鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

合併と傘下入り

今回は、熱心な読者の方のSさんからの

ご質問に回答したいと思います。


ご質問は次のとおりです。


> ある方の会社が生き残りをかけて
> 別会社の傘下に入ったという内容を
> 経営者の方がFBで投稿なさって
> いました。
>
> 傘下に入るという事は合併?
> 傘下に入ることと合併との違いが
> わかりません。
>
> また、そうする事の自社にとっての
> メリットやデメリットがあったら
> 教えてください。


まず、合併について説明します。


合併は、2つ以上の組織が1つになる

ことを意味していますが、会社法第2条

第27項と第28項で2種類の合併が

定義されています。


吸収合併→会社が他の会社とする合併で

あって、合併により消滅する会社の権利

義務の全部を合併後存続する会社に承継

させるものをいう。


新設合併→二以上の会社がする合併で

あって、合併により消滅する会社の権利

義務の全部を合併により設立する会社に

承継させるものをいう。


A社とB社が合併するとき、吸収合併は

A+B→Aとなる合併で、新設合併は

A+B→C(新しく設立する会社)と

なる合併です。


ただし、実際には、新設合併はあまり

行われておらず、多くの場合は、吸収

合併が行われているようです。


なお、吸収合併であっても、合併後に

会社が商号(社名)を変えることもあり、

外見的に新設合併に見える場合もあり

ます。


例えば、第二電電は、KDDと日本移動

通信と合併し、KDDI(合併した時の

商号は「ディーディーアイ」)となり

ましたが、これはKDDIという新しい

会社が設立されたわけではなく、

合併後も第二電電が存続し、商号を

KDDIに変更したという吸収合併です。


一方、傘下とは、「全体を一つの勢力

としてまとめる指導的な人物や機関の

下で、その統制・支配を受ける立場に

あること」(大辞泉)ということです。


しかし、会社について「傘下に入る」

ということの法律での定義はないので、

人によって指すものが異なります。


ただし、具体的は、次のようなことを

指すと考えられます。


(1)ある会社から出資を受けて子会社

になる。


(2)ある会社から出資を受けて持分法

適用会社になる。


(3)ある会社と契約を結び、継続的

または多額の商取引を行う。


正確さを犠牲にしてわかりやすく説明

すると、ある会社が、別の会社の株式の

50%を超えて保有しているとき、その

会社は子会社といい、別の会社の株式の

20%以上50%以下を保有している

とき、その会社を持ち分法適用会社と

いいます。


親会社と子会社は、法律上は別の会社

ですが、親会社は子会社の株式の株式の

50%を超えて保有し、子会社を支配

しているため、親会社は子会社を含めた

決算書(連結財務諸表)を作成するなど、

実態はひとつの会社と同じです。


したがって、ある会社が、別の会社の

子会社になるとき、それは「傘下に入る」

とはいわず、「子会社化する」という

ように言われることになるでしょう。


よって、「傘下に入る」とは、持分法

適用会社になるか、多額の商取引を

することを指すと思います。


では、持分法適用会社になることと、

多額の商取引をすることの違いは何か

ということですが、実態としては、

両者はあまり変わりがないと私は

思っています。


先ほど、持分法適用会社の定義として、

20%以上の株式を保有している会社と

と説明しましたが、実は、株式の保有

後付けと言えます。


というのは、まず、両者で多額の

商取引をすることが前提にあって、

次に両者の関係を強化するために、

傘下に入る会社が20%以上の株式を

持ってもらうということになる例が

ほとんどです。


最近の例では、販売や製品開発などの

業務提携にともなって、自社の34%の

株式を日産自動車保有してもらった

三菱自動車が挙げられます。


では、株式の保有をともなわない、

契約だけの傘下入りとはどういうことか

というと、中小企業の多くは、実態と

しては株式を他社に保有してもらうと

いうことは、手続きが煩雑でもあり、

あまり行われていません。


さらに、法律上は株式会社であっても、

規模の小さい会社は経営者の個人的な

信用(いわゆる、「顔」)で取引が

行われており、他社の株式を保有する

という必要性があまりありません。


傘下に入れるということは、必ずしも

出資をしなくても、商取引で実質的に

傘下に入れることもできるということ

です。


ここまで、合併と傘下について説明

してきましたが、ご質問への回答は、

「合併」は法律で定められた手続きに

よって、2つの会社が1つの会社に

なることで、「傘下に入る」とは

商取引を強めて主従関係を作るという

ことです。


恐らく、Sさんのお知り合いの方が

FBに投稿した内容は、別の会社から

商取引で支援をしてもらうという

程度の意味であり、法的に合併したり、

出資をしてもらうということまでは

考えていないのではないかと想像

します。

 

「傘下に入る」と「合併する」とも、

広い意味で「一緒に仕事をする」という

ことであるとすると、両者の違いは、

手続きの違いであり、合併は、法律上も

ひとつの会社になるということです。


両者のメリットとデメリットは、

傘下に入ることはお互いの意思表示

だけですんだり、少ない金額の出資で

行うことができますが、つながりは

合併よりも薄くなります。


合併はその逆で、手続きが煩雑になり

ますが、事業も会社も一体となることが

できるということです。


以上、今回は読者の方からの質問に

お答えしました。引き続き、読者の方

からのご質問をお待ちしております。

 

 

 

 

 

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妻は夫の事業が成功して欲しくない?

私はサラリーマン川柳がすきで、ときどき

第一生命さんのWebPageを見て

います。

(参照→ https://goo.gl/aNFjkL


川柳には、職場の様子をよんだものも多い

ですが、夫婦関係が最も多いと思います。


中でも、私は、平成28年の57位だった

「サラ川で 妻の仇あだ打つ ダンナ達」

という句に共感しました。


妻にはなかなか頭が上がらない夫が多い

のだと思います。


どころで、夫婦関係については、作家の

本田健さんがセミナーで言っていた、

次のような言葉を思い出します。


「夫が大きな風船のひもにつかまって、

ふわっと上昇しようとしているのを

見ると、妻は、吹き矢を吹いて、その

風船を割ろうとする」


これは、夫が会社員を辞めて会社を

起こし、新しい事業を始めてようやく

成功しようとしているとき、かつて、

「その事業は成功しそうもないから、

独立などせずに、会社で働き続けて

欲しい」と、新しい事業に反対して

いた妻が、自分の主張が間違っている

ことになりそうな状況を見て、夫の

事業が成功しないように夫の邪魔を

することの比喩です。


本田さんは、妻がなぜ夫の事業の邪魔を

しようとするのかということまでは

お話ししていないのですが、私は、次の

ようなことが理由だと思っています。


すなわち、サラリーマンだった夫が

会社経営者になり、経営者として成功

してしまうと、自分はその経営者の

妻ということになり、いままでのような

平凡な立場ではいられなくなる。


また、夫が成功者になってしまう一方で、

自分がいままのままでいたら、夫婦間で

つり合いがとれなくなってしまうのでは

ないかという不安を持つことから、

夫には変わらないで欲しいと考えている

ということではないかと思っています。

 

ここで誤解のないように補足しておき

ますと、本田さんは、夫の邪魔をする

妻を批判しているのではなく、夫は

仕事にばかりかかわって独走する

のではなく、妻の気持ちを慮ることが

大切ということを伝えるために、この

ような事例をお話しされているものと

思っています。


話しをもどすと、実は、このような

ことは、中小企業の経営者と従業員の

間でも起きる例を、私は見てきています。


すなわち、優秀な部下がいると、経営者は

その部下を煙たがります。


その理由は、優秀な部下は、社内での

自分の立場を危うくすると考えるからの

ようです。


これはいうまでもなく、本当は、優秀な

従業員が社内にいるということは幸運な

ことなのに、その部下を煙たがると

いうのは、経営者としては了見が狭いと

言えるでしょう。


ここで挙げた例のような経営者は少数派

ですが、経営者の方は器量を大きくする

ことが最初に求められるということを

改めて考えさせられた次第です。

 

 

 

 

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都合のいい部下ほど危険

二宮尊徳の逸話に、桜町(現在の栃木県

真岡市)で復興事業を行っていたとき、

力強く鍬で畑を耕していた農民を叱った

というものがあります。


これは、力強く鍬を使っていたら、

その作業は長く続けることができる

ことができない。


すなわち、尊徳が監視に来た時だけ

仕事をしている振りをして、人が

見ていないときは怠けているという

ことを尊徳が察して、その農民を

改めさせたというものです。


そして、今回は、経営者の方も、この

ような、上役の前だけで調子のよい

ことをする部下には用心しましょうと

いうことを伝えたいのですが、単に、

二宮尊徳さんのような美談があるから

ということ以外の面で説明したいと

思います。


ところで、前述のような逸話をきいて、

経営者の方の多くは、「自分だって

そんな部下がいたら注意する」と考える

ことでしょう。


しかしながら、それは口で言うほど容易

ではないと私は考えています。


というのは、経営者にとってありがたい

従業員というのは、稼ぎのいい従業員

でしょう。


稼ぎのいい従業員は、いつも業績を気に

かけている経営者としては、重宝する

存在です。


しかし、そのような従業員には注意が

必要です。


これも多くの方が察することだと思い

ますが、稼ぎのいい従業員は我田引水的な

人もいるということです。


すなわち、自分の成績をあげることを

優先し、他の従業員に面倒な仕事を

押し付けたり、顧客にできない約束を

して、目の前の数字だけを上げるという

ことをする人もいるということです。


ここで、私が伝えたいのは、経営者は

そういう従業員の存在を見抜いて、改め

させるべきだということではありません。


経営者の方は、我田引水的な従業員が

いても、ずるができないような体制を

つくらなければならないということです。


詳細な説明は文字数の兼ね合いで割愛

しますが、例えば、それは品質管理

システムを採り入れるだけでも大きく

効果が得られるでしょう。


ずるをする人が現れるというのは、

経営者の方が結果だけを求めている

からです。


きちんとプロセスを示し、それに忠実に

仕事をするように指導していれば、

我田引水的な仕事をしようとする人は、

ずるをすることが難しくなるはずです。


我田引水的な従業員は、「経営者は

結果を欲しがっている」という弱みを

ついて来るわけですから、その弱みを

はねのけなければ、ずるをする従業員が

現れた場合の責任は、経営者に帰する

ことになります。


そして、そういった役割が経営者本来の

役割であり、かつ、会社の着実な発展を

実現する方法だと私は考えています。

 

 

 

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労力は採算のとれることにふりむける

私が銀行職員だったころ、業績の芳しく

ない会社への融資方針で、よく上司と

対立したことがあります。


明日、すぐに倒産するというわけでは

ないものの、かといって、ずっと待ち

続けていれば業績が回復するという

わけではない会社に対しては、早々に

融資を引き上げるべきだというのが、

私の考え方でした。


しかし、このような私の考え方は、

他の人にはあまり受け入れてもらえ

ませんでした。


とはいっても、私の考え方がおかしい

というのではなく、融資を引き上げる

ことで、その会社が倒産に至ることを

避けたいという消極的な考え方が、

反対の主な理由でした。


このように書くと、私が、テレビ

ドラマの半沢直樹に登場した、

大和田専務のように、半沢直樹

父親の経営していたネジ製造会社

から、強引に融資を引き上げる

ようなことをしようとしていたと

受け止められてしまうかもしれま

せんが、決してそのようなことは

したことはありません。


仮に、融資を引き上げるとしたとき、

その会社が倒産してしまう可能性が

あります。


それが、その会社にとって大変な

ことではありますが、とはいえ、

逆に単に融資を続けて負債が課題に

なってから倒産してしまうことに

なるのであれば、負債が少しでも

少ないうちに会社をたたむことの

方が、結果として、経営者の負担を

減らすことになります。


ただ、取引先が倒産したという事実は、

融資をしていた銀行も傷を負うことが

表面化するため、特に、上職者ほど、

そういった汚点を避けたいと考え

がちです。


その一方で、そういった考え方は、

銀行全体から見れば得策ではなく、

単に、後任者に大きなツケを回す

だけになるとも言えます。


むしろ、あえて火中の栗を拾うことを

する人の方が、本来は評価されるべき

ところですが、実質的に減点主義で

評価が行われていると、そういった

こともなかなかしにくい状況でした。


ちなみに、私の意図は、業績の芳しく

ない会社から融資を引き上げることが

最大の目的ではありません。


実は、業績の芳しくない会社への融資は

あまり採算がとれません。


なぜなら、業績がよくないのになぜ

融資をするのかという説明に大きな

労力がかかるからです。


どうで労力がかかるなら、業績のよい

会社へのアプローチを行い、前向きな

融資をすることの方が、精神的にも、

銀行の収益にも大きく貢献すると

考えていたので、不採算な取引は

減らしたいということが私の意図

でした。


しかし、人というのは、現状を変えない

ようにしようとする心理が知らないうちに

働いてしまいます。


または、業績の悪い会社に融資を続ける

ことが最大の使命だと思い込んでしまう

ようになるのかもしれません。


今回の結論は、ツケは先に回さないと

いう、極めて当りまえのことを書いたの

ですが、それを私の経験を例に書いて

みました。


自社があまりもうかっていないという

場合は、何が不採算の原因なのかと

いうことを、税理士やコンサルタント

などの第三者に見てもらうことが、

改善のきっかけになるかもしれません。

 

 

 

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ライク・ワークとライス・ワーク

これは、私自身にも言えることなの

ですが、自分が始める事業→自分が関心の

ある事業→自分以外にも多くの人が関心を

持っている事業→自分が開業すれば売上が

見込まれる事業、というように考えている

方は多いと思います。


事業を始めるにあたっては、自分が関心が

なければモティベーションにはならない

ので、関心を持つことそのものに問題は

ないのですが、その一方で、いわゆる、

「ライク・ワーク」(好きな事業)では

なく、「ライス・ワーク」(生活費を

得るための事業)として、安定的な収益が

得られるかどうかという点で、苦心して

いる人も少なくありません。


このことは、中小企業だけが直面している

課題ではないようです。


プロ野球チームの横浜も、かつて、顧客が

求めているものについて、誤って認識して

いたようです。


プロ野球チームが、球場に来る観客を

増やすにはどうすればよいかと言えば、

チームの成績がよくなることと考える

人は多いでしょう。


そして、このことは、私も決して誤って

いないと思います。


しかし、平成23年に横浜の経営権を

DeNAが取得してから、集客方法に

ついて、従来とは違ったアプローチが

行われました。


とはいえ、奇抜なことが行われたわけ

ではありません。


球団は、地元の人たちに対して調査を

行いました。


その調査結果をもとに、球団は、

本拠地の横浜スタジアムのコミュニ

ティー・ボールパーク化という構想を

打出します。


具体的には、横浜スタジアムについて

次のようなことを行いました。


(1)座席の色を、チームカラーの

横浜ブルーに塗り替える。


(2)内野席の一塁側をホーム席、

三塁側をビジター席という、これまでの

考え方ではなく、一塁側をBAY

SIDE、三塁側をSTAR SIDE

という名称に変更し、球場全体の

一体感を出した。


(3)三塁側にも横浜を応援するための

専用エリアを設けた。


これら意外にも、次のような工夫を

行っています。


(4)花火を打ち上げる。


(5)臨場感を持って観戦できるよう、

ファウルゾーンにせり出すエキサイ

ティング・シートを儲ける。


(6)内野席を改修して、ツイン

シート、トリプルシート、ボックス

シートなどを設ける。


(7)シャワールームを設ける。


このような工夫から、横浜のホーム

ゲームの観客動員数は、平成23年は

約110万人であったのに対して、

平成27年は、約181万人と、

約65%増加しました。


ちなみに、この間、チームの成績は、

5位または6位であり、観客動員数と

成績の因果関係は小さいと言えます。


なお、横浜のチームの成績が3位と

なった、平成28年の観客動員数は、

約194万人で、横浜が日本一に

なった年の約185万人を上回った

ようです。


話しを本題に戻すと、リサーチ

などを行うことで、経営者と顧客の

間の認識を埋めることができ、

それが業績の回復につながることが

あるということです。


ライク・ワークとライス・ワークは、

同一であることが望ましいわけですが、

それを実現するには、思い込みを取り

払うことが大切でしょう。

 

 

 

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金融庁検査マニュアルが結果重視へ

今回は、日本経済新聞に書かれていた、

金融検査マニュアルの刷新について、

私が考えることについて書きたいと

思います。

ご参考→ https://goo.gl/qujEqb


記事によれば、「不良債権の扱いや管理

体制の不備を細かくチェックする従来の

手法を転換。金融機関に創意工夫を促し、

人口減少や低金利環境下でも持続的に

収益をあげられるモデルづくりを後押し

する」ということです。


これは、きちんとしたプロセスを踏んで

銀行が経営されているかということを

検査する方法から、銀行がきちんと

収益を得られているかどうかという

結果に焦点を移すということだと

思います。


要は、細則主義から原則主義、もしくは、

プロセス主義から結果重視に変わると

いうことです。


ただし、「貸出資産の査定に関する

項目は、金融機関や監査法人が会計処理で

活用するなど広く根付いているため残す」

ということで、個別の融資に関しては、

金融検査マニュアルの刷新の影響は

受けないようです。


話しを戻して、金融検査マニュアルが

結果重視に変わると、融資を受けている

中小企業はどのような影響を受ける

ことになるでしょうか?


結論とすれば、選別が強まるということ

でしょう。


とはいえ、銀行側も、十把一絡げに

赤字である会社から融資を引き上げる

ということはせずに、一定程度の

目利きを効かせる努力はするでしょう。


ただし、銀行に依存的な会社は、これ

までどおり、労力をかけて審査をして

くれるということは少なくなっていく

ものと思います。


結論としては、銀行は極端に中小企業

から、融資を引き上げるということは

しないと思いますが、会社の強みや

独自性を自力で明確にアピールできない

会社は、融資を引き上げられやすくなる

ものと思います。


とはいえ、このことが、極端に難しい

ということではありません。


経営計画書、短期事業計画書、月次

試算表などを定期的に作成し、自社の

状況を銀行に説明していれば、それで

十分なアピールとなります。


このようなことができない会社は、

そもそも、事業そのものの管理が

できない会社、すなわち、成行で

事業に臨んでおり、淘汰されて

しまう会社ではないかと、私は

考えています。

 

 

 

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お手本とする人のそばにいる効果

私が銀行の新人営業マンだったとき、

先輩の職員の方から営業マンとして、

多くのことを学びました。


まず、営業マンの基本的な仕事として、

預金を集めなければなりませんが、

割り振られる目標はとても大きなもの

でした。


サラリーマンの方にボーナスを預金して

もらうということも大切ですが、

それだけでは目標には届きません。


そこで、先輩方は、富裕者層と懇意に

なって、他の銀行に預けてある預金を、

1千万円単位で預け替えしてもらって

いました。


営業マンになったばかりの私には、

どうしたらそんなことができるように

なるのだろうと思っていたのですが、

「実際に大口預金の預け替えを成功

させている人がそばにいるのだから、

決して不可能なことではない」と

思いながら営業活動を続けていたら、

私も、徐々に、1千万円や2千万円の

大口預金の預け替えをしてもらえる

ようになりました。


具体的な方法は本題ではないので、

ここでは割愛しますが、そのような

ことができるようになったのは、

難しそうだけれど、できない訳では

ないと思って挑戦していったから

だと思います。


営業マン時代は、こういった預け替え

だけでなく、個人ではなかなか経験

できない、大口プロジェクト融資、

大規模システム導入など、ちょっと

怖い案件も経験することができ、

フリーランスとなったいまも、

「これは無理かも?」と思うような

ことも、あまりたじろぐことなく、

前向きに取り組むことができる

ようになりました。


フリーランスになってからの私の目標の

ひとつは、出版でしたが、これを実現

するために、私は、出版した人たちと

たくさん接触するように心がけました。


そうすることで、以前は、本を書いた

ことがある人は雲の上のような人と

思っていたものの、そのような人と

たくさん触れることによって、私と

あまり変わりがない普通の人と感じ

られるようになり、徐々に、自分にも

出版は難しいことではないと思える

ようになってきたことが、出版を

実現できた大きな要因になったと

思います。


ここまで私の経験を書きましたが、私が

述べるまでもなく、恐らく、このことは

すでに多くの方が実践していることだと

思います。


ただ、私のような内向的なものも、

「自分ではできないことではない」と

思い込むと、それができるように

なることもあるので、なかなか次の

一歩を踏み出せないという方のご参考に

なればと思い、書かせていただきました。

 

 

 

 

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