鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

CSV経営

最近、CSV経営という言葉を聴くように

なりました。


CSVとは、Creating Shar

ed Valueの略語で、「共通価値の

創造」などと訳されています。


これは、米国の経営学者のポーターによっ

て、2006年に提唱された概念です。


CSVは、従来からあったCSR(企業の

社会的責任)と対比されて、よく説明され

ます。


すなわち、CSRは、会社の営利活動とは

直接結び付かないが、CSVは、会社の営

利活動に組み込まれるというものです。


ただし、単なる営利活動と異なるのは、共

通価値があるということで、共通価値とは

社会的な価値と会社の価値の両面から価値

があるということです。


具体的には、社会的な問題を解決すること

を起業の営利活動とすることで、それを創

造することがCSVということです。


もっと端的に述べれば、社会問題の解決を

会社の事業にするということです。


これについては、2014年版中小企業白

で、いくつかの例が紹介されています。


ひとつは、キリンが、「飲酒運転による交

通事故の多発という社会問題に対して、世

界初のノンアルコールビールを開発」した

ことや、「物流における環境負担の軽減を

図るために、集荷する商品をできるだけ集

約するなどして、CO2排出削減とコスト

削減の両立を可能にしたこと」です。


もうひとつは、ネスレが「レミアム・コー

ヒー用の豆の仕入先であるアフリカや中南

米の貧困地域の零細農家に対して、農法に

関するアドバイスを提供したり、銀行融資

に対する保証をするなど栽培農家に対して

密に支援することにより、高品質のコー

ヒー豆を安定して仕入れることを実現する

とともに、高品質の豆には価格を上乗せし

て、しかも農家に直接支払うことで、栽培

農家のモチベーションを高め、生産性の向

上と農家の所得の増加をもたらした」こと

です。


これらはいずれもすばらしい取り組みです

が、私は、ポーターのCSVの概念は後付

けだと思っています。


ポーターが提唱するまでもなく、前述の2

つの会社を始め、このような発想ですでに

多くの会社が実践しています。


そして、私が今回CSV経営を取り上げた

理由は、現在の会社の事業は、社会的な課

題を解決することが大きな趨勢になってい

ると私は考えているからです。


単に、優れた製品を製造する、安い商品を

販売する、高度なサービスを提供するとい

うだけでは差別化が難しくなっており、社

会的な課題を解決することが、大きな需要

に応えることになってきています。


現在、事業展開をどの方向に向ければよい

か思案している経営者の方は、社会的な課

題を解決することをヒントに、新たな事業

展開を検討することをお薦めしたいと思い

ます。


そこには強いニーズがあると私は考えてい

ます。

 

 

 

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