鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

短期コロガシ融資と永久劣後ローン

前回に引き続き、永久劣後ローンについて質問がありましたので、それにお答えしたいと思います。そのご質問とは、会社によっては、銀行から、元金の返済をせずに、利息だけを支払えばよい、いわゆる短期コロガシ融資を利用していることもあり、それを利用すれば永久劣後ローンを利用しなくてもよいのではないかというものです。(短期コロガシ融資については、こちらをご参照下さい。→ https://bit.ly/2L6mhdF

この短期コロガシ融資は、劣後ローンと似ているところがあります。それは、前述の通り、元金の返済がないという点だけでなく、「短期融資」でありながら、実態は、融資の期限が到来しても、同額の反復融資の契約をする慣行があるため、半永久数的に、元金の返済をしないですむという点です。その一方で、短期コロガシ融資の融資利率は、短期融資の利率なので、あえて、長期融資の契約をして、比較的高い長期融資の利率を支払う必要もありません。

実は、私は、この短期コロガシ融資のような融資慣行があることも、永久劣後ローンを利用しようとする会社が少なくなる要因になると考えています。ただ、決定的な違いは、短期コロガシ融資には、前述の通り、6か月~1か年といった、期限があるということです。確かに、一般的には、短期コロガシ融資の期限が来ても、反復融資を受けることができますが、短期コロガシ融資を利用できるのは、返済が確実と判断される会社に限定(その理由については、前述の参照先をご覧ください)されており、業績が悪くなると、反復融資を受けることができなくなる可能性が高くなります。

一方、永久劣後ローンは、融資相手の中小企業を支えるという目的の融資であり、返済の定めがないという点は、その表れのひとつと言えます。また、業績が赤字の場合は、低利率、または、無利息で利用できるということも、同様です。そういった面から、永久劣後ローンの利率が(会社の業績がよいときは)高いことについては、相当の理由があると言えます。したがって、現時点では、永久劣後ローンの制度はありませんが、安定した資金繰を維持したいという方は、永久劣後ローンの制度ができた場合は、これを利用することを、私はお薦めします。または、すでに利用ができる、日本政策金融公庫の資本性ローンもお薦めしたいと思います。(ご参考→ https://bit.ly/35yQ08d

 

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