鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

金や名誉や命もいらぬ人は始末に困る

「金もいらぬ、名誉もいらぬ、命もいらぬ

人は始末に困るが、そのような人でなけれ

ば天下の偉業は成し遂げられない」という

一節は、西郷隆盛が残した言葉ですが、こ

れは山岡鉄舟のことを指していると言われ

ています。


江戸無血開城に先立ち、山岡鉄舟勝海舟

の書状をもって、西郷の駐留する駿府(現

在の静岡市)へ行き、徳川慶喜が朝廷に恭

順しようとしている旨を伝えますが、この

とき、西郷は鉄舟に対して、開戦を回避す

るための5つの条件を示します。


そのうちのひとつが、「徳川慶喜の身柄を

備前藩に預けること」だったのですが、鉄

舟は、「もし、西郷殿に島津公を他藩に預

けろと言われたら、西郷殿は承知するはず

がない」と言い、慶喜の身柄に関する条件

を拒んだようです。


これに対して西郷は、死を覚悟で単身敵陣

に乗り込んで来て、主君への忠義を貫こう

としている鉄舟の姿勢に心を動かされ、鉄

舟の言い分を認めたと伝えられています。


このような鉄舟の高い志については、私が

解説するまでもなく、多くの方が賞賛する

と思いますが、今回、経営コンサルタント

の観点から、なぜ、報酬のないことに命懸

けになれる人がいるのかということについ

て考えてみました。


一般的に、人は、見返りを求めて働くと考

えられています。


しかし、会社経営者(社長)については、

やや、状況が異なります。


社長としては、もちろん、社長個人の報酬

も必要ですが、その前に、会社の事業が安

定的に推移するようにならなければ、社長

の目的は達成できません。


そこで、従業員が安心して働ける環境づく

りや、仕入先が安心して商品を仕入れるこ

とができる信用力を維持すること、顧客が

安心して自社商品を買うことができるよい

商品づくりなど、事業の発展に大きな関心

を持つことでしょう。


さらに、会社がもっと大きくなれば、会社

の社会的な影響力が大きくなり、それにと

もなってさらなる対応が必要になります。


例えば、レストランの場合、食材の安全性

や店舗内での分煙、店内で飲酒した人が帰

る時に自動車を運転しないようにするため

の配慮など、広く利用者へ配慮しなければ

なりません。


このように、運営する組織が大きくなるほ

ど、社長は自分のことよりも、多くの人た

ちのことを考えなければなりません。


そのような考え方は、究極のところに行く

と、稲盛和夫さんが話されておられるよう

に、「動機善なりや、私心なかりしか」と

いう言葉で表されるのだと思います。


すなわち、事業は、広く社会に受け入れら

れるものでなければ成功しないので、私心

だけを動機としては失敗してしまうという

ことであり、これも、改めて私が述べるま

でもないことです。


これは、個人の存在は組織があるからとい

う前提であり、組織が大きければ大きいほ

ど、そして、地位が高ければ高い人ほど、

このような考え方が必要になってきます。


ただ、私自身もそうなのですが、人は、ど

うしても自分を優先してしまいがちです。


では、どうすれば、組織を優先するように

なれるのかということは、私自身も今後、

探求していきたいと思っています。


話を鉄舟に戻すと、日本の思想については

私の専門外のことであり、きちんとした説

明ではないことをお許しいただきたいので

すが、いわゆる武士道は、個人よりも、主

君や国を優先する考え方であり、鉄舟はそ

れに極めて忠実だったのだと思います。

 

 

 

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