鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

取締役の数の減少の示すもの

先日、住宅関連製品の製造・販売をしてい

る、LIXIL(厳密には、持ち株会社

LIXILグループ)が、取締役の人数を

14人から9人に減らすことを含めた、企

業統治の強化について発表しました。


(ご参考→ https://bit.ly/2URQBhG


同社によれば、6月の株主総会で、前述の

とおり、取締役の数を、14人から9人に

減らしますが、そのうち、社内取締役は、

5人から3人に減ります。


売上高が約1.8兆円の会社にもかかわら

ず、取締役が9人というのは少ないような

感じがしますが、さらに、社内取締役は3

人だけになるということにも驚きます。


なお、同社は、指名委員会等設置会社なの

で、取締役は業務執行は行いません。


それでも、会社の業務の監督を9人で、さ

らに、社内取締役が3人しかいない状態で

行うということは、とても難しい役割を担

うことになると感じます。


しかし、だからこそ、取締役は強い意思を

持って業務の監督に専念する人が選ばれる

のだと思います。


社外取締役が6人で、3人の社内取締役の

2倍の人数になっているというのも、「会

社の論理」は通りにくいということになる

のでしょう。


現在の日本では、形式的には上場会社であ

りながら、従業員であった人たちが役員や

社長に就任し、実質的に従業員が大きな影

響力を持っている会社が多いようですが、

同社の場合、会社の事業運営は、名実とも

に株主の意思が反映されるということにな

るでしょう。


ここで、株主の意思が反映される体制と、

従業員の意思が反映される体制の、どちら

の体制が優れているのかという疑問が出て

きます。


しかし、現在の会社法では、株式会社は、

株主総会が最終的な意思決定を行うことに

なっており、それにもかかわらず、従業員

が影響力を持つことで、意思決定の過程が

不透明になっていることは、事実だと思い

ます。


ありていに言えば、しゃんしゃん総会が行

われていることが、最近、上場会社で起き

ている不祥事の原因のひとつになっている

ことは否めないでしょう。


そういった観点からは、私は、同社の体制

は評価できると考えています。


だからといって、株主の意思だけを事業運

営に反映させることが正しいのかというこ

とについては、私も直ちに結論を出すこと

ができないので、これから大いに議論され

るべきことと考えています。


ただ、今後、同社のような企業統治を行う

会社は増えて行くものと、私は考えていま

す。

 

 

 

 

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