鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

すべての仕事は営業である

[要旨]

会社の中には、営業部門の人と製造部門の人がいますが、顧客が製品を買うかどうかは、営業部門の人の働きかけだけでなく、製品の評価にも左右されるので、どの部署で働いているかにかかわらず、ビジネスパーソンは、顧客にどういう価値を提供できるかのということを意識することが大切です。


[本文]

働き方評論家で、千葉商科大学国際教養学部准教授の常見陽平さんの、産経新聞への寄稿を読みました。記事の主旨は、常見さんは、これまで、私生活の中で、自動車を購入したり、自分の所有するマンションを売却したりしたときに、優れた営業マンたちに会い、その人たちから大いに営業方法を学んだというものです。私は、仕事がら、これまで「営業の鬼」というような人をたくさん見てきており、自分が内向的な性格なので、そのような人たち(常見さんがそのような方かどうかは分からないのですが)に対しては、どちらかというと苦手意識を持っています。

でも、常見さんの記事の最後のフレーズについては、深く共感しました。「『私は営業担当者ではないので、あまり関係がない』という人もいるかもしれないが、ビジネスの場において、他社の営業を受けることがあるだろう。その時、どのような価値を提供するのか、どうすれば納得感が得られるのか、どのようなトークでプレゼンテーションをするのかということを学ぶことができるだろう。サラリーマンの人生訓に、『すべての仕事は営業である』というものがある。直接的に、自社製品を売るという仕事をしていなくても、何か価値を提供し、納得してもらう工程に関わっているということに変わりはない。自分がどんな価値を提供しているのかを考えることが大切だ」ということです。

いわゆる営業という仕事は、会社の営業部門の人の役割と考えている方が多いと思います。でも、自社の製品を顧客に実際に購入してもらえるかどうかは、営業部門の人の働きかけだけで決まるわけではありません。営業部門の人の活動に加えて、製品の完成度も大きな要因であり、製品の製造部門の人も、広い意味での営業活動に参画していると考えることができます。もう少し簡単に言えば、直接、顧客と接する機会のない人も、間接的には顧客から評価を受けることになっていると考えることができます。そう考えれば、「すべての仕事は営業である」という常見さんが指摘する考え方は、多くの方に理解されるものだと思います。会社の中には、顧客と直接会う人と、顧客と会うことがない人がいますが、その立場にかかわらず、自分が顧客にどういう価値を提供できているかということを意識することは大切ということを、常見さんの記事を読んで、改めて感じました。

 

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