今回も少し非論理的なことを書きます。
私が事業改善のお手伝いをする会社さまに
は、どのような改善策を行うかは、基本的
に、その会社に決めてもらいます。
どうすれば事業が改善するかを考えること
がコンサルタントの仕事と考えている方も
多いと思いますが、私は、改善策を決める
過程においてヒントを出したり、助言をし
たりするにとどめます。
そして、どういう改善策を行うべきかとい
うことを考えること、そして、決めること
は、会社自身で行ってもらいます。
その理由はいくつかありますが、その主な
理由は、(1)自ら決めなければ、改善策
の実践にあたって、受け身的にしか活動し
なくなること、(2)改善策を考案する体
験を通して、自社の状況をしっている人の
方が、より実態に即した方法を思いつくこ
と、(3)改善策を考案する経験を持つこ
とで、その方法を学ぶことができることな
どです。
そして、改善策ができあがったときに、そ
れを考えた側とすれば、これが正解かどう
かということをコンサルタントにきいてみ
たいと考えるでしょう。
しかし、残念ながら、懸命に考えてもらっ
た改善さくについて、私はそれらが100
%正解かどうかは分かりません。
どんなに高くても、80%くらいとしか言
うことができません。
これは、ビジネスにおける意思決定は、よ
ほど意図的でない限り、正解というものは
やってみなければわからないことがあると
いうことです。
ですから、成功しそうかどうかが50%く
らいより高いと感じたときは、「とにかく
やってみましょう」と言います。
しかし、ここからが本当の課題です。
すなわち、改善策は考えることが目的では
なく、実践して業績を向上させることが目
的です。
ですから実践してみなければ、いくら考え
てみても意味はありません。
では、実践するのであれば、正解の改善策
を考えるべきではないかと考える方もいる
と思います。
論理的にはその通りなのですが、前述の通
り、改善策が正解かどうかは、予見が難し
いということを、私(だけではないと思い
ますが)は感じています。
実は、A案とB案を考えたとき、それらを
両方とも実践してみて、後になって両方と
も正解というときもあるし、どちらも不正
解だったというときもあります。
だから、改善策を、早く実践してみて、そ
れが正解かどうかを確認することが大切に
なります。
そして、さらに大切なのは、実践してみて
不具合が出た時、それを修正して、正解に
近づけるという作業です。
この計画→実践→検証→修正という流れ、
すなわちPDCA、特に検証と修正が適切
にできるかどうかが、精度の高い改善策を
作る大きなポイントになっています。
むしろ、本当の計画づくりは、実践の前で
はなく、実践しながら作成されると言える
でしょう。
そして、このことも当然と考える方も多い
と思います。
しかし、実際に、計画をつくる経営者の方
は、割合としては少ないようです。
また、計画を作っていても、定期的な検証
と、改善策の考案をしている経営者はさら
に少ないようです。
そして、さらに、有効な改善策を考案して
いる人はもっと少ないようです。
別の言い方をすれば、「短期間で売上を倍
増させる裏技」のような「正解」があれば
業績をあげられると考える方が多いと私は
感じています。
ビジネスには不確定なことが多いからこそ
前もって正解はわからないという前提で、
改善策の考案だけにこだわらず、検証と修
正のプロセスも実践することが必要でしょ
う。