鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

共感から始まる顧客価値創造

先日、経営コンサルタントの阪本啓一さん

の著書、「『こんなもの誰が買うの?』が

ブランドになる共感から始まる顧客価値創

造」( http://amzn.to/2yq5uNE )を拝読し

ました。


タイトルから分かる通り、売れそうにない

ものを売れるものにするという実例が豊富

に紹介されています。


そのひとつを紹介すると、新潟県の軍手製

造会社が軍手をブランド品にしています。


軍手というと、やむなく使うというイメー

ジが大きいと思いますが、その会社では、

現社長が父親から経営を引き継いだとき、

おしゃれで積極的に使うグローブにすると

いうポジショニング転換をしたそうです。


最近では、フィギアスケートの人気が高ま

り、子どもにスケートを習わせる親が増え

てきたことから、スケートリンクでオリジ

ナルのグローブを売るようになってきたた

め、同社に受注が増えているそうです。


また、有名芸能人のコンサートでも、オリ

ジナルグッズとして販売されるようになり

受注が相次いでいるそうです。


さらに、会社のオフィスもデザイナーに依

頼して、カフェのようなおしゃれにしたり

機械もカラフルにしてBGMに従業員の好

きな音楽を流すようにしたそうです。


こうすることで、軍手メーカーの従業員か

ら、おしゃれなグローブのクリエーターと

いう意識を持ってもらえるようになったそ

うです。


(ご参考→ http://www.p-mizuho.com/ )


ここから阪本さんの示唆するものは、タイ

トルのとおり、顧客価値創造ということで

す。


軍手のままでは、手を保護する道具でしか

なかったわけですが、ものとしては軍手で

あっても、おしゃれをするものという価値

を創ることで、製品が売れるようになると

いうことです。


私は、さらに大切なこととして、そのよう

な方針を示し、従業員をリードすることが

経営者の役割として挙げたいと思います。


阪本さんは、この本の中で、銀行との付き

合い方についても言及しています。


すなわち、銀行は晴れの日に傘を貸し、雨

の日に傘を取り上げるのだから、晴れの日

のうちに傘を借りておけと述べておられま

す。


具体的には、融資を受けたいときは、すぐ

に借りたいと言ってはいけない


まず、設備投資をするにあたって、その事

業計画を作り、それを銀行に提出する。


その際、毎月、進捗状況を報告に来るので

6か月後、融資の可否について改めて検討

して欲しいという申込の仕方をするべきと

述べておられます。


このような方法は、銀行よりの方法と考え

る方も多いと思いますが、阪本さんは旭化

成の建材営業に従事したのち、渡米して経

コンサルティング会社を設立したという

経歴から、銀行よりの考え方をする方とは

考えにくいと思います。


事業を成功に導くには、融資の申し込みだ

けでなく、あらゆることに、このような、

交渉相手から共感を得る方法を採るべきと

いう考え方からの助言なのでしょう。


阪本さんは、別の助言として、銀行は雪か

きの仕方も見ていると述べておられます。


自分の店の前の雪かきをすることは当たり

前で、自然な気持ちで隣近所まで雪かきを

しているかで、その店の姿勢を判断してい

るということです。


阪本さんは、これは、共感を産むかどうか

という観点で述べておられます。


よく、「銀行は地域発展のために融資をす

るのではないのか」と疑問を持つ経営者の

方は少なくないと思いますが、そうであれ

ば、雪かきも、自分の店の前だけでなく、

地域のことまで考えていることが問われる

ということです。


地域のことを考えている会社であれば、融

資をする銀行もその会社に共感するという

ことです。


阪本さんは、本のタイトルの中に「共感か

ら始まる顧客価値創造」という言葉を入れ

ていますが、いかに共感を呼ぶことが大切

かということを、改めて感じました。

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20171017232415j:plain