鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

行動はうそをつかない

今回の記事の内容は、言行一致、率先垂範

を励行しましょうということです。


このことは、ほとんどの方が否定しないと

思うのですが、そうでありながら、よく、

「●●さんは、言っていることとやってい

ることが違う」とか、「●●さんは、返事

だけはするけれども、なかなか行動しな

い」といった不満を耳にすることがありま

す。


その理由はひとつではないと思いますが、

私は、「行動」とはどういうことかが、人

によって違うからだと思います。


人によってはすぐに行動しなければ行動し

たことにならないと考えているでしょう。


別の人によっては、機会をみて行動すれば

よいと考えているでしょう。


そして、これは問題なのですが、そのうち

行動すればよいと思ったものの、実際の行

動に移るまでにそれを忘れてしまう人もい

るでしょう。


話を戻して、人によって行動はいつ行動す

ればよいかという考え方が違うことから、

すぐに行動すべきと考えている人からすれ

ば、後で行動すればよいと考えている人は

行動しない人のように見えるのでしょう。


ここからは私の経験なのですが、特に、私

が銀行職員時代は、顧客からみて私が行動

していないと受け止められてしまうことが

多々ありました。


それは、顧客が依頼したことをすぐに実行

しなければ、実行していないと受け止めら

れることがあったからです。


そのようなとき、自分の頭の中では自分は

まったく何もしていないわけではないと考

えていても、相手は何もしていないと考え

ているので、議論しても仕方ありませんで

した。


そこで、特に、短期間で回答が欲しい顧客

に対しては、結論が出なくても、進捗状況

はこまめに報告するようにしました。


そうすれば、「結論が遅い」とは言われる

可能性はありますが、少なくとも「何もし

ていない」とは言われることはありません

でした。


このようなことを書くと、「そんなことま

でする必要はないのでは」と考える方もい

ると思いますが、そうするのには特殊な事

情もありました。


というのは、顧客の中には意地の悪い人も

いて、融資交渉を有利に進めたいという思

惑から、銀行職員の手抜かりをなんとか見

つけようしている人もいたからです。


要は、顧客から融資を依頼される銀行職員

は、顧客にすきをつくれなかったというこ

とです。


話を戻して、何らかの行動を起こしていれ

ば、他の人から疑義をもたれることはなく

なるということです。


先ほどは、私が行動していないと言われる

場合を述べましたが、逆の場合もありま

す。


私が会社の事業改善のお手伝いをすると

き、顧問先の経営者の方と意見が合わない

こともあります。


ただ、これを補足させていただくと、経営

の現場では、意見が合わないことは珍しく

なく、また、対立する意見が両方正解とい

う場合もあるし、両方が不正解ということ

もあります。


そこで、顧問先と意見が異なるときは、私

は、「それでは、まず、社長の考えで実践

してみましょう」といいます。


どちらの意見も必ずしも間違っているわけ

ではないのであれば、経営者の方の意見で

実行する方がよいと私も思うからです。


そして、それを実行してみて、結果として

は100点はとれなくても、多くの場合は

70点、少なくとも50点の満足度は得ら

れます。


しかし、問題なのは、経営者が自ら主張し

たプランを実行することにしても、なかな

か着手しなかったり、着手しても遅々とし

ている場合です。


これでは、意見を議論する意味もなくなる

し、経営者の方の信頼も失います。


そういう私自身も、自分で決めたのに実践

できていないことがたくさんあります。


そして、それは、経営コンサルタントであ

れば、なおさら改めなければなりません。


この言葉が嘘にならないよう、きょうから

気を引き締めたいと思います。

 

 

 

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銀行再編

長崎県親和銀行を傘下に抱えるふくお

かフィナンシャルグループと、同県最大手

十八銀行との経営統合を、公正取引委員

会が承認」したことから、改めて地方銀行

の再編が注目されているようです。


(ご参考→ https://goo.gl/U7jhYu


ひとつの県を地盤とする銀行が、実質的に

合併することについては、「健全な競争を

阻害」する懸念があると考える方も多いと

思いますが、いま、地方銀行の収益が悪化

している中にあって、公正な競争が行われ

ていないとは考えにくいと私は思います。


もし、銀行間の競争が不健全であるとすれ

ば、銀行は収益低下に苦しんではいないで

す。


また、長崎県の例でいえば、十八銀行、親

和銀行以外にも、長崎銀行(本店は長崎

市。ただし、同行は福岡市に本社のある西

日本フィナンシャルホールディングスの子

会社)、たちばな信用金庫(本店は諫早

市)、九州ひぜん信用金庫(本店は佐賀県

武雄市ではあるものの、同信用金庫の前身

のひとつ、旧西九州信用金庫の本店は佐世

保市)があり、その他にも、メガバンク

政府系金融機関、近隣が地盤の地方銀行

支店があるので、地元の2行が1行になっ

ただけで、直ちに「健全な競争が阻害」さ

れるとは考えにくいと思います。


ただ、ここまでの「健全な競争の阻害」と

は、表向きの懸念であって、本当の懸念

は、地元の2行の重複店舗が解消されるな

どの合理化が進むにあたって、業績の芳し

くない融資先への支援が切り捨てられない

かということだと思います。


これは、私も完全な確証を持っているわけ

ではありませんが、地方銀行の再編の狙い

のひとつには、負担の大きい融資先の整理

は含まれていることは、間違いないでしょ

う。


これは、これまで何度も述べてきたことで

すが、最も効果の大きい融資対策は、銀行

から見て融資したいと思う業績をあげるこ

とです。


すなわち、銀行になんらかのアピールをし

なければ融資を受けられないという状態に

至らないようにすることです。


そして、銀行の再編が進むことによって、

業績以外のアピールの効果の余地も狭く

なっていきます。


銀行側も融資先の“ポテンシャル”(潜在

能力)を探る努力は続けるべきですが、少

なくとも、融資を受けようとする側は、業

績かポテンシャルのいずれかを示すことが

できなければ、銀行の再編が進むにした

がって、ますます支援を受けることが困難

になって行くでしょう。

 

 

 

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監査

私は、かねてから、会社の事業に携わって

いる人たちの間で、「経営」という言葉が

曖昧に使われていると述べてきています

が、それと同様に「監査」も曖昧に使われ

ていると感じているので、今回は、監査に

ついて述べたいと思います。


とはいえ、監査も複雑な概念なので、簡単

に、監査の主な特徴について、ふたつ述べ

たいと思います。


ところで、監査の意味を分かりやすくする

ために、監査に似た「検査」とはどういう

意味かということを、最初に説明したいと

思います。


会社の運営で使われている、「検査」

( inspection )は、日常使われている検査

とほぼ同じ意味です。


例えば、規則通りに仕事が行われているか

どうかを確かめることが検査です。


最近の事例では、ある自動車会社が、資格

を持っていない人に、製品の検査を行わせ

ていたことが問題になりましたが、そのよ

うな規則違反がないかどうかを確かめるこ

とは、検査です。


また、国の機関や地方公共団体などの会計

の検査をしている、会計検査院の「検査」

も、この検査という意味でしょう。


一方、監査( audit )は、日常ではあまり

使われません。


デジタル大辞泉には、「監督し検査するこ

と」と、抽象的にしか書かれていないこと

から、これは、私の想像ですが、「監査」

は、英語の'audit'に対する訳語として造

られたものではないかと思っています。


では、具体的に、監査の説明に移ります

が、そのひとつめは、「保証をする」とい

う概念です。


この「保証をする」は、会計監査の例が分

かりやすいと思います。


上場会社などは、監査法人などに会計監査

を行ってもらうことが義務付けられていま

すが、その主な目的は、会社の作成する財

務報告書が信用できるものであることを、

投資家などに対して保証することです。


「確認する」ではなく「保証する」という

言い回しにしているのは、会社の『すべて

の』会計帳簿を検査していない」というこ

とです。


規模の大きな会社は、会計帳簿のすべてを

検査することは物理的に困難であることか

ら、監査法人は、監査する会社の会計シス

テムや経理規定・手順などを調査したり、

サンプルで会計帳簿を調査したりして、そ

の結果、会社の財務報告がほぼ適正にでき

あがる状態であろうと心証を得た場合、監

査法人はその会社の財務報告書の適正さを

保証します。


これが、監査法人による会計監査です。


ちなみに、監査役は会社の業務監査を行う

役割がありますが、取締役会に出席した

り、内部統制システムを調査したりして、

業務が適正であることを保証し、その役割

を果たしています。


つぎに、監査のもうひとつの意味ですが、

単純に検査を行って事業の不備を指摘する

ことに留まらないということです。


例えば、監査役などが会社の事業の調査を

行う中で、不備が多く発見されれば、その

原因は何か、改善するにはどうすればよい

かまでを、経営者などに提案する役割が求

められます。


また、現在は規則通りに事業が行われてい

るものの、現行の規則を守るだけではリス

クを防ぐことができない可能性がある場合

は、規則をより強いものにしたり、逆に、

現行の規則を守らなくてもリスクが発生し

ないと考えられる場合は、事業の効率化の

観点から、その規則を廃止したりすること

を提案する役割もあります。


このような役割から見れば、監査を担う立

場にある人、すなわち、監査役や内部監査

人は、一般的には「粗探しをする人」に思

われがちですが、本来は、会社の事業をよ

りよいものにする役割を担っています。


そして、だからこそ、会社の業務や、業界

の知識に精通した人でなければ担うことが

できない、重要かつ難しい役割でもありま

す。


ところが、現在の日本では、「監査」が形

骸化しているように思われます。


これは、日本では監査の重要性が認識され

ていないからだと思います。


このように書くと、多くの方からおしかり

を受けるかもしれませんが、「監査部門に

配属される→出世街道から外れる」と受け

止める方が多いと思います。


本来は、会社を発展させるために重要な役

割でありながら、実際には口に出さないだ

けで、内心は、「法令で定められているか

ら」とか、「株主を納得させるため」に監

査役や内部監査部門を置いていると考えて

いる経営者の方も少なくないと思います。


この理由だけではないとは思いますが、日

本の会社で不祥事がなかなかなくならない

原因のひとつは、監査部門の重要性の認識

が低いことだと私は考えています。

 

 

 

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内部統制

最近、大企業や地方銀行だけでなく、官庁

においても不祥事が相次いでおり、いった

いどうなっているのだろうかと思うことが

増えてきました。


特に、上場会社は内部統制を確立すること

が義務付けられているにもかかわらず、そ

れが形骸化しているのではないかとさえ思

えてなりません。


そこで、今回は、改めて内部統制について

説明いたします。


金融庁の諮問機関である企業会計審議会に

よれば、内部統制とは「企業等の、(1)

業務の有効性及び効率性、(2)財務報告

の信頼性、(3)事業活動に関わる法令等

の遵守、(4)資産の保全の4つの目的の

達成のために企業内のすべての者によって

遂行されるプロセス」と、定義されていま

す。


これを言い換えれば、内部統制は、会社の

事業が適切に行われるよう、ルールや業務

プロセスを明確にし、また、それを守るた

めの仕組みや活動を指します。


この内部統制の考え方は、1980年代の

米国で、多くの会社が不適切な財務報告を

行っていたことを背景に、それを防ぐため

の手法として1992年に米国の会計関係

者らによって公表されました。


2000年代になり、この枠組みを日本に

も採り入れることになり、2006年施行

会社法によって上場会社等に内部統制が

義務付けられました。


このような経緯から見ると、内部統制は財

務報告に強い関連があると考えられがちで

すが、「経営者は、自社のすべての活動及

び社内のすべての従業員等の行動を把握す

ることは困難であり、それに代わって、経

営者は、企業内に有効な内部統制のシステ

ムを整備・運用することにより、財務報告

における記載内容の適正性を担保すること

となる。


また、内部統制システムの整備・運用を通

じて財務報告の信頼性を確保していくこと

は、業務の有効性及び効率性の確保による

情報処理コストの削減、さらには、市場に

おける資金調達機会の拡大や資金調達コス

トの削減等を通じて一定のメリットを企業

等にもたらす」と企業会計審議会は述べて

います。


これを言いかえると、経営者が適切な仕組

みを作ることによって、事業の適切さを確

保しようとする考え方といえるでしょう。


内部統制のポイントは、適切なプロセスづ

くりであって、それをきちんと整備するこ

とによって、信頼性や効率性を確保するこ

とが目的となっています。


ただ、私は、上場会社を含めて、日本の会

社の経営者が、この内部統制をどこまで理

解しているのかということに疑問を持って

います。


まず、内部統制が本当に会社の業績を高め

ることに有効なのかどうか、疑問を感じて

いる方も多いかもしれません。


しかし、上場会社は少なくとも、法律で義

務付けられています。


むしろ、上場するからには、内部統制を実

践できる会社でなければならないと理解す

べきでしょう。


もうひとつは、「ただでさえ利益を得るこ

とがたいへんなのに、内部統制もやらなけ

ればならないのか」と考える方もいると思

います。


この考え方もまったく逆であり、内部統制

すらできない会社は、経営が風任せであ

り、安定的、かつ、継続して利益を得るこ

とはできないでしょう。


私は内部統制を支持しますが、とはいえ、

内部統制を実践しさえすればそれでよいと

は考えていません。


上場する規模の会社は、社会的にも大きな

存在であり、そうであれば、それに足り得

る信頼の確保は必須です。


そのための内部統制であり、内部統制の確

立は上場会社のスタートラインに立つため

の要件です。


ただ、日本では、事業は「しくみ」である

と認識している経営者は、残念ながら少な

いと思います。


ですから、事業の柱のひとつである内部統

制の「しくみ」は軽視されがちなのだと思

います。


もちろん、内部統制だけですべてが解決す

るわけではありませんが、まず、これが改

善されなければ、ほかの改善は無意味にな

ると私は考えています。

 

 

 

 

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昔話

私が銀行職員時代であったときや、経営コ

ンサルタントとして独立した後も、経営者

の方から、昔の苦労話を聴く機会がたくさ

んあります。


まれに、愚痴っぽいものもありますが、多

くは、とても参考になる話として聴かせて

もらいます。


もっとも印象的だったお話は、自社工場が

火事になったとき、社長は、工場の保険金

を工場の建て直しに使わずに、他の会社か

ら製品を買い受けて、自社に発注していた

顧客にその製品を送り、顧客に迷惑がかか

らないようにすることを優先したというお

話です。


自社のことよりも、顧客からの信用を最優

先するべきということが理解できる事例で

した。


その他は、毎日朝から深夜まで働き続けた

お話、販売先が見つかるまでたくさんの顧

客に頭を下げて回ったお話、販売先が倒産

して手形が不渡りになったお話、従業員に

お金を持ち逃げされたお話など、どうやっ

て危機を乗り越えてきたかというお話は、

銀行職員や経営コンサルタントだから聴く

ことができるお話だと思いながら聴いてい

ました。


そして、それは、他の会社への助言にも応

用できる、貴重なものとなっています。


ただ、割合としては少ないのですが、過去

に苦労をしてきた経営者の方の中には、自

分の価値観を、無意識に、従業員の方に求

めようとしてしまう方がいます。


すなわち、従業員の方に起業家精神を持っ

て行動するように伝えている方を、これま

で何人か見て来ました。


私は、従業員の方に、社会人としての資質

を求めたり、自社の事業に必要な力量を身

に付けてもらうことを求めることは必要で

あるとは思います。


でも、そもそも従業員として働いてもらっ

ている方に、かつて、自分が経営者として

経験した苦労を乗り越えるための心構えを

求めることは、いったんは、置いておくべ

きだと思います。


もちろん、従業員の方から望んで指導を依

頼してきた場合は別ですが、従業員を相手

に、経営者並みのことを要求してしまう

と、いわゆるブラック企業と受け止められ

てしまいかねないということです。


これは、実際に見てきて感じることなので

すが、経営者の方が従業員の方に経営者と

しての考え方で行動することを求めること

によって、この会社は従業員を酷使すると

受け止められかねません。


もちろん、経営者の方は、善意で起業家精

神を持つべきだと助言していることは理解

できるのですが、経営者としてではなく、

従業員として働きたいとだけ思っている方

には、悪い影響を与えてしまいます。


とはいえ、自分の価値観を従業員と共有し

たいと考えている経営者の方は、自社から

社長を引き継ぐことができる人が現れて欲

しいと、望んでいるということもあるので

しょう。


これについては、答えはひとつではないと

思いますが、私は、「経営者はこんなにた

いへんなのだから、こういった心構えを持

たなければならない」ということを伝える

のではなく、「社長はたいへんそうだけど

仕事のやりがいもありそうだ」と思われる

存在になることだと思います。


むしろ、「経営者はたいへんだ」と言い続

けることは逆効果だと思います。


この、後継者育成の具体的な手法について

は、また、機会をみて述べていきたいと思

います。

 

 

 

 

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在庫のこれから

このたび、皆さまのおかげをもちまして、

拙著「図解でわかる在庫管理いちばん最初

に読む本」( http://amzn.to/AseBrq )が、

初版から6か年を経て第8刷となりました

ので、ここで、改めて在庫について思うと

ころを述べたいと思います。


これは、6年前と変わらないのですが、在

庫は、かつての黒子的な存在、すなわち、

事業を支える役割であったものの、現在

は、在庫そのものが事業の中核的な役割を

果たすようになってきているということで

す。


その代表的な例は、ユニクロのパンツだと

思います。


すなわち、従来は実現できなかった、さま

ざまな寸法、色のパンツを店頭に並べるこ

とで、顧客を店頭に引き付け、機会損失を

最小にしています。


寸法や色が多数そろっていれば、裾上げす

必要もないし、欲しい色も選べるので、従

来よりも気軽に商品を購入できるようにな

ります。


そして、従来は実現できなかった販売方法

を可能にしているのが、第四次産業革命と

言われている、IoTを活用したスマート

工場の登場です。


かつては、スケールメリットは、少品種大

量生産でなければできませんでしたが、現

在は、情報技術の高度化によって、多品種

少量生産でもスケールメリットを得ること

ができるようになっています。


そして、これは、これまで何度か述べてき

たことでもありますが、事業の優劣は、何

を造るか(売るか)ではなく、どう造るか

(売るか)で決まるようになってきたとい

うことの一面ということです。


これは、ひとことでいえば、ビジネスモデ

ルで事業の成否が決まるということです。


私に、事業改善に関してご相談される方の

中には、「これから新しい事業を始めると

したら、何を造ればいいでしょうか」とい

う質問をされる方が少なくありませんが、

現在の日本はものあまりの時代であり、む

しろ、余計なものは買わないようにしよう

という傾向にあります。


そこで、何が売れるかを考えても、そこか

ら導き出される答えは極めて限定的です。


したがって、どうやって売るか(どうやっ

て造るか)が大切になるのであり、その工

夫のひとつが、前述の例のように、在庫に

どのように臨むのか、ということになりま

す。


そこで、現在、会社の事業を改善したいと

考えいる方は、6か年売れ続けている拙著

「図解でわかる在庫管理いちばん最初に読

む本」( http://amzn.to/AseBrq )を、ぜ

ひ、お手に取っていただき、改善のヒント

をつかんでいただきたいというのが、今回

の記事の結論です。

 

 

 

 

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オペレーティングリースと会計

今回の記事は、会計に関する読み物として

お読みいただきたいと思います。


本題ですが、近い将来、リース取引に関す

会計基準が変更になる可能性があり、そ

れに関する報道もされているようです。


(ご参考→ https://goo.gl/zvN8zR


この変更は、オペレーティングリースに関

するものですが、まず、リースとは何なの

かということについておさらいします。


融資で設備を購入するとき、融資はお金の

契約(金銭消費貸借契約)ですが、リース

は設備を借りるので、賃貸借契約です。


では、同じ賃貸借契約契約のレンタルとの

違いは何かというと、レンタルはレンタル

会社の持っているレンタル品を短期間借り

受けるものです。


一方、リースは、借りる側(ユーザー)が

指定した設備をリース会社がユーザーに代

わって購入し、リース会社がそれをユー

ザーに貸します。


そして、リース会社は、設備購入代金全額

金利相当額を、リース料としてリース期

間にわたってユーザーに支払ってもらいま

す。


また、借りた設備の管理や保守は、持ち主

であるリース会社ではなく、使用している

ユーザーが行うという点もレンタルと異な

ります。


ここで、リースに関する会計に説明を移し

ます。


前述の通り、リースは賃貸借契約ではある

ものの、会計の観点からは、リース物件の

全額をユーザーが負担していることから、

実質的にはユーザーがリース会社からお金

を借りてリース物件を購入したととらえま

す。


そこで、リース契約をしたとき(厳密には

リース物件がユーザーに検収されたとき)

に、ユーザーは、リース物件購入代金相当

額を資産(勘定科目はリース資産)として

計上します。


(さらに、同額を、リース債務という科目

で、負債の部に計上します。


なお、このような会計取引は、上場会社等

にのみ適用され、中小企業では、リースを

単なる賃貸借契約としてとらえ、リース料

を賃借料として処理するだけでよく、リー

ス資産などの科目は計上しなくてもよいこ

とが認められています)


ところで、ここまで説明したリース契約は

ファイナンスリースという契約です。


実は、ファイナンスリースは、リース物件

の全額をユーザーが負担する(フルペイア

ウト)、および、解約不可(ノンキャンセ

ラブル)の両方を満たすことが条件となっ

ています。


いずれか一方でも満たさない契約は、オペ

レーティングリースと言います。


この、オペレーティングリースのリース全

体に占める割合は、約16%のようです。


そして、オペレーティングリースの代表例

は、自動車リースです。


一般的な自動車リースは、リース期間終了

後、リース物件を中古車として販売できる

ことを見込んで、リース料が少なく見積も

られています。


これは、前述のフルペイアウトを満たさな

いので、ファイナンスリースではなく、オ

ペレーティングリースに該当します。


そして、オペレーティングリースは、ファ

イナンスリースのようにリース資産を計上

するという会計処理ではなく、賃貸借契約

として会計処理をする、すなわち、リース

料を賃借料として会計処理するだけでよい

ということになっています。


ここで、冒頭の会計基準に話を移します。


今回話題となっているリースに関する会計

基準の変更では、オペレーティングリース

も、ファイナンスリースと同様に、リース

資産を計上することを求めています。


このリースに関する会計基準の変更につい

ては、日本の慣行になじまないなどといっ

た理由で、公益社団法⼈リース事業協会は

反対しています。


私は、リース事業協会の主張に一理あると

思うものの、貸借対照表には、その会社の

実質的な資産はすべて計上すべきと考える

ので、会計基準の変更には賛成です。


今回の記事の結論は、リースのように、会

計で示すべきかどうかという項目は、意見

が分かれるということです。


私は、会計は、会社のひとつの側面を示す

ツールであって、会計だけで会社のすべて

が分かると考えてはいけないと、機会があ

るごとに述べているのは、このような理由

があるからです。

 

 

 

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