組織を知ることは、会社経営者にとって
重要なことということは、多くの方に
認識されていると思います。
そこで、会社経営者向けに、組織に関する
多くの書籍が発売されていたり、組織に
関する多くのセミナーが開かれていたり
します。
その中で、組織とは何かという組織の
定義が紹介されることもあります。
その定義は、組織論の大家、バーナードの
定義がしばしば引用されます。
バーナードによれば、組織を「2人以上の
人々の、意識的に調整された諸活動または
諸力のシステム」と定義しています。
この定義は有名であるものの、ピンと
来ない人が多いと思います。
その最大の要因は、「諸活動または諸力の
システム」ということばが使われている
からでしょう。
一般的な組織というと、「会社組織」と
いった、何らかの目的を持った人々の
集まりを指すでしょう。
それにも関わらず、バーナードは、組織を
「諸活動または諸力のシステム」のことを
指すと定義しており、人々を指していは
いません。
実は、バーナードが、組織の定義を書いた
主著の「経営者の役割」
( http://amzn.to/2qBZuOq )を発表した
後は、専門家の間では、バーナードの
組織の定義を画期的であると評価されて
いるのですが、その一方で、このような
諸活動やシステムに焦点を当てたことが、
実務家や初学者の理解の妨げにもなって
いると私は感じています。
バーナードは、一方で、会社に属する
人々の集まりを、人的システムと呼んで
おり、それらが一般的に使われる組織に
近いものとなっています。
その他に、会社の建物や機械を物的
システム、会社と販売先や仕入先との
社会的なつながりを社会的システムと
呼び、さらに、人的システム、物的
システム、社会的システムと組織で構成
される仕組みを協働システムと呼んで
います。
この、協働システムは、会社の、ひと、
もの、かねの有機的な活動の場を指して
いるわけです。
ここまで理屈っぽい説明が続きましたが、
結論としては、バーナードの定義する
組織と、一般的に使われている組織は、
別のものを指しているということです。
しかしなが、同じ、組織という文字が
使われていることから、中途半端な
解説では、バーナードの定義する組織と、
一般的に使われている組織は、別のものを
指しているということを説明しないか、
バーナードの定義する組織を一般的に
使われている組織を指していると誤認
して説明しているため、それを読んだり
聞いたりした実務家や諸学者は、消化
不良になってしまうのだと思います。
ということで、最後に宣伝になりますが、
このようなことを踏まえて、しっかりと
解説をしている拙著「図解でわかる経営の
基本いちばん最初に読む本」
( http://amzn.to/2lu3fU4 )をお読み
いただくと、これまで消化不良だった
方は、読後にスッキリすると思います。