鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

融資稟議書には何が書かれるのか

当然のことですが、一般の方は、銀行の融

資稟議書に書かれる内容についてはあまり

知る機会がないと思います。


ちなみに、銀行職員向けの専門書を見る

と、融資稟議書にどういった内容を書くべ

きかと言われているかを知ることはできま

す。


(ご参考→ https://amzn.to/2jvWEoL


と、ここまで書いておきながら、私は、融

資を申し込もうとする会社経営者の方が、

融資稟議書に書かれる内容にどんなことが

書かれるのかということを意識する必要は

ないと考えています。


ただ、ここで融資稟議書に言及した理由

は、融資稟議書を書く時点では、それを書

いている銀行の支店では、融資を行うとい

う前提で書いているということを述べた

かったからです。


そもそも、「この会社から融資の申し込み

がありましたが、融資をしてよいもので

しょうか?」という伺いを立てるような内

容では、本部は融資の承認をしないでしょ

う。


本部に融資稟議書を書いている時点で、銀

行の支店では、すでに融資を受ける側と同

じ立場に立って、「この会社には融資をす

べきと考えているので、承認をして欲し

い」という内容を書いています。


(その詳細については、こちらの記事に書

いていますので、ご参照ください。→

https://goo.gl/mbQbLS


ただ、ここまで、「融資稟議書には何を書

いているのか」ということを述べてきまし

たが、もう少し厳密に書くと、「業績が芳

しくない会社の場合、あえて融資をしよう

とする理由をどう書いているか」というこ

とがポイントになります。


というのは、業績のよい会社の融資稟議書

には、融資申し込みの内容、取引状況、会

社の業況(これらの情報は、銀行のシステ

ムで機械的に記載されます)の他には、手

書きで支店所見欄に「業況良好であり申し

出どおりに応じたい」程度しか書かなくて

も承認を得られます。


しかし、このような例は圧倒的に少なく、

90%以上の融資取引先は、機械から得ら

れない情報を手書きで記載することで、本

部の承認を得られる状態になります。


その手書きされる具体的な内容は、決算書

などから得られない定性的な情報、経営者

の人柄や風評、将来に向けての事業計画と

その進捗状況などです。


融資の可否は、定量的な情報、すなわち、

決算書などから得られる数字が大きな決め

手になりますが、業績が芳しくない会社の

場合、定性的な情報は本部を説得する大切

な情報となります。


したがって、私が顧問先などの融資申し込

みのお手伝いをする場合は、融資稟議書を

書く銀行職員の方や、本部の審査担当の人

が欲しい情報を書面にまとめて提出するの

で、比較的円滑に承認を得られるようにな

ります。


しかし、その要領が分からない場合(とは

いえ、一般の会社経営者の方が、融資稟議

書の書き方の要領が分からないことは当然

のことです)、融資申し込みをしに行った

ときに、そのような情報をすべて伝えるこ

とは困難です。


そこで、融資の申し込みをしなければなら

ないときに備えて、すぐに融資が必要では

ないというときから、銀行の職員と接触し

ておくことが大切になります。


では、どういうことを銀行に伝えておけば

よいかということは、一概には言えません

が、6か月から1か年の資金繰予定表を作

成し、「3か月後に融資が必要になりそう

です」などと伝えると、銀行からは、正式

な申し込みをするまでに、どういった情報

が欲しいかということを教えてもらえるで

しょう。


そうするだけでも、余裕を持った対応がで

き、結果として、より円滑に融資の承認を

得られるようになるでしょう。


結論は、急な融資の申し込みは承認しても

らいにくいけれど、余裕をもって融資申し

込みをすると承認を得られやすいというこ

とです。


これは、融資申し込みに限ったことではな

いですが、先を読んで行動することは大切

です。

 

 

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