鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

リース料は高くてもそれ以上のメリット

[要旨]

リースで設備を調達したとき、融資を受けたときと比較して、費用は多くなりますが、リースはユーザーの事務負担を軽減するというメリットもあり、それらを勘案すると、リースを利用することが望ましいと考えることができます。


[本文]

私は、「図解でわかるリースの実務いちばん最初に読む本」を出版していることもあり、ときどき、リースに関するお問い合わせを受けます。そのお問い合わせで最も多いものが、調達したい機械や設備があるとき、融資とリースのどちらを利用すればよいかというものです。それに対する私の回答は、ほぼ、「リースを利用しましょう」というものです。一部、リースに向かない設備もありますが、そうでなければリースを利用した方がよいと、私は考えています。ただし、リースのデメリットとして、融資を受けたときと比較して、費用が多いというものがあります。

すなわち、融資を受けたときの費用である融資利息と減価償却費の合計額は、リース料総額よりも少ないことが一般的です。それでも、私が、リースを利用することをお薦めする理由は、融資を利用したときと比較してリース料が多いとしても、リースには、それ以上のメリットがあると考えているからです。そのメリットのひとつは、リースを利用した場合は、設備の調達に要する費用の全額をリース会社が負担してくれることです。融資の場合は、一般的には、設備の価額の70~80%程度までしか、融資を受けることができません。

ふたつめのメリットは、リースのユーザーは、事務負担が少ないということです。具体的には、ユーザーは、毎月、一定額のリース料を支払うだけで、減価償却費の計算、固定資産税の納付、動産保険の付保の手続き、リース期間終了後の廃棄などは、ユーザーが行う必要はなく、リース会社が行ってくれます。(ただし、リース会計基準を適用する会社は、リースで設備を調達したときに、リース物件の取得価額相当額を、リース資産として固定資産に計上し、それを減価償却することになりますが、それは定額法によって計算するため、自社で所有する設備を定率法で計算する場合と比較して、容易なものと言えます)

このようなリースのメリットは、実際に、多くの会社に評価されており、特に、最近の自動車に関するリース利用額の増加は顕著です。事業に利用する自動車は、数年経てば入れ替えしなければならなくなり、その際の、廃車手続きや、新車の登録手続きなどは、リースを利用していれば、リース会社が行ってくれます。また、自動車保険の契約手続き、自動車税の納付などもリース会社が行うので、ユーザーは自動車を利用するだけとなります。ということで、今、新たな設備の導入を検討している方は、リースの利用を検討してみることをお薦めします。

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