鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

他人を巻き込む力

私はコンサルタントなので、非論理的なこ

とは述べないように気をつけているのです

が、そうは言っても、経営は人が有機的に

関わることがらですので、非論理的なこと

も考えながらコンサルティングに臨んでい

ます。


(このようなことは、わざわざ述べるまで

もないようなことですが)


本題ですが、先日、Web制作・ライター

をされておられる林花代子さんの処女出版

となる「まるごとマルタのガイドブック」

( http://amzn.to/2wOlmFL )の出版記念講

演を聴いてきました。


ここで、いきなりマルタという国が登場し

ますが、マルタについて知っている方は少

ないと思いますので、マルタについて少し

説明します。


外務省のWebPageによれば、マルタ

の国土面積は淡路島の約半分、人口は約

43万人の、EU加盟国です。


マルタ島は、イタリアの南部のシチリア島

から約90km南に位置しており、私も、

林さんと出会う前は、マルタを国とは思っ

おらず、イタリア領の島のひとつだと思っ

ていました。


実際には、マルタは19世紀から英国領と

なっており、1964年に英国から独立し

ています。


したがって、公用語はマルタ語と英語で、

マルタの方の89%は英語を話すため、日

本からも英語の語学留学先として選ぶ人が

増えているそうです。


ちなみに、女優の柴咲コウさんも、1か月

間、マルタにホームステイをしたことがあ

るそうです。


これも、ちょっとした情報ですが、マルタ

には、人の数よりも多くの数のねこがいる

らしく、ねこ好きの方にはさらに魅力的か

もしれません。


世界史的には、1989年に米国のブッ

シュ(シニア)大統領と旧ソ連のゴルバ

チョフ議長(当時)が、冷戦の幕引きとな

る会談(マルタ会談)をしたところとして

登場します。


また、第一次世界大戦時に、英国の要請で

地中海に派遣された旧日本海軍駆逐艦

「榊(さかき)」が潜水艦の攻撃を受けて

大破し、その際に亡くなった59名及び戦

病死者12名を加えた71名をまつる慰霊

碑がマルタの英軍墓地内に建てられている

そうで、意外な面で、日本とのつながりも

あります。


話しを本題に戻すと、林さんは、大学を卒

業後、いったん就職したものの、ずっと海

外留学をしたいという思いを持ち続けてい

たそうです。


そして、37歳のときに、海外留学を決意

し、マルタに3か月間の留学をしたそうで

す。


(「なぜマルタに?」という疑問をお持ち

になる方も多いと思いますので、その経緯

については、こちらをご覧ください。→

https://goo.gl/ECnkan


3か月間とはいえ、その留学期間中に、日

本人としては大雑把(?)な林さんから見

てもさらに大雑把だけど、温厚な人柄のマ

ルタの人たちと、コンビニも地下鉄もなく

てちょっと不便だけど、四国で育った林さ

んには第二の故郷にも思える環境に、林さ

んはすっかり虜になったそうです。


また、その留学という経験によって、「人

生いくつになっても自分のしたいことがで

きる」ということを林さんは確信したそう

です。


そして、日本にはまだまだ知られていない

マルタを日本に紹介すること、そして、人

生を変えるようなきっかけを得た体験を、

他の人にも持って欲しいという思いから、

現在はマルタに関する情報をSNSやブロ

グで発信するほか、マルタへ留学したいと

いう方の相談にものっているそうです。


ここまでは林さんの紹介ですが、私が林さ

に惹かれた経緯はここからです。


私が林さんと出会ったのは、約1年前、林

さんが、ある出版社の出版企画のプレゼン

テーションに参加ていたところを、私がオ

ブザーバーとしてそれを見学していたとき

でした。


林さんは、ご自身の体験や、マルタに関す

る情報を発信する書籍を出版したいとプレ

ゼンテーションをしましたが、その場では

採用されませんでした。


ただ、私は、林さんの情熱を感じたので、

その後、何人かの出版編集者さんとの接触

の機会を取り持つなどの協力をしてきまし

た。


結果として、林さんは独力で、前述のご著

書を出版するまでに至りましたが、林さん

ご自身もお話ししている通り、あまり知ら

れていない国のガイドブックを商業出版さ

せるには、相当な努力があったようです。


ただ、もっと驚くことは、今回ご出版され

たガイドブックに載っている内容は、出版

が決まっていなかった昨年のうちに、林さ

んがマルタへ行って、すでに取材していた

そうです。


そもそも、どの出版社も手を挙げていなく

ても、林さん自身は出版を決めていたとい

うことです。


そして、マルタでの取材では、最初は「マ

ルタを日本に紹介するガイドブックを作る

ために、日本から来たので、取材に協力し

てください」と取材依頼をしていたそうで

すが、だんだん面倒になり、「私は日本の

ジャーナリストです」と言って、取材をす

るようになったそうです。


これは、裏を返せば、取材をしたのに出版

できなかったら、取材協力者を偽ることに

なるわけですが、林さんはそれくらいの覚

悟で取材していたということです。


とはいえ、温厚なマルタの方たちは、取材

に協力的だったそうです。


むしろ、レストランでは料理をただで提供

してくれたり、ホテルも無料で宿泊させて

くれるところもあったそうです。


それは、林さん自身が自ら施設を利用して

生の記事を書くという方針を実践するため

の、大きな助け舟となったようです。


ただ、その助け舟は、マルタの人たちの人

柄だけでなく、林さんから出ていた情熱を

感じたことも大きな一因ではないでしょう

か?


そういう私も、微力ながら林さんを応援し

たいという気持ちにさせられてきました。


また、出版が実現に至ったのも、林さんの

熱意を感じた人たちが、たくさん林さんの

周りに集まったからだと私は思います。


実はこのような例はあまりないのですが、

他人を巻き込む魅力を持っている人、すな

わち、いい意味での人たらしを見かけるこ

とがあります。


そういった人は、理屈抜きで協力者を巻き

込み、難しいと思われる事業を成功させて

しまったりします。


そういう人が会社経営者であると、従業員

の方々の団結力が高まり、よい業績につな

がります。


ただ、どうすれば人たらしになれるのかと

いうことは、なかなか理屈では説明するこ

とはできません。


それには精神力を鍛えたり、見聞を広めた

り、いろいろな体験を積むということが求

められるでしょう。


そして、その中には、林さんのように、温

厚な人たちがたくさんいるマルタに留学す

るという方法も含まれているのかもしれま

せん。

  

 

 

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