多くの方は、「組織の三要素は、コミュニ
ケーション、貢献意欲と共通目的」ときい
たことがあると思います。
しかし、一方で、「どうしてこの3つが組
織の要素なのか?」と疑問に思っている人
もいるのではないでしょうか?
でも、その疑問を抱きつつ、この三要素は
多くの専門家が口にしているので、それで
間違いないのだろうと、やや消化不良気味
に思っているのではないかと思います。
そして、私も、前述の組織の三要素を疑問
に思うことは当然だと思っています。
まず、組織とは人の集まりなので、要素に
人が含まれていないことは不思議に感じる
と思います。
では、なぜ、組織の三要素に人が含まれて
いないのかというと、前述の「組織の三要
素」の「組織」とは、私たちが普段使って
いる「組織」が指すものとは違うものを指
しているからです。
よく引用されている組織の三要素は、米国
の組織論の研究者のバーナードの定義した
ものです。
バーナードのが定義する組織は、これも有
名ですが、「2人以上の人々の、意識的に
調整された諸活動または諸力のシステム」
というものです。
一般的に使われている組織は、共通目的を
持った人々の集まりを指しますが、バー
ナードが指す組織は、やや分かりにくい概
念ですが、「諸活動や諸力のシステム」と
いう「動き」や「仕組」を指しています。
(この定義の理解はやや困難なので、バー
ナードの定義する組織は、「活動」を指し
ていると考えていただいても構いません)
では、バーナードは、人はどのようにとら
えていたかというと、「人的システム」と
いう人のつながりとしてとらえており、こ
れは、一般的な組織とほぼ同じです。
今回の記事の本旨は、組織の説明ではない
ので、組織と人的システムの詳細は、拙著
「図解でわかる経営の基本いちばん最初に
読む本」( http://amzn.to/2lu3fU4 )を
お読みいただければ幸いです。
本題に戻ると、専門家が、「組織の三要素
は、コミュニケーション、貢献意欲と共通
目的」とだけ述べているときは、恐らく、
バーナードの定義する組織が、私たちが普
段使っている組織と同じものを指すと思い
違いをしているのではないかと思います。
私は、バーナードも、普段使われている言
葉を、別のものを指すものとして使ったこ
とに問題があると思いますが、「組織の専
門家」も、組織の研究者の大家の学説をよ
く理解した上で組織の三要素を説明すべき
だと思います。
では、「コミュニケーション、貢献意欲と
共通目的」は何なのかということですが、
「組織活動の効率化のための三要素」とし
て理解すればよいのではないかと、私は考
えています。
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