先日、たまたま、日本放送協会の連続ドラ
マを見たところ、主人公の鈴愛が、母親の
営んでいる食堂の2号店を出店したいの
で、資金を融通して欲しいと母親へ依頼す
るシーンがありました。
(ご参考→ https://goo.gl/mtvBvi )
当然ですが、鈴愛は、2号店が成功すると
思う要因をたくさん挙げて、母親を説得し
ようとします。
このようなシーンは、銀行で、融資の申し
込みをする人が、銀行職員に対して説得し
ようとしているときによく似ているなぁと
思いながら、私は見ていました。
ただ、私の経験から述べると、融資を受け
ようとする人が、事業開始前の時点で成功
する要因となると考えていたことについて
は、事業を始めた後の結果とはあまり関係
がないと感じています。
これは、事業の前に、いくら事業が成功す
る要因をあげても、それが事業の成功につ
ながらないという意味ではなく、事業開始
後に事業が成功する場合であっても、それ
は、事業開始前に考えていた要因とは別の
要因で成功することが多い、ということで
す。
例えば、特徴のあるメニューで顧客を引き
付けることができると考えてレストランを
開店したとしても、開業後は、メニューを
評価して利用する顧客よりも、店主の接客
の仕方や人がらを評価する顧客の方が多い
ということもあります。
このことから何をお伝えしたいのかという
と、事業は開始前に十分な検討が必要です
が、経営環境(外部環境と内部環境)は、
すべて事前に把握することはできず、した
がって、開業後は必ずしも事業計画通りに
行かないということです。
したがって、事業開始前に周到な計画を立
てたからといって、事業開始後はその計画
を見直す必要がなくなるということではな
いということです。
むしろ、事業を開始した後も、少なくとも
3か月ごとに業況の分析を行い、仮に計画
と実績に乖離がある場合はその要因の究明
をする必要があるということです。
むしろ、開業したことで安心してしまい、
その後は成り行きで事業を続けると、折角
の起業が無駄になってしまいます。
これを言い換えれば、事業計画は開業のた
めだけにあるのではなく、開業後も事業を
軌道にのせるための重要なツールであると
いうことです。
このことも容易に理解していただけること
なのですが、私の見てきた事例から忘れら
れがちなことなので、ここで述べさせてい
ただきました。
なお、念のために付け加えさせていただく
と、事業の成功の要因は事前にはすべて把
握できないからといって、開業前の事業計
画の検討に力を入れなくてもよいというこ
とではありません。
少なくとも、事業開始前に作成した事業計
画がいい加減なものであると、銀行からの
融資を受けることはできなくなります。
繰り返しになりますが、計画は「予測」で
はなく「目標」ととらえ、実績と計画の乖
離を埋めるためのツールです。
そして、その実績と計画の乖離を埋める活
動が、「経営」ということです。
開業前にしっかりとした計画を作成するこ
とは必要ですが、開業後は、その実績と計
画の乖離を埋める活動は欠かせません。
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