今回の記事は、会計に関する読み物として
お読みいただきたいと思います。
本題ですが、近い将来、リース取引に関す
る会計基準が変更になる可能性があり、そ
れに関する報道もされているようです。
(ご参考→ https://goo.gl/zvN8zR )
この変更は、オペレーティングリースに関
するものですが、まず、リースとは何なの
かということについておさらいします。
融資で設備を購入するとき、融資はお金の
契約(金銭消費貸借契約)ですが、リース
は設備を借りるので、賃貸借契約です。
では、同じ賃貸借契約契約のレンタルとの
違いは何かというと、レンタルはレンタル
会社の持っているレンタル品を短期間借り
受けるものです。
一方、リースは、借りる側(ユーザー)が
指定した設備をリース会社がユーザーに代
わって購入し、リース会社がそれをユー
ザーに貸します。
そして、リース会社は、設備購入代金全額
と金利相当額を、リース料としてリース期
間にわたってユーザーに支払ってもらいま
す。
また、借りた設備の管理や保守は、持ち主
であるリース会社ではなく、使用している
ユーザーが行うという点もレンタルと異な
ります。
ここで、リースに関する会計に説明を移し
ます。
前述の通り、リースは賃貸借契約ではある
ものの、会計の観点からは、リース物件の
全額をユーザーが負担していることから、
実質的にはユーザーがリース会社からお金
を借りてリース物件を購入したととらえま
す。
そこで、リース契約をしたとき(厳密には
リース物件がユーザーに検収されたとき)
に、ユーザーは、リース物件購入代金相当
額を資産(勘定科目はリース資産)として
計上します。
(さらに、同額を、リース債務という科目
で、負債の部に計上します。
なお、このような会計取引は、上場会社等
にのみ適用され、中小企業では、リースを
単なる賃貸借契約としてとらえ、リース料
を賃借料として処理するだけでよく、リー
ス資産などの科目は計上しなくてもよいこ
とが認められています)
ところで、ここまで説明したリース契約は
ファイナンスリースという契約です。
実は、ファイナンスリースは、リース物件
の全額をユーザーが負担する(フルペイア
ウト)、および、解約不可(ノンキャンセ
ラブル)の両方を満たすことが条件となっ
ています。
いずれか一方でも満たさない契約は、オペ
レーティングリースと言います。
この、オペレーティングリースのリース全
体に占める割合は、約16%のようです。
そして、オペレーティングリースの代表例
は、自動車リースです。
一般的な自動車リースは、リース期間終了
後、リース物件を中古車として販売できる
ことを見込んで、リース料が少なく見積も
られています。
これは、前述のフルペイアウトを満たさな
いので、ファイナンスリースではなく、オ
ペレーティングリースに該当します。
そして、オペレーティングリースは、ファ
イナンスリースのようにリース資産を計上
するという会計処理ではなく、賃貸借契約
として会計処理をする、すなわち、リース
料を賃借料として会計処理するだけでよい
ということになっています。
ここで、冒頭の会計基準に話を移します。
今回話題となっているリースに関する会計
基準の変更では、オペレーティングリース
も、ファイナンスリースと同様に、リース
資産を計上することを求めています。
このリースに関する会計基準の変更につい
ては、日本の慣行になじまないなどといっ
た理由で、公益社団法⼈リース事業協会は
反対しています。
私は、リース事業協会の主張に一理あると
思うものの、貸借対照表には、その会社の
実質的な資産はすべて計上すべきと考える
ので、会計基準の変更には賛成です。
今回の記事の結論は、リースのように、会
計で示すべきかどうかという項目は、意見
が分かれるということです。
私は、会計は、会社のひとつの側面を示す
ツールであって、会計だけで会社のすべて
が分かると考えてはいけないと、機会があ
るごとに述べているのは、このような理由
があるからです。
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