鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

Clubhouseのメリット

[要旨]

新しいSNSのClubhouseは、リアルタイムに面識のない人とも接触できるというメリットがあります。もちろん、それにはデメリットもありますが、総じてビジネスに活用できるツールになると思われます。


[本文]

これまで配信した記事から分かるように、最近の私は、新しいSNSのClubhouseに夢中になっているのですが、なぜ、夢中になっているのかということについて書きたいと思います。ひとつは、普段はではあまり接触できない人と、接触できるということです。前々回の記事で書きましたが、上場会社のCEOと3時間も同じ「部屋(ルーム)」にいるということは、リアルの世界ではなかなか体験できません。また、上場会社のCEOだけでなく、現役の銀行職員、その業界ではトップのスタートアップの経営者などとも、リアルに会話をすることができました。

ふたつめは、ひとつのテーマをルームの名前に掲げておくことで、そのテーマに関心がある人と知り合いになることができるということです。私は、融資や出版などをルームの名前につけておくことで、それに関心のある人たちとお話ができました。さらに、リアルタイムで自分の知らない情報を得ることができます。そして、外出がなかなか難しい状況にあって、そのような人たちとの人脈ができることは、大きなメリットだと思います。

みっつめは、リアルタイムにコミュニケーションができるということです。電子メールや、従来のSNSのメッセージ機能では、こちらから問いかけをしても、相手からの返事を待つ必要がありますが、Clubhouseでは、その場で返答が来ることが、とても斬新です。そのためか、夜更かしする人も少なくないようですし、逆に、夢中になることを避けるために、アカウントを解除する人もいるそうです。

以上が、私が感じたClubhouseのメリットの代表的なものです。この他にもたくさんメリットもあるし、逆にたくさんのデメリットもあります。ただ、せっかくの新しいツールなので、両者をうまく勘案しながら使っていくと、事業に有用なものになっていくと思います。

f:id:rokkakuakio:20210210003300j:plain

 

人生を変える出版こそ出版させたい

[要旨]

ある出版社の編集者の方が、出版社が出版希望者の出版に応じようとするきは、出版することが、その著者にとって人生を変えるような大きなイベントになるときに、出版に応じたくなるとお話していました。このような事例は、両者にとってWin-Winの関係になり、大きな成果につながると思われます。


[本文]

今回も、Clubhouseの話題になるのですが、先日、Clubhouseで印象に残るお話をききました。それは、ある出版社の編集者の方がお話していたのですが、出版社が出版希望者の出版に応じようとするきは、出版することがその著者にとって人生を変えるような大きなイベントになるときに、出版に応じたくなるということでした。

これは、出版社からみても、著者からみても、Win-Winの状態で、理想的ですよね。このようなWin-Winの契約が大切だということは、重々、分かってはいるのですが、あまり巡り合うことがないので、その編集者の方の話をきいて、はっとしました。

そういえば、私も、銀行に勤務していたときは、融資を申し込んでくれた会社に対して、その依頼に応じて融資をすることが両者にとって最善だと感じたときは、その案件の承認を得ようとすることに大きなやりがいを感じました。もちろん、すべての案件がそのようなものばかりではないのですが、いつか、また、そのような案件に巡りあうこともあると思うと、仕事を続ける励みになりました。

そして、私もフリーランスになってから、出版をしましたが、出版したことによって、仕事も執筆中心になったという大きなきっかけになりましたし、また、読者の方から「役に立った」という感想が届くと、出版をしてよかったと感じています。残念ながら、すべての仕事がよろこびを感じるものばかりでないことは事実ですが、少なくとも、Win-Winの結果が得られるよう努めて行くことが大切ということを、改めて感じました。

f:id:rokkakuakio:20210209214045j:plain

 

1か月の決算を12回積み重ねる

[要旨]

1年の決算は、1か月のごとの決算を12回積み重ねるという考え方で行うと、信頼性が高まります。


[本文]

先日、私が、たまたま、Clubhouseで、銀行融資をテーマにしたルームを開いたところ、面識がないにもかかわらず、ある会計ソフトのベンダーのCEOの方が参加してくださいました。その方のお話で参考になると感じたことがあったので、記事にしたいと思います。具体的には、その方の会社の提供している会計ソフトでは、月次決算を重要視しているということです。

これは、私が、以前から言っているような、経営者の方は、月次決算を行って、タイムリーに事業の改善に活用すべきという観点によるものではありません。1年の決算は、1か月の決算を12回積み上げる感覚で作るというものと考えているということだそうです。このような方法は、確かに、手間がかかる方法です。でも、あえてそのような方法を行う理由は、決算書の信頼性を高めることになっているからということです。

決算処理は、その都度、会計期間の会計処理を見直すことになりますが、正式な決算処理ではないとはいえ、1か月ごとにこれを行うことは、会計情報の正確性が高まることになります。では、そのような負担をかけてまで、会計情報の信頼性を高める価値があるのかという疑問をお持ちの方もいると思います。

でも、それは、最終的には、経営者の方が、何を重視するかという考え方によると思います。ただ、私は、現在は、管理方法を重視する経営者の経営する会社が、強い会社になっていくと考えていますし、だからこそ、前述の会計ソフトのベンダーでは、そのような会計ソフトを提供しているのでしょう。

f:id:rokkakuakio:20210207234228j:plain

 

顧客第一をさらに深めるには

[要旨]

顧客第一と考える経営者の方は多いようですが、顧客の声を集めて、従業員にフィードバックするという仕組みを作っている会社は少ないようです。そのような仕組みがなければ、単なるかけ声だけになってしまうので、具体的な仕組みを作り継続することが必須と言えます。


[本文]

経営コンサルタントの板坂裕次郎さんが、板坂さんのブログに、顧客の意見を活用している、運送会社について書いておられました。すなわち、その運送会社では、ドライバーさんが、顧客から聞いてきたたことを、社内に掲示したり、ミーティングを開いたりして、他のドライバーさんたちにフィードバックしているそうです。その際には、ドライバーさんが感動してもらえたときは、どこに感動してもらえたのか、クレームを受けたときは、どこにクレームの根源があるのかということを伝えているそうです。

板坂さんによれば、会社で上司にほめられるよりも、顧客にほめられる方がうれしいので、ドライバーさんたちは、これらのフィードバックに刺激を受けて、顧客を意識して仕事をするようになるということです。私は、「当社の方針は顧客第一」と、経営者が口にしている会社は多いものの、かけ声倒れになっていたり、単に、従業員が、顧客のいいなりに動いているだけだったりする会社が多いと思います。そこで、前述の運送会社のようなことをすればよいのですが、それって、実際にやってみても、経営者が長続きしないことが多いのだと思います。

これは私の経験ですが、私が銀行勤務時代に、渉外係をしていたとき、その支店の支店長から、「顧客を訪問したとき、何かよい情報を聞いたり、顧客から相談を受けりしたら、ノートに書いて提出するように」と言われたことがありました。でも、そういうことをさせる支店長に限って、現場から情報を集めているというポーズをとることが、本当の目的になっています。案の定、情報ノートを支店長に回しても、それに対して、返答の指示を出したり、何らかのアクションを起こしたりするということはありませんでした。

さらに、銀行にネガティブな情報を書いたときは、怒り出してしまったことがあり、それ以来、渉外係は、あたりさわりのない情報しか書かなくなりました。本当は、ネガティブな情報こそ価値があると思うのですが、器量が小さい管理者は、きちんと対処できません。そんな中、結局、情報ノートは無意味なものとなり、渉外係の負担が増えただけに終わりました。中小企業経営者の方には、その支店長のような方は少ないと思いますが、顧客第一を実践するのは、やさしいように見えて、実際にはやさしくないようです。でも、それができれば、ライバルに勝てる会社になれると思います。

f:id:rokkakuakio:20210206230529j:plain

 

なぜ信用保証協会の保証が必要なのか

[要旨]

中小企業が融資を受けるにあたっては、信用力が乏しい場合、信用保証協会がその会社を保証することによって、融資を受けやすくする制度があるものの、銀行が、信用保証協会の保証に依存しすぎることも問題なので、徐々に、この制度は縮小して行くものと思います。


[本文]

中小企業経営者の方から、「銀行は、融資をするときに、なぜ、信用保証協会の保証をつけようとするのか」というご質問を受けました。これに対する直接的な回答は、銀行が、融資のリスクを回避するためということになります。でも、当然のことながら、前述のような質問をする経営者の方は、そのようなことをききたいのではないでしょう。

銀行から融資を受けるときは、利息を支払うことになるが、さらに、信用保証協会の保証をつけることになれば、信用保証料も支払わなければならなくなる。したがって、融資を受けるコストを減らすために、信用保証協会の保証なしで融資をしてくれないのか、ということでしょう。

これについては、私は、半分はそのような経営者の方の考え方は妥当と思いますが、半分は銀行の考え方が妥当だと思っています。現実的な話として、現在は、信用保証協会の保証がなければ、融資を受けることができなくなる会社がたくさん存在するでしょう。または、融資を受けることができるとしても、融資利率を引き上げられることが条件になると思います。

そういう面では、信用保証協会の保証料は無意味化というと、そうではないと思います。その一方で、銀行が、信用保証協会の保証に依存しすぎることも問題と思います。そのような考え方から、責任共有制度(信用保証協会が保証する融資について、全額ではなく、80%のみ保証する制度)ができたり、また、創業融資も信用保証協会の保証なしで融資をする金融機関も登場してきています。

したがって、徐々にではあるものの、信用保証協会の業務は縮小していくものと、私は考えています。ちなみに、この信用補完制度については、中小企業政策審議会基本問題小委員会金融ワーキンググループで話し合われていますので、ご参照いただきたいと思います。また、新たな動きがありましたら、お知らせして行きたいと思います。

f:id:rokkakuakio:20210205155538j:plain

 

シールで時給が上昇する

[要旨]

従業員は、自分の評価に不満を持つことがありますが、評価制度が明確であれば、評価結果に差があっても、不公平感がやわらぎます。ただし、導入にあたっては、労力を要することから、導入に踏み切れない会社も少なくないようなので、簡単なものから導入することをお薦めします。


[本文]

弁護士の岸田鑑彦(きしだあきひこ)さんの配信しているポッドキャストを聴きました。その中で、インタビュアーの栃尾江美さんが、かつて、マクドナルドでアルバイトしていたときのご経験をお話しておられました。すなわち、マクドナルドのアルバイトの方は、新たなスキルを習得すると、名札に貼るシールをもらうことができ、シールが増えると時給も上がるという仕組みだったので、時給に差があっても、不公平さは感じなかった、というものです。

このマクドナルドの仕組みは有名で、同様の仕組みは、アルバイトの方をたくさん活用している会社でも導入されているようです。経営者としては、たくさん働く人にはたくさん報いたいと思うわけですが、評価の仕方に客観性が乏しいと、評価されなかった方から、えこひいきしていると思われてしまう恐れがあります。でも、前述のような仕組みがあると、栃尾さんもおっしゃっておられるように、結果に差があっても、不公平感は起きにくくなります。

ところが、従業員数が少ない会社では、このような評価制度がないことで、不公平感がくすぶっているという例も、少なくないと、私は感じています。評価制度があれば、従業員の方の不公平感が減少し、会社に対する不満も減るということは、容易に理解できるのですが、それを導入していない会社がある理由として、次のようなことが考えられます。

ひとつめは、経営者が慢心し、自分の考え方は、従業員に十分に理解してもらえているから、あえて評価制度を作る必要性がないと考えてしまっていることが考えられます。ただ、これは、経営者の方が一方的にそう考えているだけであり、実際には経営者の過信のことが多いでしょう。ふたつめは、評価制度を作る労力が大きいということです。評価制度は、事業が会社によって異なるので、他社の事例をモデルにすることはできますが、自社に合うものを作ろうとすることは、最初に労力が必要であることは、間違いありません。

しかしながら、経営者には、組織活動を活性化したり、従業員の働きやすさを確保するという、重要な役割を担っているるわけですから、従業員の不満を減らす仕組みである評価制度の導入は避けたいと考えることは、経営者の基本的な役割を避けていることになると思います。もし、評価制度の導入が面倒と考えておられる経営者の方がいらっしゃれば、簡単なものからでも、導入することをお薦めします。

f:id:rokkakuakio:20210204234727j:plain

 

先ず自分に要求せよ

[要旨]

経営者が部下にやって欲しいと考えることは、経営者が率先垂範するという考え方は大切ですが、その一方で、プロ経営者は、自らが事業経験のない会社を経営することもあり、必ずしも、自分ができることでなければ、部下にやってもらってはいけないということでもありません。


[本文]

明治時代から昭和にかけて活躍した小説家の、武者小路実篤の残したことばに、「他人に要求することを先ず自分に要求せよ」というものがあるそうです。これは、ある面で、至極当然のことだと思います。自分にできないことを、他人にやらせようとする人は、口先だけで、ちょっと嫌な人に思われてしまいますよね。

特に、部下のお手本になるべき存在である経営者であれば、部下にやって欲しいことは、まず、経営者が率先垂範しなければ、部下は難しいことにチャレンジしようとはしないでしょう。でも、その一方で、「自分にできることしか他人にやってもらえないとすれば、リーダーは、部下に対して、指示できることが限定されてしまう」と言っていた人もいたことを思い出しました。

それも確かに当然だと思います。例えば、会社を設立して社長に就任した人が、自分では簿記が分からないので、簿記のわかる従業員を雇って経理を任せるということは、よく見られることです。また、サントリーホールディングス社長の新浪剛史さんのような、いわゆる、プロ経営者は、経営する会社の事業経験がないということは珍しくなく、新浪さんご自身は恐らく造酒はできないと思いますが、酒造メーカーの経営をしています。

すなわち、新浪さんは、自分でできないことを部下にやってもらっているということになります。そして、新浪さんのようなプロ経営者は、年々増えており、私は、21世紀は、事業そのものよりも経営の巧緻の方が、事業を成功させる重要な要因になりつつあると思っています。そういう意味では、特に、プロ経営者が社長に就いている会社では、社長が自分でできないことを、どんどん部下にやってもらう時代になっているといえるでしょう。

今回の記事は、他人にやってもらおうとすることは、自分でできなければならないということが正しいかどうかの結論よりも、いまは、どちらもあてはまる面白い時代になっていると感じたので、記事にしてみました。結論がはっきりしていないという面では申し訳ないのですが、もし、将来、この件で何か新たな気づきがあったら、また、記事にしたいと思います。

f:id:rokkakuakio:20210205001059j:plain