねませんので、注意が必要です。

 

f:id:rokkakuakio:20200902000020j:plain