鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

事業が続く会社は他社に依存しない会社

すでに亡くなった私の父親は、かつては

学校の教諭でした。


私が銀行で働いていたとき、私は直接

遭わななかったのですが、父は銀行へ

やってきて預金をしたことがあるよう

です。


後で、そのことについて話をされたとき、

「職員の態度が悪かった」と父から言われ

ました。


これについて、私は、「その職員の中には

自分の教え子もいるのだから、自分にも

責任はあるよ」と、ちょっと冗談気味に

反論しました。


また、別の時に、いっしょにテレビ

ニュースを見ていたとき、「企業は年々、

パートタイマーを多く雇うようになり、

金保険料を納める労働者が減ってきて

いる」というニュースを聞いた父が、

「年金保険料を払わないですむパート

ばかりを雇う会社はけしからん」と

立腹していました。


しかし、その翌日、父は、自分が飲む

ビールをディスカウントストアで買って

きたので、私が、「なぜ、正社員を

たくさん雇っているデパートではなく、

パートばかりやとっているディスカウント

店でビールを買って来るのか?」と尋ねた

ところ、ばつの悪い顔をしていました。


ここまで、身内の恥ずかしい話を書き

ましたが、私を含め、人間は、自分に

都合のいいように考えがちです。


でも、会社を経営する経営者は、特に

こういった矛盾したことには気を付ける

べきだと思います。


(もちろん、会社経営者でなくても、

気を付けることがよいということは、

言及するまでもありません)


例えば、私が、かつて見た事例なの

ですが、社会保険にきちんと加入して

いない会社の経営者が、自分の長女が

就職することになり、その就職先に

ついて、「きちんと社保にはいって

いる会社でなければだめだ」とお話し

していたときは、「???」となり

ました。


このような会社は極端な例ですが、

まだ現実として、出産をする従業員は

退職してもらうという不文律が残って

いる会社も少なくないようです。


このようなことは好ましくないという

ことは、私が述べるまでもないの

ですが、その一方で、本音では、育児

休暇を与えることもなかなか難しいと

考えている経営者の方も多いでしょう。


ただ、ここでは、法令や倫理的にどう

こうということを述べることは本旨では

ありません。


述べたいことは、例えば、自社では

新卒者を採用したいと考えておりながら、

自社の従業員には育児には協力的では

ないという状況をつくることは、

矛盾があると思います。


自社が欲する新卒者は、育児休暇を

与えた他社の従業員のお子さんか、

または、専業主婦の夫人とお子さんを

養える給与を支払っている他社の

従業員さんのお子さんということに

なります。


すなわち、仮に自社が新卒者を採用

したとすれば、それは、他社のおかげ

ということです。


会社は、納税をしたり、従業員の方に

給与を払うということで、社会に貢献

していますが、新卒者を雇うことは

するけれど、自社では共稼ぎの従業員は

働いていないということであれば、

この点に関しては、他社に依存する

ことが前提となっているということに

なります。


この例に関する記述はここまでと

したいと思いますが、外部に依存

する面が多い会社は、事業の発展は

自ずと限界があるということです。


確かに、規模の小さい会社では、なか

なか従業員の方の働きやすい環境を

提供することは難しいという面もあると

思いますが、その一方で、ある社労士

さんが、「会社を設立したときに、

社会保険に入っていなかったために、

後に、事業規模が拡大し、いよいよ

加入せざるを得なくなったときに、

その金銭的負担が大きくのしかかる」

ということをきいたことがあります。


創業時は、事業そのものが赤字に

なってしまうことは仕方ないこと

ですが、将来は、他社に依存しない

態勢を整えようという前提で会社を

起こさなければ、事業は長続き

しないと私は考えています。

 

 

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顧客との距離を縮める

私が銀行で働いていたとき、一時、独身

寮に入っていたときがありました。


その寮では、玄関の近くに箱があり、

そこにクリーニングしたい衣類を入れて

おくと、ほぼ毎日、近所のクリーニング

店のおばちゃんが衣類を取りに来て、

数日後にはきれいになった衣類が戻って

くる仕組みになっていました。


そのクリーニング店のおばちゃんは、

仕事熱心な方で、大手のクリーニング店

では行わない配達をしてくれることから、

クリーニング代は多少高くても、寮生は

頼りにしていました。


とはいえ、確かにおばちゃんの熱心さは

あったものの、やはり、決め手は、寮の

玄関に専用の箱があるということだと

思います。


その箱に衣類を入れさえすれば、

クリーニングを依頼できるという

手軽さが、おばちゃんのお店の売上に

つながったと言えるでしょう。


似たような商法としては、ヤクルトの

訪問販売や、オフィスグリコなども

挙げられます。


販売員が職場に訪れれば、やはり、

ヤクルトを買ってしまうし、お菓子の

箱がオフィスに置いてあれば、やはり

お菓子を買ってしまいます。


このように、売る側と買う側の物理的な

距離が縮むということは、売上につながり

やすいと言えると思います。


さらに、最近、注目されている商法は、

Amazonのダッシュボタンです。


台所に食器用洗剤のボタン、洗濯機に

洗濯用洗剤のボタン、冷蔵庫にミネラル

ウォーターのボタンがあれば、その場で

すぐに商品を注できるという便利さは、

顧客とお店の物理的な距離を縮めている

ことになります。


このような商法は大手の会社でなければ

実施できませんが、最近は、CRMが

中小企業でも投資でできる程度の金額で

導入できるようになってきています。


例えば、電話がかかってきたときに、

その電話番号から顧客の取引履歴が

パソコンの画面に現れるようになり、

顧客から詳しい情報を聞き出さなくても

深くつっこんだお話しができるように

なっています。


例えば、家電店であれば「冷蔵庫が

壊れた」とだけ聞けば、メーカーや

機種をきかなくてもよいし、耐久年数が

過ぎていれば買い替えを促すことも

できるようになります。


こういった方法で、顧客と売る側の

距離を縮めることができます。


今回は、商売の工夫のひとつとして、

顧客との距離の縮める方法について

例をあげてみました。


その方法はひとつだけではありません

ので、いろいろな方法を検討してみる

ことをお薦めします。

 

 

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「こと」に対する売上

この記事などでこれまで何度かお伝えして

来ましたが、現在は、「もの」ではなく、

「こと」を売らなければならない時代に

なっています。


「こと」というのは、改めて説明すると、

牛どん屋さんでは、牛どんではなく、

「低価格で短時間に食事をとれる」という

利便性を売っているということです。


ところで、自社の商品の価格はどのような

活動で稼いでいるのかということを分析

する手法として、価値連鎖分析という

ものがあります。


とはいえ、今回の記事は、価値連鎖分析を

説明することが本旨ではないので、簡単に

先ほどの牛どん屋さんを例に説明すると、

牛どんそのものの生産活動よりも、商品を

安価に提供できる仕組みと、短時間で

商品を提供できるオペレーションが、

牛どんの価値を作っているということに

なります。


しかし、牛どん屋さんのメニュー表には、

「牛どん並300円」といった、商品に

対して価格が書かれているために、顧客は

「牛どんを購入している」ととらえて

しまいがちです。


ところが、最近は、産み出している価値に

対して代金をもらう事業が現れてきて

います。


そのひとつは、メニコンのメルスプランと

いうサービスです。

参照→ http://www.menicon.co.jp/mels/


メルスプランでは、入会金3,000円と

月額費用(1,800円から)を支払う

だけで、コンタクトレンズの代金は

支払わずに、コンタクトレンズを使う

ことができるというサービスです。


これは、コンタクトレンズという商品を

買うのではなく、コンタクトレンズ

使って、きちんとものが見える暮らしを

過ごすことができるようにするという

サービスに対して代金を支払うという

ことになります。


定額制の別のサービスとしては、東京都

新宿区にある子―フィーマフィアという

お店が、月額制でコーヒーを飲めるという

サービスを始めています。

参照→ http://coffeemafia.jp/


このお店では、月額2,000円を払えば

コーヒーを何杯でも飲むことができます。


会員でない場合は、1杯200円ですから

11回お店に行けば得をするということに

なります。


ただ、このお店が、コーヒーという飲み

ものを提供するお店ではなく、やすらぎを

与えるお店という考え方で事業を行って

いるとすれば、2,000円はコーヒー

10杯の値段ではなく、やすらぎの対価

と言えるでしょう。


これまでは、「こと」を売りながら、

売上は「もの」の価格というところ

ばかりでしたが、これからは、売上も

「こと」に対する売上になる事業が

増えてくるのかもしれません。


そして、それは、自社の事業をより

明確にすることにもなると思います。


どうすれば適正な対価が得られるかと

考えている経営者の方は、「こと」を

売って、さらに、「こと」の対価を

得るという方法を検討してみることに

よって、業績の改善の手がかりになる

かもしれません。

 

 

 

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判断基準

先日、経営コンサルタントの木戸一敏

さんが、木戸さんのポッドキャストで、

判断基準を持つことが大切だとお話し

されておられました。


ご参考→ https://goo.gl/oTyj58


木戸さんが、かつてリフォーム会社を

経営していたとき、外注業先の職人の方と

うまくお付き合いができなかったことが

あったそうです。


最初は、気に入らないからというだけで

付き合いをやめるようなことをしては、

また、別の職人さんを探さなければ

ならないので、気に入らない職人さん

とも付き合いを続けていた。


しかし、あるとき、判断基準を設けて、

その基準に満たない職人さんには、

じっくり話し合い、それでも状況が

改善しないときは付き合いをやめる

ようにした。


そうすることで、職人さんとの紛議は

なくなるようになった、ということです。


私は、この判断基準を持つという木戸

さんの考え方は、おつきあいする職人さん

以外のことにもあてはまると思います。


例えば、「自分は、二代目経営者として

父親から旅館の社長を引き継いだ。


しかし、この時代にこの場所で旅館を

繁盛させることは至難の業だ」という

ような経営者の方とお会いしたことが

あります。


確かに、地方の旅館は経営が難しいと

私も考えます。


しかし、「経営を引き継ぐ」、「自社の

事業を旅館業とする」、「自社の事業を

行う場所を、現在の場所とする」という

ことは、果たして誰が決めたのかという

ことに疑問が残ります。


その経営者の父親は、旅館業という

事業を、現在の場所で営んでいましたが、

社長を引き継ぐことは依頼されたと

しても、どういう事業を行うか、どの

場所で事業を行うかということまで

依頼されているのでしょうか?


これは、当事者ではないから言えると

言われてしまうかもしれませんが、

旅館業を現在の場所で営まなければ

ならないというのは、変えることが

できないものではないと私は思います。


すなわち、「もうかる事業を選択する」

「もうかる場所で事業を行う」という

判断基準をその経営者の方が持つことに

よって、現状を変えることができる

可能性が残っていると私は考えます。


現状を変えることも易しいことではあり

ませんが、ゆでがえるの状態を続ける

くらいであれば、アントレプレナー

シップを持って、新しい事業に取り組む

ことの方が、収益の状況が好転する

可能性は高いと思います。


また、ここからは上から目線で恐縮

ですが、「自分は父親から儲からない

旅館業を引き継がされた」という

被害者的な立場を主張して、現状を

変えない言い訳にしているという面も

あると思います。


ここまで、旅館業を引き継いだ経営者の

方の例を書きましたが、経営者の中で

自社の事業がうまく行かない理由を

他人のせいにしてしまいがちであると

いうことは、私がここで述べるまでも

なく、多くの方が分かっていると

思います。


しかしながら、自分のことになると

気づきにくいことでもあると思います。


業況がよくならないと考えている方は、

「判断基準」を設けることで、本当に、

現状を変えることはできないのかと

いうことを確かめてみることも、現状を

打開するひとつのきっかけになるのかも

しれません。

 

 

 

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融資審査のプロセス

今回は、中小企業から申し込みされる

融資はどのように審査されていくのか

ということについて、私の経験から

書いてみたいと思います。


銀行の融資係の労力の約半分は、

既存の融資の反復融資の手続きです。


既存の融資とは、短期借入金が主な

もので、期限が到来すると、ほぼ、

同額の借入の申し込みがあるので、

その新たな融資の手続きを行います。


既存の借入の反復融資は、ある程度、

前もってスケジュールが分かるので、

取引先には、引き続き融資を受けるか

どうか、融資を受ける場合は、どういう

書類が必要かということを、2か月から

1か月前に知らせておきます。


こうすることで、既存の融資の期限が

到来しても延滞とならないように

します。


残りの30%は、新規の融資の手続き

です。


新規の融資は、当然のことながら、

事務手続きは既存の融資よりも多く

なります。


まず、融資の申し込みを受けた職員は、

「融資面談報告書」などといった名称の

報告書で、融資の申し込み内容を渉外係

→融資係→支店長といって順に回付され

ます。


これは、実質的な事前稟議書になり、

よほどのことがなければ、正式な融資

稟議書で内容が覆ることはありません。


私が融資係にいたときは、難しそうな

案件であっても、融資面談報告書で

融資を実行する方針になっていると、

むりやり融資可能な理由をこじつけして

融資稟議書を書いていました。


融資稟議書は正式な書類ですが、そも

そも、それが書かれる時点で融資を

実行することは固まっており、詳細な

条件を記載したり、案件に問題が

ないかということの最終確認が、

正式な融資稟議書で行われるという

ことになります。


ここまでの説明を読むと、申し込んだ

融資はすべて承認されてしまうような

印象を持たれると思いますが、やはり、

承認されない案件もあります。


大幅な赤字の会社、借入額が過剰な

会社、異例な条件が多い案件、

何らかの疑わしい事情がある案件

などは、融資面談報告書が回る

時点ではじかれることになります。


そもそも、銀行も、何とかして融資額を

増やそうとしているわけですから、

融資を検討するということは、

「どの融資を断るか」ではなく、

「この案件は取り上げることができ

そうか」という判断をしています。


いわば、取り上げるべきかどうかの

ラインの上にある案件を、前述の

融資面談報告書などで検討している

ということです。


ここまでの説明で、銀行に融資を

申し込む中小企業経営者の方は

どうすればよいかということですが、

それは、早めの対応をするという

ことに尽きます。


前述の、融資面談報告書の段階で、

ほぼ方針が固まるわけですから、

きちんと資料をそろえ、論理固めを

して銀行に申し込むことが確実です。


「承認が得られるかどうかわから

ないけれど、ひとまず銀行に行って

みよう」という程度であれば、

むしろ行かない方がよいと私は

考えています。


そのような状況であれば、顧問

税理士の方か、融資に詳しい

コンサルタントに相談して、

きちんと理論固めをすることを

お薦めします。


準備が十分でない段階であっても

どうしても銀行に探りを入れて

見たいということであれば、銀行の

職員の方とお話しする時点で、

「きょうはご相談で来た。正式な

申し込みは、後日、詳細な条件を

固めてから改めて行いたい」と

明確に伝えてからお話をすると

よいでしょう。

 

 

 

 

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中小企業経営者は偉い

私は、ブログなどで「経営者はこうある

べき」などと書いていますが、もし、

それを読んでいただいている経営者の

方は、「それができたら苦労しない」と

お考えの方も多いと思います。


私自身も、書くことが目的の、実現味の

ない記事を書くことは、本意ではありま

せん。


そこで、記事を書くにあたっては、

2つのことに注意しています。


ひとつめは、書いた内容は、自分に

はね返ってくるということです。


当然、自分にできないことを他人に

求めるということをしてはならないと

いうことです。


ふたつめは、経営者は尊敬されるべき

人という前提で書くということです。


こう考えるようになった経緯は、稲盛

和夫さんが講演で、「中小企業経営者の

方は偉いのだ」とお話しされていたから

です。


もう少し具体的に書くと、稲盛さんは

仏教臨済宗に帰依されていることは

多くの方がご存知ですが、「偉い人と

いうのは、毎日修行しているお寺の

お坊さんだけではない。


毎日多忙で「修行」はできないけれど、

仕事をすることで心を高めている中小

企業経営者の方にとって、仕事をする

ということは、お寺でお坊さんが修行を

することと同じだ。


そして、ただでさえ自分の家族を養う

ことさえ難しい時代にあって、中小

企業経営者の方は、従業員の方も

養っているということになり、その

こと自体が尊いことである。


中小企業経営者は単なる守銭奴のように

扱われることがあるが、そうではなく、

本来は、偉い立場の人であり、尊敬

されるべき存在だ」とお話しされて

いました。


私も、稲盛さんと同様に、中小企業

経営者の方は偉い方々だと思っています。


だから、ブログなどでは、普通の人には

やや難しいことであっても、経営者の

方はそれを遂行しなければならないと

書いていますが、それは、尊敬の対象

であるからです。


また、まだ経営者にはなっていはいない

ものの、これから経営者になろうとして

いる方には、経営者は何をするべきかと

いうことも知ってもらいたいと思って

いますが、その前に、普通の人には

なかなかできない難しいことをしな

ければならない立場に立つ人でもある

ということを知ってもらいたいとも

思っています。


もうひとつ付け加えさせていただくと、

「会社の経営者に就任」するには、

自らが会社を設立し代表取締役に就任

することで可能ですが、「就任」する

ことと、経営者として能力を発揮する

ということは、当然、異なります。


経営者に就任する人が、必ずしも最初

から、100点をとれる経営者という

わけではないことも確かですが、ある

程度の「経営者」としての能力を身に

付けることもせずに「会社の経営者に

就任」してしまうと、最悪の場合は、

事業に失敗し、会社をたたむことにも

なりかねません。


「偉い」存在である経営者になろうと

する人が、これからだくさん現れる

ことは望ましいことですが、「会社の

経営者になるには会社を設立して、

自ら社長に就けばいい」という手続き

だけと考えている方がいるとすれば、

もう少し、経営者の役割や資質について

学んでから、会社の設立をしていただく

ことが賢明であると私は考えています。

 

 

 

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会計おたくの効用

私がコンサルタントになったきっかけは、

大学で会計を習ったことでした。


私が所属した学部は、人文部で、当初は

英文学を専攻しようと思っていたの

ですが、たまたま人文部に関西ことばで

話をする面白そうな教授がいて、その

教授が会計学を担当していたため、

教授に惹かれて会計学を専攻することに

しました。


その教授は、「会計は会社の事業の

ひとつの側面を表しているに過ぎない。


本来、会社は『ひと』の論理で動いて

いる。


だから、会計を習う人は、ひとの論理、

すなわち組織論も習っていなければ、

なぜ『かね』がこのように動いている

のかということを理解できない」と

ことあるごとにお話しされていました。


そこで、私はその教授から、組織論も習う

ことになりました。


そして、会計を専攻した人が目指す職業は

公認会計士や税理士だと思われると思うの

ですが、前述のように、組織論を習った

こともあり、経営コンサルティング

仕事にしようと考えました。


ちなみに、「かねの論理」と「ひとの

論理」の関係については、小職の新刊、

「図解でわかる経営の基本いちばん

最初に読む本」に詳しく記載してあり

ますので、ご関心のある方はお手元に

取り寄せていただけると幸いです。

http://amzn.to/2lu3fU4


話しを戻すと、会計の専門家は、おかねの

論理だけで会社を見てはいけないという

ことが、私の信条となっているという

ことです。


ところが、その後、私は、会計はあなどれ

ないとも考えるようになりました。


会計に関する学習を進めていくと、対象と

なる事業に対応して、さなざまな工夫が

凝らされています。


例えば、ホテル業界には、独特のユニ

フォーム・システムという会計基準

あります。


(ユニフォームとは、制服の意味では

なく、「統一の」という意味です)


ホテルは、ホテルの建物の所有者が、

別の会社に運営を委託することが多く、

その結果、ホテルの運営者に責任のない

費用である減価償却費は、ホテルの

損益計算書の営業利益には反映され

ません。


すなわち、一般の会社と異なり、

営業利益はホテル運営者の責任となる

利益と費用で計算されるということに

なります。


また、別の例では、棚卸資産の価額の

算出方法も、事業の内容によって様々

です。


極端な例では、少額の商品をたくさん

売っている小売業は、直接、仕入額を

把握するのではなく、売価から逆算

して、それを仕入額としています。


しかも、その商品は、異なる種類の

商品であっても、類似性があれば、

ひとまとめにして仕入額を計算する

ことが許されています。


もうひつ例をあげると、建設会社では、

請負額が10億円以上、期間が1年以上

などの条件を満たしている工事は、

その建物が販売されていなくても、

建設会社の決算時に、完成の度合いで

収益が得られたという前提で計算を

行います。


ここまでさまざまな事業の会計について

述べてきましたが、この記事は、会計の

規則の説明が本旨ではないので、事業

ごとの会計の特徴についての記載は、

ここまでとしたいと思います。


ところで、私が銀行で働いているときは、

このような会計についてむさぼるように

学びました。


その結果、多くの事業の特徴について

学ぶことができました。


もちろん、会計だけで事業のすべてを

学ぶことはできませんが、このような

事業ごとの特徴を学ぶことは、私に

とって、会計を学ぶための大きな

動機となりました。


また、このようなことを学んだことが、

いま、コンサルタントとして、様々な

業種のコンサルティングを行える

ようになったのだと思います。


今回は、私の考える会計の面白さに

ついて書いてみましたが、これが、

会計を苦手と考える方にとっての、

会計を学ぶきっかけのひとつに

してもらえればと思います。

 

 

 

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