鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

改善とカイゼン

先日、トヨタに17年間勤務し、現在はカ

イゼンコンシェルジュとしてご活躍の石井

住枝さんとお話しする機会がありました。


(ご参考→ https://effec.jp/profile


その際、石井さんから、「トヨタの改善と

カイゼン」について、お教えいただきまし

た。


トヨタでは、「改良」、「改善」と「カイ

ゼン」を使い分けているそうです。

 

改良とは、投資をしたり費用をかけたりし

て、現状をよりよくすること、改善とは、

問題点を解決すること、そして、カイゼン

とは、現状に問題があるかどうかにかかわ

らず、費用をかけないよう工夫して、現状

をよりよい状況に持っていくことだそうで

す。


ちなみに、トヨタでは、カイゼンの考え方

を海外の工場にも広めていますが、英語に

はそれに該当する単語がないため、そのま

カイゼンという言葉を使っているそうで

す。


ところで、なぜ、トヨタカイゼンにこだ

わるのかというと、それは、現在のトヨタ

をつくり上げてきた根源的な考え方だから

だそうです。


というのは、トヨタが自動車メーカーとし

て事業を始めたのは、実質的には戦後から

で、その時は、旧財閥系の自動車メーカー

と比較して後発だったそうです。


しかも、所在地が愛知県の「田舎」に立地

しているということもあって、政府や銀行

などからの支援もなかなか受けることがで

きなかったそうです。


そのような中、「お金をかけずにどうすれ

ば、ライバルに勝てるような性能のよい自

動車を製造できるようになるか」という課

題に、日々、取り組むしか選択がなかった

そうです。


現在は、売上高29兆円、税引前当期純利

益2.6兆円も計上している会社が、かつ

てはお金に悩んでいたということは、とて

も想像できないことです。


しかし、戦後の厳しい状況を切り抜けた経

験を活かし、そのときの対処法を続けてき

たことが、現在は、日本を代表する会社に

なる大きな動力となったのでしょう。


このトヨタカイゼンの考え方から学ぶこ

とはたくさんあると思いますが、私は、経

営に王道はないということを改めて感じま

した。


実は、トヨタのような巨額の利益を得てい

る会社は、何らかの特殊なノウハウがある

のではないかと、私は考えていました。


表向きはそのようなことは口にしてはいま

せんでしたが、「トヨタをまねれば、業績

がよくなる」と考えていました。


でも、石井さんのお話をきいて、確かにや

さしいことではありませんが、「お金をか

けずに工夫をする」という、至極、単純な

ことをずっと継続するということしかない

ということが分かりました。


私が、「きっと、トヨタには、業績を高め

る秘密のノウハウがあるはずだ」と思って

しまったのは、「きっと、楽をしても、も

うかる方法があるはずだ」という、不精な

考えがあるからだと思い、反省したところ

です。

 

 

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