今回は、会計用語のレバレッジ効果につい
て解説します。
レバレッジとは、梃子(てこ)のことで、
レバレッジ効果とは、梃子の作用によって
少ない負担でも大きな果実を得ることがで
きるようになる効果のことです。
会社の事業では、融資を受けることによっ
て、投資効率を高めることができ、これを
財務レバレッジとも言います。
たとえば、資本金1,000万円だけで、
年間100万円、すなわち10%の利益を
得ている会社があるとします。
この会社が、金利1%で1,000万円の
融資を受け、事業資金を2倍の2,000
万円にしたとき、年間200万円の利益を
見込むことができます。
このとき、融資金利10万円を除いた19
0万円が最終的な利益となり、1,000
万円の資本金に対して、19%の利益を得
ることができます。
このように融資を受けることで、レバレッ
ジ効果が働き、投資効率が高まります。
そして、このレバレッジ効果は、融資を受
けることが望ましいという根拠のひとつに
なっています。
そこで、たくさん融資を受けることによっ
て、レバレッジ効果を高めるとよいという
ように考えることもできます。
前述の会社の場合、融資額を2,000万
円にすると、利益額は300万円を見込む
ことができ、利息額20万円を除いた28
0万円の資本金に対する割合は28%と、
さらに高くなります。
では、さらにレバレッジ効果を高めるため
に、もっと融資を受ければよいということ
になるかというと、必ずしもそうではあり
ません。
そのひとつは、論理的な根拠の説明は割愛
しますが、融資の多い会社は不安定である
ということになってしまうからです。
例えば、資本金1,000万円の会社が、
融資を9,000万円を受けていた場合、
直感的に安定性がない会社だということが
分かると思います。
もうひとつは、レバレッジ効果は逆にも働
くことがあります。
例えば、前述の会社の経営環境が悪化し、
1,000万円の資本金だけで事業を運営
していたとき、50万円の赤字を計上、す
なわち、投資効率が▲5%になったとしま
す。
もし、この会社が1,000万円の融資を
受けていたとすれば、赤字額は100万円
になった上に、さらに、利息額10万円を
払うことになり、資本金1,000万円に
対する赤字額の割合は、▲11%になって
しまいます。
ここまでレバレッジ効果について説明して
きましたが、このことはすでに多くの方が
理解しておられることでしょう。
一方で、「ビジネスチャンスがあるのに、
自己資本比率が低いからという理由で、銀
行に融資を断られた」ということを経営者
の方からきくことがあります。
会社経営者として、レバレッジ効果を活用
することは望ましいのですが、これは諸刃
の剣にもなるので、適度な自己資本は欠か
ません。
ですから、事業を拡大するには、融資だけ
を頼ることは適切ではありません。
ちなみに、自己資本比率を高める方法とし
ては増資もありますが、中小企業の場合、
繰越利益を増やしていくことが基本です。
利益を得ることは大切ということは多くの
方が理解されておられると思いますが、そ
の根拠のひとつは、単に「もうける」とい
うだけでなく、事業を安定させる自己資本
を増加させるためでもあるのです。
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