鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

銀行職員と会わずに融資を受けられるか

以前、知り合いの税理士の方から、顧問先

の会社が銀行からの融資を受けようとして

いるが、会社の事業は貿易をしており、社

長が貿易相手の国に出張していることが多

いので、社長が銀行に行かないでも融資を

受けることができるか教えて欲しいという

ご質問を受けました。


まず、この質問の前提として、融資を申し

込む会社が中小企業(≒オーナー会社)で

あり、銀行と融資取引を初めて行うという

ことであるとすると、経理部長などが社長

に代わって融資の申し込みを行うことで、

融資の承認を得るところまでは可能だと思

います。


ただし、実際に融資をするにあたって、融

資の契約に必要な書類を書いてもらうとき

は、銀行職員が会社に行き、そこで社長に

保証書などを書いて欲しいと言われるで

しょう。


仮に、融資の条件が社長の保証を不要とす

る場合、社長に記載してもらう契約書など

はありませんが、それでも、銀行職員が実

際に会社に行き、社長と面談したいという

でしょう。


このようなことをするのには、いくつかの

理由があります。


ひとつめは、会社の実態があるかというこ

とを確認することです。


融資の手続きを、銀行の店舗だけで行って

しまうと、偽造した書類を提出され、融資

資金をだましとられる可能性があるので、

実際の融資を行うに先立って、実際に会社

の実態があるかどうかを確認する必要があ

るということが、理由のひとつです。


ふたつめは、オーナー会社の場合、融資契

約は会社と行うものであっても、実態は、

経営者個人の信用で融資を行うという面も

あるので、最終的に融資契約は経営者の意

思によるものであることを確認する必要が

あります。


これは、今回の記事の本旨からやや外れま

すが、希に、融資を受けている会社の経理

部長が、社長に指示されていないのに銀行

に融資を申し込み、その融資金を着服する

という事件が起きるので、銀行は、融資相

手の会社の最終的な責任者が、銀行の行お

うとしている融資について承知しているか

どうかということを、常に、確認するよう

にしています。


以上のふたつが、銀行が融資を行う会社の

社長と会おうとする主な理由ですが、全体

としては、前述のように、オーナー会社へ

の融資は、社長個人を信頼して行っている

面もあるので、銀行としては社長とすぐに

接触できる状態にしておきたいという意図

があります。


ただ、冒頭の質問ですが、社長が日本にい

ないことが多いので、社長が銀行職員と会

わないで融資手続きをすませたいという考

えは、単なる口実のような感じがします。


なぜなら、事業を成功させるには、融資を

受けることが必要なのに、顧客には時間を

とって会いにいく一方で、銀行に行く時間

を確保できないということは、結局は、社

長の意識の問題だと思います。


確かに、社長は忙しいので、時間を取るこ

とが難しいという事情は理解できますが、

それでは融資を受けることに失敗してもよ

いのかという疑問が残ります。


仕事の相手が海外にいるとしても、だから

といって、自社の本社がある日本の銀行に

社長が足を向けたり、銀行職員の訪問を受

けることが相当困難とは考えにくいと思い

ます。


私がこのように書くと、融資を受けようと

する会社は銀行に気を使うべきと主張して

いるように感じる人もいると思いますが、

銀行に対しては、融資を受けようとしてい

るからといって、へりくだる必要はまった

くありません。


ただ、自社を信用して融資をして欲しいと

依頼する以上、銀行に社長が顔を見せない

状態で、融資の承認を得たいというのは、

一般的には無理な考えであると私は考えま

す。

 

 

 

 

※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/

 

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20190801163250j:plain

 

 

 

●当事務所の8月~9月の予定をお知らせ

します。



スカイプ相談実施日」

8月8日(木)

詳細とお申込み→ https://goo.gl/fShaEi

 


「信用保証協会徹底活用セミナー」

8月19日(月)13:00~15:00

詳細とお申込み→ http://bit.ly/L3TmzF

 


スカイプ相談実施日」

8月22日(木)

詳細とお申込み→ https://goo.gl/fShaEi

 


「経営入門セミナー」

8月26日(月)19:00~21:00

詳細とお申込み→ https://amba.to/2GmM7bm

 


「融資に強くなる勉強会」

9月6日(金)13:00~15:00

詳細とお申込み→ https://amba.to/2YDIIep

 

 

 

 

 

 

 

夏休みの宿題

8月といえば、夏のど真ん中。


私が子どものころは、夏休みを満喫してい

ました。


しかし、子どもなりに、一抹の不安をかか

えながら夏休みを過ごしていました。


とはいっても、それほどたいしたことでは

なく、夏休みが終わるまでに宿題を終わら

せることができるかということでした。


ただ、冷静に考えれば、宿題は多いといっ

ても、休みも約40日間あるので、1日あ

たりの量はそれほどでもありません。


したがって、毎日、少しずつ宿題を解いて

いけば、むりなく宿題を終わらせることは

十分に可能です。


そして、毎日、少しずつ宿題を解くことの

利点は、8月の終わりになって慌てて宿題

を解くよりも、必要な時間や心理的な負担

が少なくてすむということです。


ただ、このようなことは、小学生でもわか

ることなのですが、夏休みになると、どう

しても遊びに夢中になってしまいます。


そして、8月の終わりになって苦しい思い

をして、「来年は同じことはしないですむ

ようにしよう」と思いつつ、また、同じこ

とを繰り返してしまいます。


自分のこのような経験もあり、私は、人は

計画的な行動がすきではない習性があると

考えています。


そして、この習性は、会社経営者の方にも

あてはまる部分があると思っています。


なぜ、私がそう思うのかということについ

ては詳しい説明は要らないと思いますが、

人はコツコツと仕事をすることを続けると

か、計画通りに事業が進んでいるかを確認

することは嫌いなようです。


私は専門家ではないので、なぜこのような

習性があるのかは、詳しくは分からないの

ですが、単純に言えば、意思の弱い人は、

目の前の嫌なことを先延ばししてしまうと

いうことなのだと思います。


ただ、これも私が述べるまでもないのです

が、長期的に業績を伸ばしている会社の経

営者の方は意思の強い方なので、会社の業

績の良し悪しは、経営者の意思の強さによ

る部分が大きいのでしょう。


ところで、今回の記事の内容は、そっくり

私自身に跳ね返ってきます。


私も、口ではやせたいといいつつ、ぜんぜ

んやせられないでいます。


意志の弱さを自ら証明しています。


そこで、これから、体重、歩いた歩数、食

べたものを毎日記録していくことにしまし

た。


そして、顧問先の経営者の方に、「経営者

の方は、意思が強くなくてはいけません」

と、1日でも早く言えるようにしたいと思

います。

 

 

 

 

※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/

 

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20190801132509j:plain

 

 

 

 

●当事務所の8月の予定をお知らせします。



「融資に強くなる勉強会」

8月5日(月)13:00~15:00

詳細とお申込み→ https://amba.to/2xsDIye

 


スカイプ相談実施日」

8月8日(木)

詳細とお申込み→ https://goo.gl/fShaEi

 


「信用保証協会徹底活用セミナー」

8月19日(月)13:00~15:00

詳細とお申込み→ http://bit.ly/L3TmzF

 


スカイプ相談実施日」

8月22日(木)

詳細とお申込み→ https://goo.gl/fShaEi

 


「経営入門セミナー」

8月26日(月)19:00~21:00

詳細とお申込み→ https://amba.to/2GmM7bm

 

 

 

 

 

 

 

ノルマよりも顧客の創造を

先日、イエローハット創業者の鍵山秀三郎

さんのメールマガジンを読みました。


「売上を上げる社員がよい社員、という評

価は必ずしも当たっておりません。


売上を強制しますと、社員の心が荒んでき

ます。


また、100の実力しかないお客様に20

0売りますと、相手の心も荒んできます。


挙げ句のはては、資金繰りのため、仕入

た値段以下で売らざるを得なくなります。


結果において、世の中まで荒むようになり

ます」


いま、大手地方銀行政府系金融機関など

が、過剰な「ノルマ」を職員に対して課し

たことで不祥事が起き、問題となっている

ことから、この鍵山さんのご指摘が改めて

的を射るものだと感じました。


だからといって、ここで、「経営者は部下

に過酷なノルマを課すことはよくない」と

いうことを述べるつもりはありません。


今回、鍵山さんのメールマガジンを引用し

た理由は、つぎのふたつについて感じたか

らです。


ひとつは、説明責任です。


100%そうだとは言わないまでも、経営

者が部下にノルマを課した時、ノルマを達

成できなかったとき、その責任は部下にあ

ると考えてしまうのではないでしょうか?


心ある経営者はそうではないと考えると思

いますが、厳しいノルマを課す会社の経営

者が、ノルマを達成できない部下を強く叱

責する傾向があるのは、ある意味、自分が

ノルマを課すことしかしておらず、だから

こそ負い目を感じていることが背景にある

のではないでしょうか?


したがって、ノルマを課す以上、それは達

成可能であることを説明できなければ、そ

の経営者は十分な責任を果たしたとは言え

ないでしょう。


(ご参考→ https://bit.ly/2YwEMjw


ふたつめは、ドラッカーの有名な名言であ

る、「事業の目的は顧客の創造である」と

いう言葉です。


(ご参考→ https://bit.ly/2ZnFxZE


先ほど、過剰なノルマを課す経営者は、説

明責任を果たしていないと述べましたが、

そうなる原因は、あまり売れそうにない商

品を販売していることが大きな要因のひと

つでしょう。


すなわち、あまり売れそうにない商品を扱

う事業は参入障壁が低いなどの理由から、

いったん参入するものの、そのような事業

の経営環境はレッドオーシャンの状態であ

り、そこで部下に過剰なノルマを課すとい

うことになってしまうのでしょう。


競争を優位に進めるには、本来は競争の少

ないブルーオーシャンで事業を展開しなけ

ればならないのですが、そのためには、新

たな市場(顧客)を創造することの重要性

が高まります。


確かに、新たな市場(顧客)の創造は容易

ではないのですが、そうでなければ、レッ

ドオーシャンでの戦いを続けざるを得ませ

ん。


ここまで書いて来たことは、経営者は説明

責任を果たし、競争力の高い事業を行わな

ければならないということですが、それが

できないまま事業を始めてしまえば、鍵山

さんの指摘するように、事業の継続そのも

のが目的化してしまいます。


このように書くと、「それができればとっ

くにやっている」と考える方も多いと思い

ます。


しかし、私は、「市場(顧客)の創造」を

しようとしている人は少数だと思います。


なぜなら、事業計画を作成したり、PDC

Aを実践したりしている人は少ないからで

す。


仮に、「市場(顧客)の創造」が困難なこ

とであるとすれば、鍵山さんのご指摘は、

その事業を続ける意味がないということに

なると思います。


結局、私は、「市場(顧客)の創造」や、

説明責任を果たすことは、経営者に求めら

れるマネジメント機能であり、それを実践

できるかどうかは、経営者の能力次第と考

えています。


これを言い換えれば、ノルマを課すことし

かしていない「経営者」は、本来の経営者

の役割を果たしていないということです。

 

 

 

 

※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/

 

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20190731135035j:plain

 

 

 

 

●当事務所の8月の予定をお知らせします。



「融資に強くなる勉強会」

8月5日(月)13:00~15:00

詳細とお申込み→ https://amba.to/2xsDIye

 


スカイプ相談実施日」

8月8日(木)

詳細とお申込み→ https://goo.gl/fShaEi

 


「信用保証協会徹底活用セミナー」

8月19日(月)13:00~15:00

詳細とお申込み→ http://bit.ly/L3TmzF

 


スカイプ相談実施日」

8月22日(木)

詳細とお申込み→ https://goo.gl/fShaEi

 


「経営入門セミナー」

8月26日(月)19:00~21:00

詳細とお申込み→ https://amba.to/2GmM7bm

 

 

 

 

 

 

 

担保提供者と連帯保証人はセット

銀行から融資を受けるときに、担保を提供

した人は、融資の連帯保証人にもなっても

らうことが一般的です。


担保(ここでは不動産担保を前提として話

を進めます)の契約と、連帯保証契約は、

それぞれ別の契約なのですが、銀行職員の

頭の中は、「担保提供者=連帯保証人」と

なっています。


それは、朝、だれかに会ったら「おはよう

ございます」とあいさつするというくらい

あたりまえのことになっています。


ちなみに、銀行が制定している担保契約書

の担保提供者の欄には、「根抵当権設定者

(注:担保提供者のこと)兼連帯保証人」

と印刷されており、こちらも担保提供者は

連帯保証人という前提になっています。


しかし、銀行は、なぜ、担保提供者を連帯

保証人にするのか、そのはっきりとした理

由が私には見つかりませんでした。


でも、それなりの理由はあるようです。


その最も大きい理由として考えられること

は、不動産の担保提供者は、根抵当権の消

滅請求(民法第398条の22第1項)が

できることです。


(どんなときでも根抵当権の消滅請求がで

きるわけではありませんが、ここでは詳細

な説明を割愛します)


具体的には、銀行が担保を処分しようとす

るとき、担保提供者が根抵当権の極度額

(担保契約で定めた、融資を担保する上限

の金額)相当額を銀行に支払うと、担保契

約は消滅します。


例をあげて説明すると、A社の社長のBさ

んは、A社の社屋を新たに建てるため、B

さんの夫人の父親のCさんが持つ土地を借

りて、そこに社屋を建てることにしたとし

ます。


その際、A社は銀行から1億円の融資を受

けたので、Bさんは連帯保証人に、Cさん

は(連帯保証人にならずに)社屋の敷地を

担保として提供したとします。


(A社の社屋は、融資が行われる時点で完

成していれば、敷地とともに担保契約が結

ばれますが、融資が行われた後に完成する

場合は、完成した時点で、担保に追加され

ることが一般的です)


ここで、会社の敷地は融資を受けて取得し

たものではなく、もともとCさんが所有し

ていたものなのに、なぜ担保にするのかと

いう疑問を持つ方がいるかもしれません。


これについての詳細な説明も割愛します

が、まず、担保は処分しやすいものでなけ

ればならないという原則があります。


それは、担保の目的は、担保を処分して融

資の回収にあてることだからです。


しかし、実務的には、建物を処分しようと

するときは、敷地とセットでないと処分が

かなり困難になるので、敷地も担保にする

ことが一般的です。


これを言い換えると、建物だけを担保にし

ても、処分価格がかなり低くなり、担保に

する意味があまりなくなってしまうという

ことです。


話を戻し、A社が社屋建設のための融資を

受けたあと、不幸なことに業績が悪化し、

融資の返済が困難になったことか場合は、

担保を処分して、融資の回収を行うことに

なります。


その時点で、A社が社屋を建てる際に受け

た1億円の融資の残額が8,000万円、

その後に、別途受けた運転資金としての融

資が5,000万円あったとします。


このとき、Cさんが、担保契約の極度額の

1億円を銀行に支払って根抵当権消滅請求

をすると、根抵当権は消滅します。


もちろん、銀行は、Cさんから1億円を受

け取れるので、ある程度の利益はあるので

すが、建物の処分がしにくくなるので、全

体としては、銀行は融資の回収は煩雑にな

ります。


しかし、担保契約の時点で、Cさんが連帯

保証人になっていると、民法の規定(第3

80条、第398条の22第3項)で、C

さんは根抵当権の消滅請求ができなくなり

ます。


このことから、銀行が担保提供者を連帯保

証人にする理由は、根抵当権消滅請求を行

うことができないようにし、担保処分が円

滑に行えるようにすることが主な理由と考

えられます。


その他にも考えられる理由があると思いま

すが、総じて、担保処分が円滑になるよう

にするためと考えられます。


もちろん、銀行が担保提供者と担保契約を

結ぶときは、連帯保証人にもなってもらう

という説明は行い、契約書の控えも渡され

るので、担保提供者が知らないうちに連帯

保証人になっていたということはないと思

います。


ただ、前述の例のような場合、CさんはB

さんから、「敷地を担保に入れて欲しい」

とだけ依頼されることが多いので、連帯保

証人になることは、強く意識していないか

もしれません。


このようなこともあることから、銀行との

契約は、前もってよく説明をきいておくこ

とが欠かせません。


最後に、本文中の法令に関する説明は、理

解しやすさを優先して記述しており、必ず

しも正確な説明にはなっていない点があり

ますことをご了承ください。

 

 

 

 

※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20190729183554j:plain

 

 

 

●当事務所の8月の予定をお知らせします。



「融資に強くなる勉強会」

8月5日(月)13:00~15:00

詳細とお申込み→ https://amba.to/2xsDIye

 


スカイプ相談実施日」

8月8日(木)

詳細とお申込み→ https://goo.gl/fShaEi

 


「信用保証協会徹底活用セミナー」

8月19日(月)13:00~15:00

詳細とお申込み→ http://bit.ly/L3TmzF

 


スカイプ相談実施日」

8月22日(木)

詳細とお申込み→ https://goo.gl/fShaEi

 


「経営入門セミナー」

8月26日(月)19:00~21:00

詳細とお申込み→ https://amba.to/2GmM7bm

 

 

 

 

 

 

 

多額の借財

株式会社の取締役の権限は一定の制約があ

ります。


具体的には、会社法362条4項で、監査

役(会)設置会社の取締役会設置会社にお

いては、法令および定款によって株主総会

の権限とされた事項を除いて、重要な業務

執行の決定は取締役に委任することはでき

ず、取締役会の決議で決定しなければなら

ないと定めています。


この「監査役(会)設置会社の取締役会設

置会社」とは、指名委員等会設置会社、監

査等委員会設置会社などの新しく定められ

た形式の株式会社ではなく、昔からある会

社で、やや規模が多いので、取締役会が設

置されている会社のことです。


これも説明するまでもないと思いますが、

取締役会とは、会社法第326条第2項に

基づき、定款によって定められた会社の機

関をいい、定款によって取締役会の設置を

定めていない会社(取締役会非設置会社)

の取締役が集まって会議を開いた場合は、

会社法でいう取締役会ではありません。


話を戻して、取締役(代表取締役を含む)

が単独で決めることができない事項で、銀

行との取引に関連するものに、多額の借財

会社法第362条4項第2号)がありま

す。


これは、多額の借入をするときは、社長ひ

とりで決めず、取締役会を開いて決めなけ

ればならないという規定です。


本論からそれますが、単に、借財というと

借入金を指しますが、ここでいう借財とは

他者を保証したり、約束手形を振り出した

り、リース取引をすることも含まれると解

釈されることが一般的のようです。


話を戻して、多額の借財の多額とはいくら

かということですが、これは、法律上の明

確な定めはなく、会社の実情に応じて判断

されるようです。


例えば、10億円の融資を受ける時、年商

20億円の会社であれば多額の借財に該当

すると判断される可能性が高いですが、年

商200億円の会社であれば、通常起きう

る運転資金と判断されるものでしょう。


そして、会社が受ける融資について銀行か

ら見て、会社法でいう「多額の借財」に該

当すると判断されたときは、多くの場合は

通常の書類に加え、その融資を受けること

について取締役会で決定した旨が記録され

た議事録の写しの提出を求められるようで

す。


ただ、前述のように、多額であるかどうか

に明確な規定がないため、会社側が多額で

ないと考えていても、銀行が取締役の決定

が必要と判断する場合もあります。


その場合は、銀行が、融資をする会社の社

長が、法律に反する決定をしているかもし

れないという懸念を払拭するためにも、私

は銀行の求めに応じるべきと思います。


また、定款で取締役会の設置を定めていな

い会社が、銀行から見て多額の借財の融資

を受けることになると判断されることに

なった場合はどうなるでしょう。


これについては、法律的には、取締役が単

独で決定してよいということになるでしょ

う。


したがって、銀行から、もともと設置され

ていない取締役会の議事録の写しの提出は

求められることはないでしょう。


ただ、それは、銀行が融資をするにあたっ

ての懸念を持っていないということではあ

りません。


取締役会が設置されていないために、取締

役会議事録の写しの提出を求めないだけで

す。


そのかわり、臨時株主総会を開き、そこで

多額の融資を受けることについて承認を得

た上で、株主総会の議事録の写しを提出す

るよう求められる可能性があります。


これについても、前述と同様の理由から、

提出に応じるべきだと私は思います。


仮に、会社の株主が社長ひとりであれば、

社長が行った決定と、株主全員の決定は同

じなので、株主総会議事録を作成すること

は意味がないように思われるかもしれませ

ん。


確かにそうなのですが、株式会社は、形式

的には、多くの株主が集まって出資をする

という前提で作られた公器です。


ですから、実際は株主が社長ひとりであっ

ても、銀行は株主としての決定をした記録

が欲しいと望むかもしれません。


その場合、「株主は社長ひとりだから株主

総会の開催に意味がない」という主張は、

「当社は表向きは株式会社だけれど、実態

は個人商店だ」と主張しているに等しいで

しょう。


したがって、銀行が、株主としての決定の

記録を要求する場合は、きちんと株主総会

議事録を作成して写しを提出するべきで

しょう。

 

 

 

 

※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20190728171359j:plain

 

 

 

●当事務所の8月の予定をお知らせします。



「融資に強くなる勉強会」

8月5日(月)13:00~15:00

詳細とお申込み→ https://amba.to/2xsDIye

 


スカイプ相談実施日」

8月8日(木)

詳細とお申込み→ https://goo.gl/fShaEi

 


「信用保証協会徹底活用セミナー」

8月19日(月)13:00~15:00

詳細とお申込み→ http://bit.ly/L3TmzF

 


スカイプ相談実施日」

8月22日(木)

詳細とお申込み→ https://goo.gl/fShaEi

 


「経営入門セミナー」

8月26日(月)19:00~21:00

詳細とお申込み→ https://amba.to/2GmM7bm

 

 

 

 

 

 

 

金融緩和では融資は伸びない

先日、早稲田大学の小倉義明教授がダイヤ

モンドに寄稿した記事を読みました。


(ご参考→ https://bit.ly/32S9UcK


記事の要旨は次の通りです。


すなわち、2004年以降、銀行の貸出利

鞘は縮小している。


都市銀行の場合、2004年は約0.8

%の利鞘が2017年は約0.3%に縮小

している)


ところが、人口減少の著しい地域ほど、資

金需要も縮小しており、その結果、信用コ

ストの大きい融資(業績の悪い会社への融

資)を増やしている傾向にある。


そして、日本銀行が異次元緩和を始める直

前の2013年3月から、2019年3月

までの6年間で、銀行の事業性融資は、約

54兆円増加しているが、そのうち約4割

の21兆円は、いわゆる不動産投資を含む

不動産業向けの融資となっている、という

ものです。


私は、この小倉教授の指摘を踏まえ、資金

供給者としての銀行は減る以外の選択はな

いと考えています。


というのは、これまでは、銀行はコンサル

ティング機能を発揮し、地方都市での資金

需要を増やすことで活路を見出すべきとの

金融庁の意向がありました。


しかし、それはミクロ経済の視点でのアプ

ローチであり、マクロ経済の視点では人口

減少が続いており、仮に個々の会社の事業

者としてのスキルが高くなったとしても、

パイは大きくなることはなく、全体として

資金需要は増えないからです。


本題からやや話がそれますが、日本銀行

異次元緩和も、金利が下がれば民間での設

備投資が刺激されるという伝統的な考え方

のものとに行われてきましたが、実態とし

インフレ目標の2%が6年経っても達成

できない理由は、前述の人口減少の環境に

あっては、資金が供給過剰になっているか

らであって、インフレ率が高くならないこ

とは当然です。


今回の記事の結論は、いままで、多くの国

民は、異次元緩和や銀行のコンサルティン

グ機能の発揮で、地方経済が活性化される

という政府の目標に期待してきた面もある

と思いますが、それはあまり現実的でない

ということが、(特に、スルガ銀行の不正

融資問題をきっかけに)露呈しつつあると

いうことです。


したがって、これから銀行の統合・合併は

ますます拍車がかかって行くということを

小倉教授の記事を読んであらためて感じま

した。

 

 

 

 

 

※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/

 

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20190727145619j:plain

 

 

 

 

●当事務所の8月の予定をお知らせします。



「融資に強くなる勉強会」

8月5日(月)13:00~15:00

詳細とお申込み→ https://amba.to/2xsDIye

 


スカイプ相談実施日」

8月8日(木)

詳細とお申込み→ https://goo.gl/fShaEi

 


「信用保証協会徹底活用セミナー」

8月19日(月)13:00~15:00

詳細とお申込み→ http://bit.ly/L3TmzF

 


スカイプ相談実施日」

8月22日(木)

詳細とお申込み→ https://goo.gl/fShaEi

 


「経営入門セミナー」

8月26日(月)19:00~21:00

詳細とお申込み→ https://amba.to/2GmM7bm

 

 

 

 

 

 

 

銀行訪問はリスクへの備え

私は、時々、ビジネス交流会に参加するよ

うにしているのですが、それは、多くの人

と面識を作りたいと考えているからです。


それは、私が言うまでもありませんが、面

識がある人が多ければ、ビジネスチャンス

も増えることが期待でるからです。


そして、私以外の交流会の参加者も、同じ

ことを期待していると思います。


一方で、私がこれまでお会いした会社経営

者の方とお話をして感じることは、銀行職

員と面識のある人は、意外と少ないと感じ

ています。


これから銀行から融資を受けようとしてい

るという会社の経営者の方や、銀行から融

資を受けたことがないという会社の経営者

の方なら、銀行職員と面識がないというこ

とがあるとは思いますが、銀行から融資を

受けていている会社で、自社を担当してい

る銀行職員は誰か知らないという会社経営

者の方は半分くらいいると感じています。


むしろ、銀行との関係が緊密で、自社の担

当者や支店長と仲がよいという経営者の方

は10%~20%くらいしかいないと感じ

ています。


ここまで書いて来たことからは、私が、銀

行から融資を受けている会社の経営者の方

は、銀行の人と面識を持つべきだと考えて

いることが伝わると思います。


詳細な説明は割愛しますが、銀行職員と面

識があるときとないときでは、融資の申し

込みのときの心理的な負担が変わってくる

ということはご理解いただけるでしょう。


さらには、主要取引先が倒産した、自社工

場が火事で焼失したなど、思わぬことから

ピンチになったときに、最も頼れる相手は

銀行ですので、普段からの備えとして、銀

行職員と面識を作っておくことはとても重

要です。


では、どうすれば銀行職員の緊密な関係が

作れるかというと、定期的な訪問がよいと

思っています。


できれば1か月ごとが望ましいですが、3

か月ごとでも銀行の人との関係を強化する

ことができるでしょう。


ところが、そのような銀行訪問に抵抗があ

る経営者の方も多いと思います。


その理由のひとつは、「1か月ごとに銀行

に頭を下げに行く必要があるのか」、とい

うものです。


しかし、「銀行訪問=銀行に頭を下げる」

と考える必要はないと思います。


銀行を訪問したときに、「先月の当社の月

次試算表をお持ちしましたので、後でご覧

ください」とだけ伝え、月次試算表を置い

ていくだけで十分です。


このことは、決して銀行に頭を下げること

ではありません。


それでも、月次試算表を届けることに抵抗

があるという場合は、「実は、当社で新製

品を開発したので、その販売先を探してい

るのですが、貴行のお取引先で、購入して

もらえそうな会社があったらご連絡しても

らえないでしょうか」、「私の知人で業績

を順調に伸ばしている会社があるので、そ

の会社が融資を受けたいということになっ

たら、貴行にお取次ぎしてもいいでしょう

か」などといった営業情報を話すだけでも

面識は作れます。


これらは、実際に取引にならなくても、銀

行職員側は協力的な会社だという印象を持

ちますので、高い効果が期待できます。


今回の記事の結論は、銀行に苦手意識を

持っている経営者の方は多いと思います

が、万一のときの備えとして、銀行職員と

の面識を作っておくことをお薦めするとい

うことです。


その場合、決して「銀行訪問=銀行に頭を

下げる」と考える必要はないということで

す。

 

 

 

 

※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/

 

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20190726133600j:plain

 

 

 

 

●当事務所の8月の予定をお知らせします。



「融資に強くなる勉強会」

8月5日(月)13:00~15:00

詳細とお申込み→ https://amba.to/2xsDIye

 


スカイプ相談実施日」

8月8日(木)

詳細とお申込み→ https://goo.gl/fShaEi

 


「信用保証協会徹底活用セミナー」

8月19日(月)13:00~15:00

詳細とお申込み→ http://bit.ly/L3TmzF

 


スカイプ相談実施日」

8月22日(木)

詳細とお申込み→ https://goo.gl/fShaEi

 


「経営入門セミナー」

8月26日(月)19:00~21:00

詳細とお申込み→ https://amba.to/2GmM7bm