鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

成功の定義

経営者の方は、よく「あなたの『成功』の

定義はなんですか」ときかれることが

あると思います。


ただ、これは、主に、心構えを問われる

ときのフレーズだと思います。


すなわち、「収入が増える」、「社会に

貢献できる人になる」、「多くの人から

尊敬される」などといったものです。


これらについては、それぞれの経営者の

方が決めることであり、何が正しくて、

また、何が誤っているといものではあり

ません。


ただし、事業運営には、何人もの利害

関係者(ステークホルダー)の協力が

必要になります。


そこで、経営者の方が自分の定義した

成功を実現させるために、利害関係者が

犠牲になることがあると、トラブルの

基になってしまいます。


よくある例は、経営者と銀行との認識の

相違です。


例えば、銀行から融資を受けてケーキ店を

開いた経営者が、自らの成功の定義として

いる、「安くておいしいケーキを地域の

人たちに提供する事業を行う」ことを実践

しようとしているとします。


一方で、その事業では利益額が少ない、

または、赤字になりかねない状況が

続いていた場合、融資をしている銀行

からは、収益状況を改善するために、

商品価格の値上げをするといった改善

策の実行を要請されることもあるで

しょう。


このとき、経営者から見て、銀行の

要請は、自らの成功の条件を否定する

ものとなってしまいます。


もちろん、融資を受ける段階で、もし、

事業計画の利益額が少ないのであれば、

融資を受けることはできなかったわけで

あり、また、事業を開始した後も計画

通りになっていれば、銀行は値上げの

実施の要請はすることはなかったで

しょう。


銀行から見れば、融資先の事業の成功の

定義は「安定して利益を計上すること」

であり、それは融資の申し込みを受けた

ときに提出された事業計画以上の業績を

あげることということになります。


少なくとも、この例では、銀行からの

要請と、経営者にとっての成功は対立

するものではないでしょう。


安定的な利益を計上できなければ、

経営者の考える「安くておいしい

ケーキを地域の人たちに提供する」と

いう思いも実現することはできなく

なります。


結論としては、経営者の成功の定義は

ステークホルダーの思いと対立する

ものではあってはならない、そして、

それらの思いの最上位、すなわち、

順番としては最後にあるものである

必要があると私は考えています。

 

 

 

 

 

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