鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

撤退

私の住まいの近隣にある小売店などを

見ていると、早期に撤退をしている

小売店や、飲食店ほど、会社の業績は

よいと、私は感じています。


早期に店舗などを撤退することは、

不採算な部分をなくし、会社全体の

利益を維持させることにつながります。


こういった面で、撤退のタイミングを

いつにするのかということは、事業

運営上、重要なポイントとなります。


ところで、この撤退を決めるという

ことは、意外と難しいことのようです。


その理由のひとつは、撤退が正しいか

どうかということは、結果論になり

やすいということです。


すなわち、正解は前もってわかり

にくく、撤退した後に、撤退しな

かった方がよかったということも

起こりやすいため、撤退の決定を

出しにくいということです。


ふたつめの理由は、感情的な理由です。


前述の小売業の店舗の例では、当初、

出店したときに、その出店について

社内で大きなイニシアティブを持って

いる人が関わっていたときに、それを、

後になって、出店したことを否定する

ことになる撤退を決めることは、人間

関係の観点から難しいということも

あるようです。


そのため、撤退のタイミングが遅れ、

損失額が膨れてしまうということも

起きるようです。


ところで、ボストンコンサルティング

グループ(BCG)が考案した、プロ

ダクトポートフォリオマネジメント

(PPM)という著名な管理手法が

あります。


自社の事業(厳密には、SBU(戦略

事業単位))を、金のなる木、花形、

問題児、負け犬に分類し、効率的な

資源配分を決めるためのものです。


この「効率的な資源配分」には、撤退

する事業を決めることも含まれます。


事業の撤退の判断は難しいということは

前述したとおりですが、PPMで一定の

基準を決めることで、その決定を促す

ことができるようになった面もあります。


結論は、冒頭で「早期に撤退をしている

小売店や、飲食店ほど、会社の業績は

よい」と述べましたが、それは、撤退が

早いということよりも、事業の撤退を

含め、事業に関する意思決定を迅速に

行うことができる体制が整っている

ということだと私は考えています。


だからこそ、撤退できる会社は、業績も

よいのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

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