鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

銀行は事業計画書を作成しない

[要旨]

事業再構築補助金の申請要件には、「補助金額が3,000万円を超える案件は、(事業計画を)金融機関も参加して策定する」という要件がありますが、これは、融資をする立場として、事業計画書に妥当性があることを、銀行に確認してもらうという意味合いであり、事業計画を銀行に作成してもらうことが要件ということではないと考えられます。


[本文]

前回、事業再構築補助金の申請要件には、「補助金額が3,000万円を超える案件は、(事業計画を)金融機関も参加して策定する」というものがあるとご説明しました。この説明を読むと、「3,000万円を超える案件は、銀行に事業計画の作成を依頼しなければならない」と受け止める方もいると思います。しかし、実際には、銀行に事業再構築補助金の申請のための事業計画書の作成を依頼しても、応じてもらえないと思います。

その理由としては、次のようなものが考えられます。ひとつは、物理的に、銀行に、事業計画書を作成するための人的な余力がないということです。ふたつめは、仮に、余力があったとしても、事業再構築補助金の申請に関するノウハウは少ないということです。

みっつめは、仮に、事業再構築補助金の申請に関するノウハウが銀行にあったとしても、申請して採択されなかったときの責任を避けたいと、銀行が考える可能性があるからです。したがって、現実的には、事業再構築補助金の申請をしようとする会社は、まず、銀行以外の認定経営革新等支援機関などに支援をもらいながら、事業計画書を作成し、それを、融資をする立場としての銀行に、問題がないか見てもらうということになると思われます。

そこで、経済産業省の資料には、「金融機関とともに(事業計画書を)策定する」ではなく、「金融機関も参加して(事業計画書を)策定する」という言い回しになっているのでしょう。繰り返しになりますが、経済産業省は、銀行に融資ができる事業計画になっているかどうかを確認してもらってから、事業再構築補助金の申請してもらいたいということなのでしょう。

ただし、ここまで銀行の支援について否定的な説明を書いてきましたが、地域金融機関の中には、過去に、補助金の申請の支援に積極的なところもありました。(ご参考→ https://bit.ly/3aENPnN )このような地域金融機関は、事業再構築補助金の申請にも積極的に参加してくれる可能性もありますので、もし、このような地域金融機関が近くにあれば、心強い味方になるでしょう。

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