鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

担保依存の融資姿勢は当然か

9月12日の日本経済新聞に、「地銀の中

小融資、要注意先ほど担保・保証に依存強

く」という記事が載っていました。


(ご参考→ https://goo.gl/BxL9PM


記事の内容は、金融庁が、地銀と取引のあ

る中小企業9千社から回答を得たアンケー

ト結果の概要です。


具体的な内容は、次の通りです。


担保・保証がないと融資してくれないと感

じている会社の割合は、正常先で23%、

要注意先以下では54%。


信用保証協会の保証を利用している会社の

割合は正常先で26%、要注意先以下では

76%。


過去1年以内に資金繰りに困った会社はの

割合は、正常先で6%、要注意先以下で

45%。


このうち、メインバンクから特に支援を受

けていない会社の割合は正常先で18%、

要注意先以下だと37%。


さらに要注意先以下の約2割が、メインバ

ンクは経営の課題や悩みを、あまり、もし

くは全く聞いてくれないと答えた、という

ものです。


そして、これらの結果を受けて、「金融庁

は『債権者区分が下になるほど訪問が減る

傾向にある』と分析。


『本来、訪問すべき先に行けていないので

はないか』と指摘する。


昨年9月、『脱・担保依存』を進めて地銀

に収益モデルの転換を促すため、地元への

貢献度合いを客観的に測る新指標を公表し

たにもかかわらず、いまだに融資姿勢を変

えられない地銀の姿勢が浮かぶ」と、地方

銀行が担保に依存する傾向を批判していま

す。


私は、この批判は、直ちにあたらないと考

えています。


リスクの高い会社に対する融資は、担保を

つけてもらうことで、回収の確実さを高め

ようとすることは当然のことです。


また、業績のよくない会社に融資を避けた

いと銀行が考えることも当然のことです。


しかし、銀行は、きちんとした利益を得る

ことで、安定した経営を行わなければなら

ないことは当然です。


そして、その方法のひとつとして、潜在能

力のある会社を地方の中小企業から発掘し

て、積極的な融資を行うことも大切だと思

います。


単に、業績の悪い会社への融資を避けてば

かりいて、潜在能力の有無を見分ける目利

き能力を持つことを怠っていることは批判

されなければなりません。


ただし、融資を受ける側が注意しなければ

ならないことは、前述の記事に書かれてい

るような、銀行が融資姿勢を変えることが

できていないという批判があることも事実

ですが、もし、銀行が融資姿勢を変えるこ

とができたからといって、すべての会社が

融資を受けられることにはならないという

ことです。


銀行が批判されているのは、融資申込をし

てきた中小企業の当座の業況が悪いからと

いって、融資を避けたり担保に依存したり

することであって、銀行の目利き能力が高

まり、その会社の潜在能力がないというこ

とがわかれば、融資を受けられないことは

仕方がないといえるでしょう。


事業を継続するためには、自社の業況が良

くなることを自ら明確にすることが必要で

あり、また、そもそも、自社の事業体質が

黒字になる見込みがなければ、融資を受け

ことはできません。

 

 

 

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