鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

コンサルティングの定義

[要旨]

コンサルティングは、クライアントの依頼に基づいて、クライアント自らが行う課題解決を支援することと考えられますが、実際には、クライアント自身で課題を見つけようとしなかったり、課題の解決をコンサルタントに依頼したりする例は少なくないようです。

[本文]

前回、銀行が融資相手の会社に対して行うコンサルティングについては、部分的にしか期待できないと述べました。これについては、たくさん反論があると思いますので、少し補足していきたいと思います。まず、コンサルティングとは何かということです。このコンサルティングの定義については、公的機関が定めているものについては、私は、見つけることができませんでした。しかし、中小企業診断士の藤井孝一さんが独自にコンサルティングの定義についてまとめているものが参考になると思います。

藤井さんは、「コンサルタント」について、「個人、または、組織からの依頼に基づき、彼ら(クライアント)の抱える固有の問題や課題について、自らが持つ知識・経験・情報・ノウハウ等をもって解決をサポートする存在」と定義しています。とはいえ、コンサルティングについては、多くの方が頻繁に使っており、わざわざ定義することが必要なのかと感じる方も多いと思います。しかしながら、人や立場によって、コンサルティングを指すものが異なることも事実でしょう。

この曖昧さは、銀行や私のような、コンサルティングに関わっている人たちにとっては、少しややこしい問題となることがあります。それは何かというと、藤井さんの定義にもあるように、「クライアントの課題の解決をサポートする」ことです。これも当然のことと思われると考える方も多いと思いますが、大切なことは、クライアント自身が選択した課題を、クライアント自身が解決することをサポートすることがコンサルティングということです。

ところが、私の経験から感じることは、クライアント自身が課題を見つけられない、または、選択しなかったり、クライアント自身が解決に携わらず、コンサルタントに代行してもらおうとしたりする経営者も、少なからずいるようです。本旨から外れますが、中には、「コンサルタント」を名乗りながら、事業の一部を「代行」することを請け負う人もいるので、経営者が誤解してしまいやすい原因にもなっていると思います。「支援」と「代行」は異なることなのですが、現実には混同される、というよりも、「代行」を望む経営者は少なくないということが実態です。

2021/12/1 No.1813

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