鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

運転資金のための長期融資の据置期間

先日、私が配信したメールマガジンに、私

が、「新型コロナウイルスの影響を受けた

会社が、信用保証協会のセーフティネット

保証を利用して、運転資金のための長期融

資を受けようとすると、返済条件に、返済

据置期間は認めてもらえれないか、認めら

れたとしても6か月間になる」と書いたと

ころ、飲食店経営者のYさんから、「返済

据置期間を認めてもらえない理由はどうい

うものなのか」という質問がありました。


まず、Yさんの質問に、直接的な回答をす

ると、運転資金のための長期融資は、融資

(保証)の審査の段階で、融資の返済が可

能かどうかを、キャッシュフロー(資金流

入)の見込みで判断します。


これは、言い換えれば、融資(保証)の申

し込みをした会社は、今後、キャッシュフ

ローが見込めるので、それで融資を返済し

てもらう条件で融資(保証)の承認をして

いるということです。


そして、すでに開業している会社は、一般

的には、融資の翌月にはキャッシュフロー

は見込めるであろうから、返済据置期間は

不要と判断されます。


また、新型コロナウイルスの影響を受け、

一時的に売上が不振になったとしても、6

か月後までにはキャッシュフローが見込め

るであろうから、返済据置期間を認めると

すれば、6か月間のみということになりま

す。


これが直接的な回答ですが、多くの経営者

の方は、あまりピンと来ないと思います。


なぜなら、多くの会社では、融資を受けら

れるかどうかが問題であり、融資を受けら

れるとすれば、返済は遅い方がいいと考え

ているからです。


しかも、会社の資金繰が逼迫している直接

的な原因が、既存の融資の返済負担がきつ

くなっているからで、事実上、既存の融資

を返済するめに新たな融資を受けるという

ことも少なくありません。


そのような状況がいいか悪いかということ

は別として、融資(保証)をする側と、融

資(保証)を受ける側の間には、前述のよ

うに、「返済」に関する考え方にギャップ

があるということを、中小企業の事業改善

のお手伝いをしているものとして感じてい

ます。


私は、融資を受ける側も、銀行のような考

え方をするべきだと考えていますが、その

根拠については、次回の記事で述べたいと

思います。


ちなみに、この記事を書くにあたって、あ

る信用保証協会の方に、念のために確認し

たのですが、セーフティネット保証で運転

資金の融資への保証を行うときは、場合に

よっては、1か年の返済据置期間を認める

こともあるそうです。


どういう場合にそれが認められるのかとい

うことについての詳細は割愛しますが、返

済据置期間を望む場合は、保証の申請のと

きに、その理由をしっかりと説明すること

が必要になります。





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新型コロナウイルスの金融機関への影響

新型コロナウイルスの影響ですが、経済面

への影響が、日々、拡大しています。


具体的には、(1)飲食店、宿泊業、貸会

議室など、集会やイベントのキャンセルの

影響を受けている業種、(2)従業員が出

社できないどの事情により、事業活動が縮

小したり停止したりしている会社、(3)

前述の会社と取引しているために、間接的

に影響を受けている会社、などの会社があ

げられます。


これに対し、政府は、中小企業への新たな

金融支援をする方針です。


具体的には、信用保証協会のセーフティ

ネット保証の対象の拡大や、日本政策金融

公庫のセーフティネット貸付の要件緩和が

行われていますが、それに加えて、金融庁

は民間金融機関へ配慮を要請しています。


この配慮とは、融資相手の会社からの相談

に応じたり、新たな融資を行ったりするこ

とも含まれていますが、最大のものは、既

存の融資の条件変更でしょう。


これは、法律が期限切れになったにもかか

わらず、昨年の3月まで実質的に続けられ

てきた、中小企業金融円滑化法(モラトリ

アム法)と同様の、融資相手からのリスケ

ジュールの要請に応じるという対応が、復

活する状態になる可能性があります。


それがどこまで進むかは、現時点ではまだ

不明ですが、少なくとも、民間金融機関の

融資相手の会社の業績が下がって行けば、

融資をしている金融機関は貸倒引当金を増

やさなければならず、金融機関自身の業績

にも悪い影響を受けることになります。


そして、この金融機関の業績悪化は、金融

機関が新たな融資を行うことに、消極的に

なってしまう原因になります。


そこで、金融庁は、金融機関がそうならな

いよう、なんらかの対策を講じることにな

ると思われます。


そのひとつは、業績が不振な地方銀行への

重点監視を、一時的に棚上げにするという

ことも、十分に考えられます。


仮にそうなったとしても、これは、大きな

経営環境の変化によるものであり、やむを

得ないことでしょう。


現時点では、地域金融機関が融資に消極的

にならないような政策を行うことで、経済

活動の縮小を回避するようにすることが、

最優先されるべきでしょう。


現時点では、国全体で、新型コロナウイル

スによる経済活動の混乱を早急に鎮静化さ

せ、本来打つべき施策を1日も早く実施で

きるような状態にすることが大切だと思い

ます。

 

 

 

 

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バランス・スコア・カード(3)

前回の配信で、BSCの4つの視点を説明

しましたが、今回は、その4つの視点の関

係について説明します。


ところで、バランス・スコア・カードの、

「バランス」とは、どういうことを意味し

ているのでしょうか?


それは、かつては、会社に対する評価が、

財務面に偏っていたということへの反省を

踏まえ、財務の視点と、非財務の3つの視

点(顧客の視点・業務プロセスの視点・学

習と成長の視点)を合わせた4つの視点の

均衡(バランス)をとるという意味です。


では、4つの視点の間で、どのように均衡

をとればよいのか、それぞれの視点の関係

を見ながら説明していきます。


(1)財務と非財務の均衡:BSCの最大

の特徴である、非財務面での評価を財務面

の評価と均衡させようとする関係性です。


会社の評価方法に、財務面での評価を欠く

ことはできませんが、財務面での評価を高

めるために、非財務の3つの視点での活動

で、どのように実現させるのかということ

を明らかにすることで、財務面と非財務面

の活動の均衡を図ることができるようにな

ります。


(2)短期的な活動と中長期的な活動の均

衡:財務の視点は、利益率や成長率など、

主に1年以内に達成されることを目指す活

動が主なものです。


それ以外の3つの視点は、1年以内に限ら

ず、数年間かけて達成しようとするものが

多く含まれることが考えられます。


例えば、学習と成長の視点で、「採用した

人材の能力を高めるための活動」を行って

いたとき、その成果は、数年後になって、

接客能力の向上などによって、財務面で現

れるものです。


このように、4つの視点から最適な活動を

検討することで、短期的な活動と中長期的

な活動の均衡を図ることができます。


(3)要因と結果の均衡:各視点から検討

される活動には、要因と結果の関係にある

ものがあります。


例えば、学習と成長の視点で「採用した人

材の能力を高めるための活動」を行った結

果、顧客の視点で「顧客満足度が向上する

ための活動」が実行できるようになり、さ

らにその結果、財務の視点で「利益率の向

上のための活動」が実行できるようになり

ます。


このように、各視点での戦略を個々に検討

するのではなく、「将来の業績向上ための

活動」→「直面している課題として取り組

む活動」→「結果としての実績を向上させ

るための活動」という、時間軸を念頭にお

いた因果関係を均衡させて検討することが

できるようになります。


(4)内部と外部の均衡:4つの視点で検

討する活動の働きかける対象は、内部に働

きかける活動と、外部に働きかける活動に

分けることができます。


前者は、社内のしくみを対象とする業務プ

ロセスの視点によるものと、従業員やノウ

ハウなどを対象とする学習と成長の視点に

よるものです。


後者は、顧客を対象とする顧客の視点によ

るものと、株主や銀行などの債権者を対象

とする財務の視点によるものです。


このように、4つの視点に基づく活動を検

討することで、内部からの評価と外部から

の評価を均衡させることができるようにな

ります。


このように、BSCは、単に、財務の視点

以外の視点からの評価を取り入れるという

だけでなく、さまざまな面からの均衡を図

ることができるようになるという点で、優

れています。


ここまで、3回にわたり、BSCに説明し

てきましたが、3回の説明でも、BSC全

体の、ほんの入り口部分しか説明できませ

んでした。


全部説明しようとすると、たくさんの回数

が必要になりそうなので、BSCについて

は、いったん、これで終わりにして、これ

以降の部分は、別の機会に説明したいと思

います。


なお、3回分のまとめとして、BSCのよ

さについて述べさせていただくと、事業戦

略というと、効果の高いものを実施しなけ

ればならないと考えている経営者の方は多

いと思います。


その考え方は誤りではないのですが、一方

で、効果の高い事業戦略を遂行するには、

それなりの経営資源(ひと、もの、かね)

が必要になります。


そして、多くの会社は経営資源が潤沢では

ないからこそ、効率的な資源配分が大切に

なってきます。


この資源配分の巧緻こそ、経営者の能力の

問われるところであり、事業の優劣の決め

手になると思っています。


極端な例ですが、経営自身が営業活動に熱

心で、どんどん受注をとってくるけれど、

それに着いていく従業員が疲弊していると

か、経営者は製品づくりに集中しているけ

れど、なかなか売れないか、採算が得られ

ずにいるため、業績はよくならないという

会社を見るときがあります。


このようなバランスの悪い事業活動をして

いる会社こそ、BSCを大いに活用できる

し、新たな事業を始めるよりも、確実に事

業を改善できるようになります。




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バランス・スコア・カード(2)

今回は、前回説明したBSCについて、そ

の優れた点について説明していきます。


BSCの最大の特徴は、財務の視点と、非

財務の3つの視点(顧客の視点・業務プロ

セスの視点・学習と成長の視点)で、会社

を多面的に評価することであり、これは、

同時に、BSCの優れている点でもありま

す。


(1)財務の視点:会計的な基準で評価を

行う視点で、主に株主への期待に応えるた

めにどのような活動をするかということが

目的です。


具体的な例としては、利益率、成長率、

キャッシュ・フローの多さなどを、どのよ

うな活動によって高めるかということを、

この視点で検討します。


なお、財務の視点は、株主だけでなく、銀

行、顧客、従業員などからの評価を高める

ことにもつながる、重要なものです。


(2)顧客の視点:顧客は、事業を進める

にあたって、株主と同様に重要な利害関係

者です。


その顧客の視点からの評価を高めるたには

どのような活動を行うかを、この視点から

検討します。


具体的には、顧客満足度市場占有率、顧

客1人あたりの販売額、リピート率などを

どのように高めるかということを、この視

点で検討します。


(3)業務プロセスの視点:株主や顧客を

満足させるために、事業においてどのよう

なプロセスをとるべきかを検討する視点で

す。


具体的には、バリュー・チェーンの見直し

によるコスト・カット、納品期間の短縮、

不良品発生率の低下や、新製品開発の頻度

の向上、顧客へのアフターサービスの向上

のために、どのような活動を行うかを検討

します。


なお、この視点での活動を実践するときに

は、原材料・部品・商品などの納品先へも

協力を求めることになります。


(4)学習と成長の視点:業績向上のため

に必要な業務プロセスが明確になると、そ

れを遂行できるようにするための、人材や

能力を明確にする必要があります。


学習と成長の視点では、そのような人材や

能力を確保するために、どのような活動を

行うかを検討する視点です。


具体的には、優秀な人材を確保するための

活動、採用した人材の能力を高めるための

活動、事業活動によって得られたノウハウ

を上手に蓄積し活用するための活動を検討

します。


以上からも分かる通り、この視点での活動

は、従業員とのかかわりが深ものとなって

います。


また、これらの4つの視点は、それぞれが

個別に検討されるものでなく、「財務の視

点」←「顧客の視点」←「業務プロセスの

視点」←「学習と成長の視点」と、有機

に関係していることも特徴です。


文字数の兼ね合いから、今回の説明はここ

までとし、次回は、この4つの視点の関係

について説明します。

 

 

 

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バランス・スコア・カード

前回、私が顧問先へご支援する内容は、バ

ランス・スコア・カード(以下、BSCと

記します)の導入と述べました。


これまで、BSCについては、部分的には

触れてきましたが、全体を通して説明した

ことがなかったので、今回、改めてご説明

したいと思います。


BSCは、米国の経営学者のロバート・S

キャプランと、米国のコンサルタント

社社長のデビッド・ノートンが、1992

年に発表した業績評価システムです。


BSCは、かつて、米国での会社の評価方

法が短期的な財務面に偏りすぎているとの

批判から考え出されたものです。


具体的には、財務の視点意外に、非財務の

視点(顧客の視点・業務プロセスの視点・

学習と成長の視点)も取り入れて評価する

仕組みを取り入れています。


その後、多くの会社は、事業が長期的に安

定して成長することが、会社の利害関係者

である株主、顧客、従業員にとっても好ま

しいと考えるようになり、BSCを導入す

るようになって行きました。


BSCは、このように業績評価システムと

して誕生しましたが、その後、次のような

効果が得られるものとして注目されて来ま

した。


(1)BSCを実践するためには、まず、

社内で実践されている個々の戦略を有機

に結びつけた戦略マップを作成しますが、

その戦略マップを作成する作業の中で、複

数の戦略の間での対立や問題点を発見し、

それを調整したり排除したりすることで、

会社全体としてスマートな戦略の遂行が可

能になります。


(2)重要業績評価指標(KPI)が設定

されることで、各戦略を遂行する事業、部

署の目標、責任、権限が明確になります。


(3)各戦略の役割、各部署の責任などが

明確化されることで、各事業間、各部署間

での認識の相違がなくなり、戦略遂行にあ

たっての社内での意思疎通が円滑になりま

す。


このように、BSCは戦略を効果的に遂行

するためのツールとして高い評価を受け、

導入する会社が増えています。


なお、内容が長くなりますので、戦略マッ

プ、KPIなどの、BSCに関連する独自

の用語については、次回から順次解説して

いきます。

 

 

 

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わかりにくいメールマガジン

先日、私が配信しているメールマガジン

読者の方から、「六角さんに仕事を依頼し

たいと思っているのですが、六角さんがど

ういうことをしてくれる人なのか、メール

マガジンを読んでもよくわかりません」と

いう質問を受けました。


これに対する、直接的な回答は、「私が、

顧問先の方に対して行うご支援は、BSC

(バランス・スコア・カード)の導入と、

その定着化による業績の向上を目指すため

のご支援です」というものです。


ただ、BSCの導入は、経営習熟度があま

り高くない状態の会社では難しい面もある

ので、その場合は、PDCAの実践による

改善活動をお薦めしています。


しかし、それも難しい場合もあるので、そ

のような会社さまには、「銀行から評価さ

れる会社になることを目指し、安定した資

金調達ができるようにしましょう」と提案

し、事業活動が円滑に進むようなお手伝い

をしています。


銀行から評価されるような会社になると、

おのずから業績も向上するからです。


ここまで述べてきたことからも分かるよう

に、私は、戦術レベルのご支援よりも、土

台となる戦略や、組織の習熟度を高めるた

めのご支援を行っています。


このような、足腰を強くする方法は、遠回

りのように感じる方もいますが、環境変化

が激しい時代にあっては、応用力の高い会

社を目指すことの方が、ライバルとの差を

広げやすいと、私は考えています。


話を本題にもどすと、私のメールマガジン

の内容が、私の仕事の内容がわかりにくい

ものとなっているということについては、

意図してそのようにしています。


このような、分かりにくいメールマガジン

は、定石とは違う手法です。


でも、コンサルタントの場合、例えば、

「私の開発した手法を導入すれば、貴社の

売上が1年で売上が2倍になります」とい

うような謳い文句は、あまり適さないと考

えています。


私自身の例でいうと、開業して間もないこ

ろ、「銀行出身のコンサルタントときいた

ので、うちの会社の融資申請の支援を依頼

したい、もちろん、現在のうちの会社の業

況では、なかなか融資を受けられないとい

うことは分かるが、だから君に依頼する」

という打診をいくつも受けました。


これは、要は、「銀行で働いていた人は、

銀行をあざむく方法もわかっているだろう

から、銀行をあざむいて融資の承認を得て

欲しい」という依頼です。


もちろん、すべての人がそのような依頼を

してきたわけではありませんが、もし、私

が、「どんな会社でも、銀行から融資を受

けられるようにします」というような謳い

文句を触れ回っていたとしたら、銀行をあ

ざむいてでも融資の承認をとって欲しいと

考える人からの支援の依頼が増えたと思い

ます。


本旨からそれますが、実際に、銀行をあざ

むく方法で融資の承認を得ることに手を貸

す「コンサルタント」はいるようですし、

私もそのような人を見たことはあります。


でも、そのような人は、顧問先のことを大

切に思っているどころか、事業が行き詰ま

る速度を速めているだけだということは、

述べるまでもありません。


私が、銀行をあざむくことに手を貸すこと

はしないという理由は、銀行に迷惑をかけ

たくない、道義に反することはしたくない

というよりも、支援する相手を、たとえ、

その相手からの依頼であっても、支援する

どころか、事業の改善の妨げになるような

ことをすることになってしまうからです。


このように、コンサルタントが謳い文句を

強調しすぎると、それを見た経営者が、特

効薬のような手法を期待し、結果として、

依頼者の本質的な課題を解決できなくなっ

たり、さらには、解決から遠ざけてしまう

ことにつながると、私は考えています。


そこで、私は、メールマガジンでは、私の

仕事の内容をあまり強調せず、まず、事業

の改善のためには、どのような方法がよい

のかということを理解してもらうための内

容を配信しています。


そして、そのメールマガジンの内容に共感

してくれる経営者の方が増えて行き、その

ような経営者の方が、私を含めたコンサル

タントに、正しく仕事を依頼してくれるよ

うになって行って欲しいと考えています。


このような方法は、効果が現れるまで時間

のかかる方法でもあるということは理解し

ていますが、私は、この方法以外の方法は

ないと考えています。

 

 

 

 

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経理規定と会計情報の正確さ(2)

今回は、前回の記事の続きで、「会社に経

理規定がないと、なぜ、会社の会計処理が

不正確になるのか」ということについて、

説明します。


とはいっても、これから説明することは、

簿記を知っている方にとっては当たり前の

ことなので、特に真新しいことではありま

せん。


これまでに私が見て来た、会計処理が不正

確な会社の具体的な例を挙げると、売上原

価を、会計期間中の仕入額総額としている

会社がありました。


ちなみに、売上原価は、売上原価=期首棚

卸高+期中仕入高ー期末棚卸高という式で

計算します。


でも、前述の会社が、期中仕入高のみを売

上原価としていたのは、実地棚卸をしてい

ないことが原因と考えられます。


それでは、その会社は、なぜ、実地棚卸を

行っていないのかという理由ですが、恐ら

く、実地棚卸だけを行っていないというこ

とではなく、会計記録自体をきちんと行っ

ていないのではないかと思います。


すなわち、仕入を行ったときに受け取った

領収書などを保管するだけで、決算日が過

ぎた後、その金額の合計額だけを売上原価

にしているのでしょう。


似たような例として、売上高についても、

本当は、製造業や卸売業では製品・商品を

発送した時点で計上することが一般的です

が、代金が口座に入金となってから、それ

を売上としている会社を見たことがありま

す。


これも、意識してそうしている訳ではない

ようで、恐らく、製品・商品を発送したと

きに売上を計上するという会計記録を行わ

ず、決算期が過ぎてから、銀行の預金通帳

などを見て、入金された金額を売上として

いるのでしょう。


ここでは単純な例をあげましたが、要は、

会計記録そのものを行うという体制がない

ために、事後的にわかる資料だけで決算を

行っていることが、不正確な会計情報しか

えられない原因になっているということな

のだと思います。


では、経理規定があると、正確な会計情報

が得られるようにのかということですが、

もちろん、経理規定をつくっただけでは正

確な会計情報を得ることはできません。


このことは、会社に「経営理念」はあるけ

れど、額に収められているだけで、役員・

従業員がそれを意識せずに事業活動をして

いては、経営理念の意味がないということ

と同じです。


まず、事業活動は会社によってまちまちな

ので、中小会計要領をベースにして、自社

にはどのような会計処理が望ましいかを検

討し、その結果を経理規定として定めて行

きます。


その次に、その経理規定に基づいた会計処

理を確実に遂行できるようにするために、

体制を整えなければなりません。


そうすることではじめて、より正確な会計

情報が得られるようになります。


これに対して、「会社は帳簿付けのために

事業をしているのではない」ということを

考える経営者の方もいると思います。


これについては、多々、説明をしたいので

すが、過去に経理の大切さについて述べた

ことがあるので、その記事をご参考にして

いただきたいと思います。


(ご参考→ https://bit.ly/2SVYTnP


話をもどして、会計記録をきちんと行って

いなければ、それだけで会計情報は不正確

であり、粉飾を行うことさえできないとい

うことは、ご理解いただけると思います。


もちろん、会計記録をきちんと行っていな

い会社でも、例えば、架空の売上を計上す

るということはできなくはありませんが、

そのような単純な粉飾は、比較的に見破ら

れやすいものであり、銀行からみれば、そ

のような会社は珍しくないと感じる程度の

ものです。

 

 

 

 

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