鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

クレームへの向き合い方

[要旨]

顧客からのクレームは、単に、起きなければよいと考えるだけでは不十分であり、もし、ひとつのクレームが起きれば、さらに同じことが起きるかもしれないと考え、ビジネスのプロセスを改善しようという取り組みを行うことが大切です。


[本文]

経営コンサルタント板坂裕次郎さんのブログを読みました。ブログの要旨は、板坂さんの知り合いの、米穀店の幹部の方から、クレームに関するお話をきいた。その米穀店では、あるお取引先に、納品ミスをしてしまい、その会社の口うるさい社長から、ものすごいクレームを受けた。その社長さんには謝罪をして、なんとかことなきを得たが、その会社からは、今回で3回目のクレームだった。

しかし、そのような納品ミスは、口うるさい社長がいる会社で起きると、クレームとなって明るみになるものの、実は、騒ぎにならないだけで、その会社以外にも納品ミスが起きている可能性がある。そこで、その米穀店では、納品ミスが繰り返されないよう、オペレーションを見直すことにした、というものです。その米穀店の幹部の方の、クレームへの向き合い方は、とてもすばらしいと思いますし、同じように考える経営者の方も多いと思います。

しかし、経営者の方の中には、クレームへの対応だけで終わってしまう方も少なくないと思います。そこで、そのような違いが起きてしまう理由について考えてみましたが、そのひとつは、起きたことに関心があるか、将来起こるかもしれないことに関心があるかの違いだと、私は考えています。すなわち、クレーム対応だけで終わってしまう方は、クレームが起きたという過去の事実にだけ関心があり、ほかにクレームが起きなければ、それで安心してしまうのだと思います。

一方、板坂さんのお知り合いの米穀店の幹部のような方は、これからクレームが起きないかという未来のことに関心があり、そのようなことが起きないよう、ビジネスの仕組みを改善しようとします。私は、経営者の重要な役割のひとつは、よりよいビジネスの仕組みづくりだと考えていますが、前述の米穀店は、その仕組みづくりに、まさに取り組んでいるのだと思います。ちなみに、私がバランススコアカード(BSC)の導入を、多くの会社に対して薦めている理由は、よりよいビジネスの仕組みづくりが、BSCでいう、業務プロセスの視点からの改善活動でもあるからです。

さらに、もうひとつ付け加えたいことがあります。クレームがない方がよいという経営者の方は、クレームを避けようとしますから、クレームが聞こえてこなければ、それで安心してしまいます。一方で、よりよい仕組みづくりに関心がある経営者の方は、経営者が把握していないクレームがないか、とても気になります。ですから、部下から報告を受けようと努力します。そういう面からも、組織内のコミュニケーションの大切さが裏付けられます。

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