先日、大手新聞社が、東京都内の信用金庫
を批判する記事を書いていました。
(ご参考→ https://goo.gl/5cdyJL )
「違法ではない」という前提とはしている
ものの、「融資期間の目安となる耐用年数
を法定の2倍程度に見積もり、長期ローン
を行う仕組みを構築」したことを批判して
います。
すなわち、この記事からは、投資用不動産
向けの融資を、書類改ざんなどによって急
増させた地方銀行と、同様の悪質性がこの
信用金庫にもあるということを、指摘しよ
うしている意図が見えます。
確かに、融資期間が長くなると、融資の回
収のリスクが高くなるということは事実で
あり、記事の指摘する通りです。
しかし、法定耐用年数より長いということ
だけをもって、不適切とは言えません。
融資が適切かどうかは、融資返済の確実性
で判断すべきです。
例えば、貸しビルを建てようとする人が、
返済額を少なくしたいので、法定耐用年数
の2倍の融資期間を望んだとき、建物敷地
(他に抵当権がないもの)も担保とし、か
つ、建物の稼働率も50%程度以上を見込
むことができれば、その融資は回収の確実
性が高いと判断できるので、必ずしも不適
切とは言えません。
逆に、稼働率も低く、担保の評価額も少な
い場合は、回収が危うい融資であり、それ
は批判に値するでしょう。
今回の記事の結論は、法定耐用年数は参考
とすべきですが、それだけで融資の適切さ
は判断できないということです。
ちなみに、乗り合いバスの法定耐用年数は
5年ですが、乗り合いバスは実際には20
年以上も現役で走っていることも珍しくあ
りません。
日本における法定耐用年数は、税務上の観
点から定められているものであって、必ず
しも物理的に使える期間であるとは限らな
いということに注意が必要です。
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