[要旨]
リースは、金融面以外にも、リース料の支払い額が一定である、リース期間を自ら定めることができるなどの利点があります。
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前回は、リース物件を調達するとき、それにかかる費用はすべてリース会社が負担するので、銀行融資と比較して、ユーザーの負担が少ないということについて説明しました。今回は、リースの金融面以外の利点について説明します。そのひとつは、ある意味当然なのですが、リース料は賃借料なので、1回目から最終回まで一定額ということです。では、それがなぜ利点なのかというと、もし、銀行融資で設備を調達したとき、その設備の減価償却費の計算方法が定率法であれば、減価償却費は初めの頃は多く、徐々に少なくなっていくので、コスト管理が複雑になります。
一方、リース料が一定額であるリースを利用して設備を調達すると、その設備に関する一定期間のコストも一定なので、原価計算などをするときのコスト管理などが楽になります。次は、自社の都合に合わせて、任意の期間でリース期間を決めることができるということです。このリース期間を任意に決めることができるという意味は、リース料を支払う期間を自社の都合に合わせて支払うことができるということです。
それがなぜ利点なのかというと、もし、融資を受けて設備を調達した場合、その設備の減価償却費は、実質的に税法で定められた期間(=法定耐用年数)で計算します。(この説明は正確ではありませんが、文字数の兼ね合いで正確な説明は割愛します)そのため、実際の使用期間が短くても、法定耐用年数で減価償却(=コスト化)することになります。しかし、リースの場合、自社の都合に合わてリース期間を決めることができるので、例えば、法定耐用年数が4年のパソコンをリースで調達し、そのパソコンの利用期間に合わせてリース期間も3年にすることで、4年間で減価償却せず、3か年でコスト化することができます。
ただし、税務上、リース期間は、法定耐用年数が10年未満のリース物件はその70%まで、法定耐用年数が10年以上のリース物件はその60%までという下限がありますので、ご注意ください。また、逆に、リース物件を法定耐用年数よりも長い期間使用する場合も、その期間でリースを契約することも可能で、この場合の税務上の上限はありません。以上、今回は、リースのコスト管理上の利点について説明しましたが、この他にも利点がありますので、それらについては、次回、説明します。