鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

借りたお金を返すことはあたりまえ

「借りたお金を返すことはあたりまえ」と

いうことは、文字通りあたりまえです。


しかし、希に、「銀行から借りたお金は返

さなくてもよい」と考えている会社経営者

の方に会うことがあります。


もちろん、例外があります。


それは、銀行に悪意があったり、銀行とし

て尽くすべき注意義務を怠ったりしたこと

で、融資を受けた側が損害を受けた場合

で、そのような場合は、融資額の全部、ま

たは、一部を返済しなくてもよいでしょ

う。


確かに、そのような悪意のある銀行の被害

を受けた方もいます。


でも、そのような例は極一部であり、多く

の事業性融資は、融資を受けたいという申

し出に応じて銀行が融資をしているので、

きちんと返済する義務があります。


それでも、銀行に融資を返す必要はないと

主張する会社経営者は、「銀行には貸手責

任がある」と主張します。


貸手責任ということばには、明確な定義は

ありませんが、一般的には、貸手の判断で

行った融資が返済されなかったとき、その

損失は貸手が被らなければならないという

ことでしょう。


話がそれますが、日本で貸手責任というこ

とばが使われるときは、多くは、融資を行

う際に、銀行がきちんとした説明をする責

任を怠ったとか、銀行が悪意を持って事実

と異なることを説明したり、融資を受ける

側に不利となる事実を隠していたりした、

というようなときに使われます。


でも、本来は、銀行が融資審査を行うとき

に、その判断が誤ったことで被る損害を負

うこと、すなわち、信用リスクを負うこと

を指すものでしょう。


話を戻して、確かに、銀行には貸手責任が

ありますが、それは、あくまで会計的な観

点からの信用リスクに対する責任であり、

銀行に貸手責任があることをもって、融資

を受けている側、すなわち借手に、民法

の融資の返済義務がなくなるということで

はありません。


(この文章は、やや難解ですので、もし、

理解できない方は、銀行の責任があるとし

ても、それは融資の返済義務には影響しな

いものであるというように理解してくださ

い)


また、銀行から債務免除を受けた会社があ

るので、自社も債務免除を受けられるよう

にすべきだとお話しする方に会う時もあり

ます。


これは、詳細は割愛しますが、銀行が債務

免除をするときは、確かに銀行が貸手責任

を認めていますが、その前提として、株主

や経営者は銀行より厳しい責任を問われて

います。


すなわち、銀行から融資を免除してもらっ

た会社では、ほとんどは社長は退任し、さ

らに、社長個人のほとんどの私財を会社の

ために提供しています。


ここまで、貸手責任について説明してきま

したが、何を伝えたかったのかというと、

銀行に法令違反や悪意がない限り、銀行の

貸手責任は、融資を受けている側、すなわ

ち借手の責任よりは軽い、どんなに重くて

も借手責任と同等ということです。


世の中には、困っている会社の弱みにつけ

いろうとする人もいるので、銀行の責任だ

けを強調する“専門家”の誤った助言には

ご注意いただき、融資の責任について間

違った理解をしないよう気をつけていただ

きたいと思います。

 

 

 

 

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