鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

野望を先見に変える

私に業績の改善や創業のご相談に来る経営

者の方の多くは、大きな目標を持っておら

れます。


自社ビルを持ちたい、店舗を10店舗に増

やしたい、海外に進出したいなど、さまざ

まです。


でも、残念ながら、ほとんどの方は、なか

なかその目標に到達しません。


その原因について、私も常々考えてきたの

ですが、それは、目標までの手順が見えて

いない、別の言い方をすれば、目標を計画

に落とし込んでいないからだと分析してい

ます。


こう考えていたところ、スター精密の元相

談役の佐藤誠一さんの著書「野望と先見の

社長学」( http://amzn.to/2DCB7X2 )の第

9章に、そのことについて、もう少し踏み

込んだ内容が書かれていました。


「長期計画をもたない段階では、社長とし

ての将来の野望や夢がむきだしのままで、

頭の中に、胸の中に入っている。


社長とて、一人の人間であるから、他人に

言ったら笑われるような物欲や名誉欲や権

力欲のかたまりだ。


むしろ、それらが人一倍強いから社長を

やっているともいえなくはない。


(中略)はじめて長期計画に取り組む社長

は、例外なく、自分の個人的な野望の整理

整頓を迫られることになる。


社長の役割を意識して、付加価値の配分目

標を設定するときに、社長のビジョンを数

字に表現しなければならない。


(中略)このときに社長はわが社の現状と

自分の夢の落差に気がつくことになる。


(中略)そしてはじめて設定した目標は、

(中略)なかなか計画通りにはいかない。


(中略)何が不都合で狂ったのか、当初の

想定した条件との誤差を見つけて対処す

る。


(中略)そして目標を達成したときに、達

成感が社長に自信と新たな意欲をもたら

す。


その結果、社長の能力は、当初より一段と

向上する。


(中略)洗練されない、むき出しの個人的

な野望や欲は、社長の役割意識と数字の約

束ごとで磨かれ、どうなるかさっぱり見当

のつかない未来から、計算できる未来へと

変わるのである。」


このように、佐藤さんは、事業計画書を作

成したり、その進捗管理をすることを通し

て、ご著書のタイトルにある、「野望を先

見に変える」ということをお薦めしておら

れます。


すなわち、「野望を先見に変える」ことが

できない経営者は、いつになっても、野望

を実現させることができないということで

す。


その最大の原因は、佐藤さんが述べておら

れるように、「わが社の現状と自分の夢の

落差」を放置するからだと私は分析してい

ます。


これを言い換えれば、自力で野望を実現で

きると考える人は、そのためにどう行動す

るかということを計画に落とし込み、一方

で、自力で野望を実現できないと考える人

は、計画を作成せず、自社にとって不都合

なことは他者に問題があると責任転嫁しか

しないのでしょう。


私は、かねてから「事業計画書は大切」と

述べていますが、それは、単に将来の予想

をすることではなく、目標達成の道筋を明

確にすることです。


事業計画書に否定的な経営者の方は、「将

来は不透明だから、事業計画を作ることに

意味はない」という主張をしますが、本当

は、事業計画を作成して、それが実現でき

なかったときに、自分の計画管理能力がな

いことが露見することを恐れているのでは

ないでしょうか?


野望を持つことは誰にでもできるわけです

から、人の上に立つ経営者は、それを実現

できるからこそ経営者たるのだと言えるの

でしょう。

 

 

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事業再生とコンサルティングの違い

今回は、私の個人的な考え方を書きますの

で、参考としてお読みいただきたいと思い

ます。


私は、事業再生のお手伝いをしたことがあ

るのですが、実は、仕事に面白みを感じま

せんでした。


これは、私が面白みを感じないというだけ

のことであって、事業再生のための支援は

需要があり、また、大切な仕事であると思

います。


この事業再生も、一般のコンサルティング

も、会社の業況を改善するという点では共

通しているのですが、事業再生の場合のコ

ンサルティングの依頼主は株主である一方

で、一般のコンサルティングは、経営者か

ら依頼されるという点で異なります。


事業再生の場合、その多くは、従来の経営

者や株主はそれまでの業績悪化の責任をと

り、経営者の地位や株主の地位を追われま

す。


そして、再生ファンドが新たな株主となっ

て主導権を握りながら事業再生を行うので

すが、その際に、再生ファンドの職員は常

に会社にいることは少なく、いわゆるター

ンアラウンドマネージャー(事業再生を専

門的に請け負う人)を社長のポジションに

就かせて、事業再生を任せます。


そのターンアラウンドマネージャーの中に

は、経営コンサルタントとしての実績を備

えた上で、そのキャリアを活かして事業再

生に臨む方もいます。


また、ターンアラウンドマネージャーは社

長の役割に徹し、別途、経営コンサルタン

トの助力を得ながら事業再生が行われる場

合もあります。


このように、専門家が事業再生にあたるの

で、多くの場合は、数か年でエグジット

(事業再生計画の終了)を迎えることがで

きます。


このような事業再生は、意義の大きい仕事

でもあるし、やりがいのある仕事でもあり

ます。


一方で、私が面白みを感じない理由は、事

業再生の対象は、ことば通り「事業」にと

どまることです。


これは、前述のとおり、事業再生における

コンサルティングの依頼主は株主であり、

その目的は「企業価値」を高めること、言

い換えれば、出資した株式を高く転売でき

るようにすることです。


このことはすばらしいことなのですが、前

述のとおり、専門家が行うことなので、あ

る面では、再生できて当然のこととも言う

ことができます。


私は、この点が面白みを感じません。


私は、経営コンサルタント、すなわち、経

営者にコンサルティングをすることに仕事

のやりがいを感じているからです。


上から目線になるかもしれませんが、経営

者のスキルを高めることを通して会社の業

績を高めることに私は意義を感じています

が、事業再生の場合、すでに高いスキルを

備えたプロフェッショナルが経営にあたる

ので、経営者へのコンサルティングは不要

で、文字どおり事業の再生だけが行われま

す。


とはいえ、これは私の個人的な考えで、知

人の事業再生の専門家の方を見ると、生き

生きとしながら使命を感じて事業再生に臨

んでいる方ばかりです。


ただ、事業があまり芳しくない会社の経営

者の方が、前述のようなプロフェッショナ

ルの方に自社のコンサルティングを依頼す

ることは避けるべきと私は考えています。


なぜなら、事業再生をする方たちは、自ら

のやり方で事業再生をします。


そのことに問題があるわけではありません

が、依頼をした経営者の方から見れば、自

分をないがしろにしていると感じることに

なるのではないでしょうか?


経営者の方は、経営コンサルタントの助力

を得るにしても、得ないにしても、自らが

スキルを高めながら自社の経営に直接手を

下すからこそ意義があるということは、私

が言及するまでもありません。

 

 

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融資取引の前に預金取引を

これは意外なのですが、いままで、融資の

ご相談を受ける中で、面識のある銀行職員

の人がいないという経営者の方が、半分ま

でとはいかないですが、高い割合を占めて

います。


その理由としては、創業融資を日本政策金

融公庫で受けており、ある年数は、銀行と

は、公庫の融資返済用口座だけを持ってい

るだけですむということがあります。


また、創業しようとする比較的若い経営者

の方は、銀行口座もお持ちでないという方

も珍しくありません。


これも、ある意味の「銀行離れ」なのかと

思います。


それはそうと、現実的には、事業を始める

には、銀行との融資取引を始めることにな

るわけですから、銀行とは親密になること

の方が得策です。


これも当然なのですが、銀行に融資を申し

込むということは、銀行に対して自社を信

用して欲しいということを伝えるわけです

から、自社やその経営者の人となりが銀行

に分かるようにしなければなりません。


ここに、銀行と融資を受ける人の認識の差

があると思いますが、融資を受けようとす

る側は、融資を申し込む時点だけ、きちん

と対応すればよいと考える方が多いようで

す。


でも、銀行は、初めて融資取引をするとき

は、少なくとも、数か年の融資期間、一般

的には、これから半永久的に取引が続くこ

とになるであろうという前提で、個別の融

資を検討しています。


これは、別の言い方をすれば、最初の融資

取引の後は、2度目からは比較的に融資を

受けやすくなるということでもあります。


本題に戻りますが、もし、将来、起業して

銀行からの融資を受けたいと考えた段階か

ら、どの銀行から融資を受けたいか検討す

べきと思います。


私が薦めるのは、一般論ですが、融資に積

極的な地域金融機関、すなわち地方銀行

信用金庫(以下、単に「銀行」と記しま

す)です。


ただ、銀行が融資に積極的かどうかという

ことを見分けることは難しいと思います

が、ひとつの目安として、ホームページで

その銀行の資産が1兆円以上あるかどうか

ということを確認するとよいでしょう。


資産の量が多いというのは、融資額も多い

ので、融資に詳しい人材も多いと考えられ

るからです。


次に、取引する銀行を決めたら、起業が具

体的なる段階に至っていなくても、口座を

開設します。


その口座では、金額を多く積まなくても、

公共料金や保険料などの口座振替などを利

用して、銀行から見て「実態のある」取引

相手であると認識できるようにしておくと

よいでしょう。


口座がない相手と融資取引をする場合は、

銀行は取引の判断を慎重に行いますが、口

座がある相手であっても、お金の動きのな

い相手とは、銀行は取引の判断を慎重に行

います。


でも、公共料金などの支払いがあれば、そ

の相手は実態がある相手であり、その銀行

にとっての得意先と見るので、そのような

方が融資取引をしたいと申し出を受けたと

きは、ある程度は銀行が安心できます。


できれば、その銀行に定期的な積み立て型

の預金をしておくと、預金取引の量が多く

なるというだけでなく、きちんと積み立て

が行われることで、融資返済もきちんとし

てくれる相手であろうという判断をされま

す。


このようなことは、ちょっとしたことです

が、何年か前から準備するだけでも、融資

を受けるときに負担が減ります。

 

 

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臆病になる勇気

日本航空に42年間ご勤務され、現在は、

リスクマネジメントの専門家としてご活躍

されておられる、小林宏之さんのご著書、

「JALで学んだミスをふせぐ仕事術」

( https://amzn.to/2pPEba8 )を拝読いた

しました。


この本は、危機管理にどう対処すべきかと

いうノウハウが満載されており、多くの会

社経営者にとってたいへん参考になる本で

すが、その中でも、私は、「臆病になる勇

気という言葉」が印象に残りました。


この、臆病になる勇気について、小林さん

は、次のような出来事をご紹介しておられ

ました。


昭和41年3月に、カナディアンパシフィ

ック・エアラインの飛行機が、濃霧のため

に、着陸しようとした羽田空港の滑走路の

手前で墜落し、乗員乗客72人のうち、

64人が亡くなるという事故が起きた。


この事故の少し前に、日本航空の飛行機

は、羽田空港への着陸を諦め、福岡空港

向かうことにした。


機長が「濃霧のために、目的地を福岡空港

へ変更します」と機内アナウンスをしたと

き、機内では非難の声が上がった。


しかし、その飛行機が福岡空港へ到着し、

羽田空港での事故のニュースを知らされる

と、乗客は機長を賞賛した、というもので

す。


このエピソードからは、学ぶこと、感じる

ことがたくさんあると思います。


小林さんは、「乗員乗客の命の安全を確保

する」ことを最優先にするには、「危機に

遭遇した場合、みんなに好かれようとか、

よく思われようとはしない」ことが求めら

れるとご指摘されておられます。


そして、日本航空では、小林さんが入社す

る前から、「臆病と言われる勇気を持て」

「機長の判断を尊重する」という社風が定

着していたそうです。


と、ここまで書いた内容は、ほとんどの方

にご賛同いただけることだと思います。


ただ、これは、実践が難しいとも感じてい

ます。


これは、小林さんも述べておられました

が、仮に、前述のエピソードで、カナダの

航空会社の飛行機の事故がなかったとした

ら、目的地を変更した日本航空の機長の判

断は批判されるだけのことになっていたで

しょう。


すなわち、日本航空の機長の判断は、結果

論だったのかもしれないのです。


このように、機長の判断は、結果として、

単に会社の負担を増やすだけのことになる

かもしれないのに、それをを尊重すること

は、特に経営者としては、なかなか難しい

のではないでしょうか?


ただ、経営者が部下に対して結果だけを求

めてばかりいると、部下は、経営者の顔色

を見てばかりで自ら判断することをせず、

組織的な活動ができなくなるばかりか、航

空会社で言えば、安全よりも利益を重視す

る会社に陥ってしまうことになります。


とはいえ、経営者は、株主や銀行からは、

高い利益を得ることを常に求められてお

り、安全と利益の板挟みになる苦しい立場

に立たされています。


ただ、最近は、安全と利益は相反すること

と考える人は少なくなりつつあるとも感じ

ています。


むしろ、安全性を求めることが、会社の信

頼を高め、利益につながるという考えが主

流になりつつあるでしょう。


確かに、安全性を求めたり、機長の判断を

尊重するということは、短い期間では、相

反することもあるかもしれませんが、会社

は長期間活動するという前提で考えれば、

安全性を求めることを最重要の課題とすべ

きでしょう。


そして、経営者の方にとって大切なこと

は、部下に権限移譲をすること、そして、

権限移譲することができるような信頼でき

る部下、有能な部下を育成することだと私

は考えています。

 

 

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情報とマーケティング

シンクタンクのソフィアバンク代表の藤沢

久美さんが配信しているポッドキャスト

ご出演された、イオレ社長の吉田直人さん

のお話しを聴きました。


(ご参考→ https://goo.gl/3S4RnQ


イオレは、当初、サッカー振興を支援する

ための、携帯電話用のサッカー新聞を配信

している会社でした。


ところが、あるユーザーから、自分の所属

するサッカーチームのメンバー間の連絡シ

ステムを作って欲しいとの要望を受け、同

社でメーリングリストを作ってあげたそう

です。


そのメーリングリストは、当初は、30人

が登録されていたものの、その後、利便性

が高いと評価され、対戦相手のチームや、

他のスポーツのチームにも利用者が現れ、

半年後には登録者が3,000人になった

そうです。


そこで、仮のサービスとして始めたこの連

絡システムを、正式なサービスとして開始

したところ、2年間でユーザーが100万

人になったそうです。


ところが、このサービスでは、直接、ユー

ザーに課金することができないことが課題

となっていました。


そこで、学生のユーザーを対象に、アルバ

イトを紹介する事業を始めることにし、そ

れを収益源とすることにしたそうです。


このイオレの事業展開を聴いたとき、私は

グーグルの事業を連想しました。


グーグルも、さまざまな無料のネットサー

ビスをユーザーに提供し、そこに広告を出

すことで収益を得ています。


ところで、以前、私は、マーケティング

向のマーケティングについて記事を書きま

した。


(ご参考→ https://goo.gl/18QxGJ


その記事では、マーケティング志向のマー

ケティングとは、もの余りの時代は、単な

る販売努力だけでは製品が売れないことか

ら、新しい需要を掘り起こすことによって

製品を販売することと説明しました。


グーグルも、イオレも、まさに、このマー

ケティング志向のマーケティングを実践し

ていると、私は考えています。


では、もの余りの日本において、それに適

しているマーケティング志向のマーケティ

ングを実践するにはどうすればよいでしょ

うか?


それは、前述の2社のように、多くの情報

を得ることだと私は考えています。


もちろん、イオレのように、約670万人

のユーザーをいきなり集めることは難しい

ですが、自社の市場で多くのデータを集め

ることが、いまの日本の経営環境に適し

た、マーケティング志向のマーケティング

を実践する必須条件だと思います。


例えば、これも、以前に紹介した、東京都

町田市にある、いわゆる街の電気屋さんで

ある、“でんかのヤマグチ”も、多くの顧

客リストを整備しているからこそ、きめ細

かいサービスを提供することが可能になっ

ています。


(ご参考→ https://goo.gl/4DHvEs


顧客のデータ収集は地味な活動ですが、成

功している会社の例から分かるように、こ

れがまさに競争力の源泉になります。


繰り返しになりますが、データ収集は、一

朝一夕に集まらず、大きな労力の必要な活

動ですが、これこそ、現代の経営環境に適

した手法であると私は考えています。

 

 

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全員野球

ホームページ制作会社の、株式会社ミス

ターフュージョンの社長、石嶋洋平さんの

ご著書「会社のホームページはどんどん変

えなさい」 ( https://amzn.to/2GD04TX )

を拝読しました。


ホームページは、よく、「24時間働く営

業マン」と言われ、売上増加には欠かせな

いと言われる一方で、活用に成功した会社

もあれば、うまく活用できていない会社も

あります。


両者には明確な違いがあり、石嶋さんは、

ご著書の中で、ホームページを活用できな

い会社の共通点を、次のようにご指摘され

ておられます。


(1)ホームページの目的が決まっていな

い。


(2)ホームページを良くしていこうとす

る土壌がない。


(3)データによる裏付けがない。


と、ここまでは、石嶋さんの本を読むまで

もなく(とはいっても、石嶋さんの本には

石嶋さんのコンサルティングのご経験など

きちんとした裏付けが書かれているので、

石嶋さんのご指摘が無意味というわけでは

ありません)、すでに多くの方がご理解さ

れておられるでしょう。


しかしながら、このような特徴が明らかに

なっているのに、そこから抜け出すことが

できない会社が少なくないと私は感じてい

ます。


すなわち、問題なのは、何を改善すれば良

いのかが分かっていながら、ホームページ

を活用できないままでいるという状態から

抜け出すには、どうすればよいかというこ

とです。


前述の、ホームページを活用できない会社

の共通点を逆にすれば、「目的を明確にす

る」、「改善の土壌を醸成する」、「裏付

けをもって行動する」ということになりま

すが、これは、ホームページだけでなく、

会社のあらゆる活動に通じるものであり、

会社の足腰を強くすることにもなるでしょ

う。


これについて、石嶋さんは、「ミスター

フュージョンの全員野球」という活動をし

ているそうです。


これは、石嶋さんが、毎日、「きょうは、

A社の○○○について改善案を出して欲し

い」といった課題を出し、営業部門だけで

なく、管理部門も含めた全員が、グーグル

アナリティクスを見て15分間で改善案を

提出するというトレーニングのことです。


この活動の目的は、正しい答えを出すこと

ではなく、改善策を考えるという習慣を身

に付けることだそうです。


このことにより、ホームページの制作に直

接携わっていない管理部門の従業員の方

も、自分の担当する業務の改善が進むよう

になっているそうです。


「ホームページはツールであって、目的で

はない」ということを分かっている経営者

の方は多いと思いますが、ツールを手に入

れるだけで安心してしまい、そのツールを

活用する能力の醸成までは実践していない

経営者の方は多いのではないでしょうか?


というのも、ツールの活用のための能力の

醸成というのは、口で言うほど容易ではな

いということも事実でしょう。


でも、効果が得られるまでに時間はかかる

とは思いますが、石嶋さんの会社が実践し

ている「全員野球」は、どんな会社でも

「実践」することは難しいことではなさそ

うです。


それを実践するかどうかは、最終的には、

経営者の方の意思の強さにかかっているの

ではないでしょうか?

 

 

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マニュアルの先にある2%がすべて

日本酒の獺祭を製造している、旭酒造会長

の桜井博志さんの著書、「勝ち続ける『仕

組み』をつくる獺祭の口ぐせ」

( https://amzn.to/2I8yOtd )を読みまし

た。


この本は、会社経営にかかわる人たちにと

って役立つ、多くの示唆が書かれています

が、私は「マニュアルの先にある『2%』

がすべてを左右する」(52ページ)とい

う言葉が、最も印象に残りました。


伝統的な酒造りは、杜氏の経験と勘によっ

て行われてきましたが、いままで酒造りを

任せてきた杜氏高齢化し、代わりの杜氏

を探すことが難しかったことから、桜井さ

んは、酒造りをマニュアルにし、杜氏でな

い社員で作るようにしたそうです。


そして、同社には、同業者も含めて多くの

見学者が来るそうです。


特に、業界の中では、製造工程の中の「発

行中の温度経過」は公開しないことが常識

らしいのですが、それも公開しているそう

です。


それは、桜井さんは、製造工程を公開した

ことにより、自社の製品を真似されても、

70~80%の完成度の酒しか造れないと

思っているからそうです。


設備や造り方を完全にコピーしても、98

%だと考えているそうです。


その理由について、「残り2%の部分は、

自分たちの頭で考え、自ら行動しないと到

達できない領域です。


私たちも日々2%の領域で格闘し、改善を

繰り返していますから、万一完全にコピー

されたとしても、その差は決して埋まらな

いと自負しています。


失敗を繰り返し、より良い酒へと日々進化

させていく。


そのプロセスを経た結果が『獺祭』です」

と桜井さんは述べておられます。


私は、かつてからPDCAが経営そのもの

と述べておりますが、桜井さんも「失敗を

繰り返し、より良い酒へと日々進化させて

いくプロセスを経た結果が『獺祭』」と述

べておられるように、他社に真似できない

「2%」は、経営そのものであり、これが

競争力の源泉でしょう。


98%が真似できても、それはまがいもの

にすぎず、残りの2%が本物かどうかを決

めることになります。


ですから、私も、事業改善をお手伝いする

会社には、桜井さんの会社が実践している

ように、「PDCAで積み上げた結果は他

社には簡単には真似できず、強力な武器に

なります」とお伝えしています。


ちなみに、獺祭は、平成28年に、虫が混

入していたというアクシデントがありまし

た。


このアクシデントののち、検査をしても

らった保健所の方にも、「衛生面で必要と

思われることは全部していますね」と言わ

れたそうです。


しかし、ラインを見直した結果、酒を瓶に

補充したあと、人の手で瓶にキャップをか

ぶせれば虫が入る可能性がほとんどなくな

るということがわかったそうです。


このことから、桜井さんは、機械を万能視

する、会議を繰り返して衆愚体制になるな

ど、同社組織が思考停止状態、大企業病

なりかけていた状態と考え、それを反省し

たそうです。


この部分が、まさに、「すべてを左右する

2%」なのだと思います。

 

 

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