鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

納税の薦め

作家の本田晃一さんが、3月30日に配信

したメールマガジンで、税金について次の

ように書いておられました。


「税金は無駄遣いが多い!

ってキレてると、収入も増えない。


収入が増えると支払う税金も増える

からね。


無駄だと思ったら払いたくないじゃん。


税金のおかげで日本は良い国だな~

って思ってると収入も増えてくる。


だって

収入が増える=周囲が良くなる=

自分も良くなる

って公式になるもんね」


私も本田さんの考え方に賛成です。


納税者の立場からすると、税金は多いと

感じがちですが、冷静に考えれば、

私たちが受けている行政サービスに

使われている税金も意外と多いものだと

思います。


例えば、義務教育にかかる費用を全額自己

負担にすると考えただけでも、それは明確

だと思います。


確かに、税金の使われ方に不満が残り

ますが、それだけでもって、税金を

払わない理由にはなりません。


ただ、今回の記事の主旨は、納税が妥当か

ということではなく、会計の面からも、

納税を薦めたいというものです。


とはいえ、このことは、目新しい主張では

なく、昔から言われていることです。


すなわち、100万円の利益を得て、

約40万円の利益を払えば、約60万円の

利益を次の会計年度の事業に充てることが

できるというものです。


(厳密には、利益から税金と配当金を差し

引いた残りが、翌会計年度に繰り越される

のですが、中小企業の多くは配当は行って

いないので、ここでは、利益から税金を

差し引いた残りが繰り越されるという

前提で説明します)


私も、積極的に意識して納税額を増やす

必要はなく、また、軽減税率の特例は

活用することは得策だと思います。


ただ、過度に、納税額を抑えることを

目的とした会計処理はあまり得策では

ないと思います。


結局、そのような会計処理は、納税額を

減らす効果はあったとしても、納税した

場合と比較して、会社に残るお金の額に

さほど変わりがありません。


そうであれば、利益の繰越額を増やす

ことの方が賢明でしょう。


さらに、会社に残ったお金は、自らの

判断で自由に利用できます。


また、純資産(=自己資本)が増える

ことから、銀行や社会からの評価も

高くなります。


ところで、この記事の本旨から離れ

ますが、よく新聞記事に「大企業の

内部留保が過去最高にもかかわらず

従業員の給与が増えない」といった

批判が書かれることがあります。


こははおかしな内容です。


なぜなら、内部留保は純資産、すなわち

貸方の科目である一方で、給与は費用、

すなわち借方の科目だからです。


借方の科目が増えない理由は、それに

変わって借方の科目が増えているからで

あり、貸方の科目が増えていることは

理由にはなりません。


もし、従業員の給与が上がらないことを

指摘したいのであれば、「手元資金が

増加しているにもかかわらず、従業員の

給与が増えない」というように書くべき

でしょう。


大企業の内部留保が過去最大の会社が

当座預金などの手元資金が増えていない

場合は、内部留保はすでに棚卸資産

設備投資などに充てられていることに

なり、会社の資金繰りに有効に活用

されているということになります。

 

 

 

 

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