鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

ポテンシャルのアピールの仕方

私がこれまでお会いしてきた会社経営者の

方の中には、「銀行は過去の業績しか書か

れていない決算書だけで融資を判断しよう

とする。


もっと、会社の将来性を見て欲しい」とい

う不満を持つ方が少なからずいらっしゃい

ます。


(なお、銀行が決算書を重要視する理由に

ついては、こちらの記事を参考にして下さ

い。→ https://goo.gl/sccDUr


もちろん、銀行が融資審査をより精緻に行

うようにしなければならない余地は残って

いますが、銀行の融資審査の改善を待つだ

けでは現実的ではないので、現状に対して

打つ手として、過去の実績を作るという例

をご紹介したいと思います。


これは、私が銀行で働いていたときの、同

僚が受けた案件なのですが、その同僚は、

開業して1年未満のある工務店からの融資

の申し込みを断ったことがありました。


ところが、その工務店の社長は、融資を断

られてから1年後に、再び、その同僚に融

資の申し込みをしてきました。


その時、「1年前、融資を断られたとき、

あなたから、『少しの間、融資を受けない

で頑張ってみてはどうでしょうか。


現時点では、事業がうまくいくかどうか分

かりかねる状態です。


もし、融資を受けてすぐに事業がつまづく

ことになったら、借金だけが残ることに

なってしまいます。


そこで、無借金で事業を続けてみて、それ

で事業が軌道に乗ると確証が得られるよう

な状態になったら、また、ご相談に乗りま

す』と言われました。


私は、あなたの言葉から、自分がどう評価

されたのかということをよく考え、こんど

お会いするときは評価されるようになろう

と決め、1年間頑張ってきました。


どうかその実績を見て下さい」と言われた

そうです。


その社長の1年間の成果は、100点とは

行かないまでも、努力してきたことが伝わ

る結果でした。


また、その同僚の言葉を素直に受け止めて

1年間事業に向き合ったうえで、再び融資

申し込みに来た以上、融資を受けざるを得

なくなったと、同僚は話していました。


やはり、努力をして業績を改善したという

事実を突きつけられると、融資を判断する

側も評価せざるを得ません。


ここまでの内容は、融資を断られた社長が

歯を食いしばって頑張った結果、再度の融

資申し込みで承認を得られることになった

という美談に思われるかもしれません。


でも、私は、単純に、努力家のその社長を

お手本にすべきだということを述べるつも

りはありません。


実は、私がフリーランスとして独立した直

後は、やはり集客に苦労しました。


仕事を取ろうとしている時に、他の人から

言われて最も嫌だった言葉は、「実績のあ

コンサルタントでないと、リスクが高い

ので仕事を依頼したくない」というもので

した。


これについては、内心、「誰だって最初か

ら実績のある人はいないだろう」と、理不

尽に感じていました。


それと、もうひとつの苦労は、コンサルタ

ントの仕事は目に見えないものなので、私

の仕事に対する客観的な評価を示しにくい

ということがありました。


そこで、それらの課題を解消することを目

的に始めたものが、ポッドキャスト(イン

ターネットラジオ)の配信でした。


ポッドキャストの配信を開始してから約9

か年がすぎ、配信回数はもうすぐ500回

になろうとしています。


番組の質は決して高くはありませんが、

500回近い回数を配信しているという事

実を見込み客に告げることで、少なくとも

「いろいろとうまいことを言うけれど、口

だけじゃないのか」という不安を減らすこ

とはできます。


500回も番組を配信していれば、決して

にわか作りのコンサルタントとは受け止め

られることはないでしょう。


そして、すべてポッドキャストのおかげで

はありませんが、現在では、面識のない方

からも、1時間あたりの単価で5万円以上

の仕事のオファーが来るようになりまし

た。


話を戻して、今回の記事の結論は、自社の

事業の他者からの評価は、ポテンシャルだ

けでは得られにくいので、それを見込んで

事業に臨むことが現実的であるということ

です。


自社のポテンシャルがあるとしても、それ

は他者には見えにくいものなので、何らか

の事実を作ることで、自社の強みをアピー

ルをするということは避けられないでしょ

う。

 

 

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