鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

修正中長期計画とローリングプラン

以前、ローリングプランについて説明した

ことがあります。


(ご参考→ https://bit.ly/2QGFiFM


ローリングプランは中長期計画の一種です

が、最大の特徴は、定期的な計画の修正を

行うときに、その修正した時点を修正後の

計画の開始時点とするということです。


これについては、拙著、「図解でわかる小

さな会社の経営戦略いちばん最初に読む

本」( http://amzn.to/UJc6y2 )でも説明

していますが、経営コンサルタントの野口

吉昭さんのご著書、「コンサルタント

『質問力』」( https://amzn.to/2QlCnDq )

にもローリングプランの説明が書いてあり

ますので、引用させていただきます。


「ローリングプランでは、2012年に、

『2012年度~2014年度までの3年

間の中期経営計画』を作成したら、次は翌

年の2013年に、『2013年度~20

15年度までの3年間の中期経営計画』を

作成する。


さらに2014年にも『2014年度~2

016年度までの中期経営計画』を作成す

るという手法をとる」


すなわち、ローリングプランの場合、修正

をするというよりは、それまでの計画を踏

まえて新たな計画と入れ替えるということ

をします。


ところが、「ローリングプラン」を作成し

ている会社の多くが、前述のような修正を

しているようではないので、その点が気に

なったことから、今回、ここで記事にしま

した。


「ローリングプランを作成している」とい

う会社の多くは、中長期計画を定期的に修

正してはいますが、当初の計画の残りの期

間の計画の修正をしているだけのようであ

り、前述のような修正した時点を修正後の

計画の開始時点とはしていないようです。


例えば、2018年~2020年の中長期

計画を2019年に修正するときは、残り

の2019年~2020年のみを修正し、

そのことを「ローリングする」と言ってい

るようです。


私は、この、中長期計画の残りの期間の修

正をすることに問題があるとは思わないの

ですが、不思議なのは、どうしてそれを、

単に「修正中長期計画」と言わずに、わざ

わざ「ローリングプラン」と述べているの

かということです。


これは、これも以前にも述べましたが、会

社の強みを、単に「強み」と言わずに、

コアコンピタンス」や「USP」と言い

かえている理由と同じだと思います。


(ご参考→ https://bit.ly/2MVLp8d


今回の記事の結論は、自社の修正中長期計

画を「ローリングプラン」と呼んでいる会

社は多いものの、本当のローリングプラン

を作成しているわけではないので、その場

合は「修正中長期計画」と呼ぶか、また

は、本当のローリングプランを作成して欲

しいということです。


なぜ、私がこのような要望を持つのかとい

うと、せっかくローリングプランという

ツールがあるのに、別のものとして広まっ

てしまうことはもったいないと思っている

からです。


なお、念のために申し添えると、必ずしも

修正中長期計画が劣っていて、ローリング

プランが優れているということではりませ

ん。


どちらを作成するかは、会社の状況に合わ

せて選択することが望ましいものです。





※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/





f:id:rokkakuakio:20200104204505j:plain





中小企業の強み

経営コンサルタントの相馬一進さんが、ブ

ログに、「中小企業の強み」について書い

ていました。


(ご参考→ https://bit.ly/2QDU1Bh


記事の主旨としては、「(中小企業は)経

営者の性格や考え方を、そのまま強みにし

やすい、すなわち、経営者の性格や考え方

が、そのまま競争優位性になる」というも

のです。


私も相馬さんと同じ考えです。


ちなみに、あえて述べるまでもないことで

すが、必ずしも「経営者の個性=会社の強

み」になるとは限らないので、やみくもに

経営者の個性を強めれば、事業の競争力も

強くなるということにはならないというこ

とに注意が必要です。


話をもどして、私が実践している、この記

事の配信も、大きな会社ではなかなか実践

できないことです。


その理由にはいくつかありますが、最も大

きな理由は、大きな会社で配信するメール

マガジンは、ありきたりのことしか書けな

いからです。


それは、大きな会社は顧客数が多いので、

少しとんがったことを書くと、批判も起き

やすいことから、どうしても、万人受けす

ることしか書けません。


私も、この記事で私見は書きますが、それ

が必ずしも正しいとは限ならないというこ

とを分かった上で書いています。


でも、確実なことを書いていると、読んで

いる方にとっては、面白くなくなってしま

うので、間違っていることがあるかもしれ

ないという前提で、あえて、私見を書いて

います。


繰り返しますが、これは、大きな会社には

できません。


私が毎日記事を配信している理由には、こ

のような、大きな会社と差別化できるとい

う理由もあります。


そして、相馬さんも述べられておられます

が、中小企業の強みについて、よく、「意

思決定が速い」、「小回りが利く」などが

挙げられますが、それをもう少し具体的に

して自社の戦術にしていただけると、競争

力がより強くなると、私は考えています。


「意思決定が速い」、「小回りが利く」は

確かに中小企業の強みですが、それだけで

あれば、すべての中小企業にあてはまるこ

とですので、自社がその特性を活かすため

に、さらに一歩踏み出した戦術を実践して

もらえればと思っています。

 

 

 

※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20200102114254j:plain

 

高齢者はものを捨てられない

私ごとで恐縮なのですが、いま、高齢の母

親を介護しています。


そして、母親が介護施設に行っている間に

母親の部屋を片付けするのですが、捨てる

ものがたくさん出てきます。


自分の持ち物を捨てられないのは、私の母

親だけではないと思いますが、人は特に気

をつけていないと、いらないものを貯めて

しまいます。


結果としては、捨てることが正解だったと

しても、捨てようかどうか判断するとき、

「後で使う機会があるかもしれない」と考

えると、捨てる決断を躊躇してしまいま

す。


ただ、後になって、「あのとき捨てておけ

ばよかった」という後悔を何度もしていれ

ば、「これからは、使うかどうか迷うこと

があっても、思い切って捨てた方がよい」

とか、「要るかどうか迷うものは、どうし

ても必要になるまでは買わないようにしよ

う」というように、考え方が変わるはずで

す。


でも、「同じ失敗はしないようにしよう」

という心がけを強く持たずに、深く考えず

に、「持ち物は捨てない」、「欲しいもの

は買う」ということを繰り返していれば、

家は「ゴミ屋敷」になってしまいます。


そして、ここまで書いてきたことは、これ

もあえて私が述べるまでもないことなので

すが、分かっていてもなかなか実践できな

いでいる人は多いと思います。


私も、自分が最も改善しなければならない

ことは、健康になるために食事の量を減ら

せばよいのに、何かと理由をつけてたくさ

ん食べてしまうことだと思っています。


でも、解剖学者で、ミリオンセラーの「バ

カの壁」の著者でもある養老孟司さんは、

「食事の量を半分にしたら健康になった」

とお話されておられましたので、結局、本

気度がどれくらいかということであり、養

老さんは実行力があり、私には実行力がな

いということに尽きます。


そこで、私は、自分の意思の弱さを自覚し

た上で、大きな目標は立てず、毎日できる

小さなことを少しずつ実行することにして

います。


解決策は、私の実践しているような方法だ

けではないと思いますが、なかなか思うよ

うに行動ができないという人は、まず、自

分の意思が弱いという前提で、何らかの方

法をとることから始めることが大切だと思

います。


ここで、「そんなことをしている時間的余

裕はない」という反論をする方もいると思

います。


でも、「弱い自分を変えることができる強

い意思」を持っている人でなければ、小さ

いことだけでも変えて行かなければ、いつ

になっても何も変わらないでしょう。

 

 

 

※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20200101223602j:plain

 

売上増加は必ずしも利益を増加させない

税理士の永澤真司さんが、ダイヤモンドオ

ンラインに寄稿した記事を読みました。


(ご参考→ https://bit.ly/2szmlgd


記事の主旨は、売上を増加させるために、

変動費比率を高くしたり、高額な投資をし

て固定費比率を高くすると、利益が少なく

なったり赤字になる可能性があるので、限

界利益は最低限でも20%を上回るよう、

きちんと管理しなければならないというも

のです。


ちなみに、限界利益についておさらいする

と、限界利益とは、売上高から変動費を差

し引いた残りです。


限界利益=売上高ー変動費


なお、売上高は、変動費、固定費と利益の

合計なので、限界利益は固定費と利益の合

計額と等しくなります。


限界利益=(変動費+固定費+利益)-変

動費=固定費+利益


そして、事業が赤字になってしまう理由で

最も多いのは、変動費が多い、すなわち、

限界利益が少ない時です。


これを数式から説明すると、限界利益は固

定費と利益の合計額ですが、もし、限界利

益が固定費よりも少ないと、利益はマイナ

ス、すなわち赤字になります。


これを言い換えると、限界利益で固定費を

カバーできないと赤字になるということで

す。


このようなことが起きてしまうのは、採算

が得られているかどうかを変動費だけで見

ていると、「売値は仕入値より高いから、

採算は得られるだろう」という誤った判断

をしてしまいがちなので、永澤さんの指摘

するとおり、限界利益率をきちんと管理し

て、それが20%を上回るようにしなけれ

ばならないということです。


ところで、ここまでの理論は理解できると

して、それでは限界利益率が20%を超え

るようにするにはどうすればよいのかとい

うことです。


これは、私の経験から感じることなので、

客観的な根拠はないのですが、「いまから

始めようとする事業は、限界利益率が20

%を超えそうだから始めよう」と考えてか

ら事業に着手する人は少ないということで

す。


永澤さんの記事にも出てきますが、「衣料

品小売業を営む会社が、限界利益率を軽視

してレストラン営業を始めたケース」とい

う例は意外に多いように感じます。


このような多角化は、相乗効果を高める、

余剰人員の活用など、いくつかの理由が考

えられますが、利益が得られなければ、新

しい事業を始める意味はなくなります。


今回の記事のテーマは限界利益ですが、事

業を開始するからには、その事業はきちん

限界利益(≒付加価値)を確保できる事

業なのか見極めることが重要だということ

です。


ある意味、事業を開始することは難しいこ

とでありません。


大切なことは、きちんとした限界利益が得

られるかどうかということです。


事業活動をする中で、商品が売れれば現金

が入るので、その時は事業がうまくいって

いるように感じることもありますが、現金

が入るときに、きちんと限界利益が得られ

ていなければ、現金(利益)は手元に残ら

ないという観点から、事業をとらえてみる

ことが大切ということが、今回の記事の結

論です。


繰り返しになりますが、事業活動の目的は

売上を得ることではなく、限界利益(≒付

加価値)を得ることであるという観点は欠

かせません。

 

 

 

※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20191231203838j:plain

 

金融庁による不振地銀10行の重点監視

先日、日本経済新聞が、「金融庁は経営難

で将来の存続が危ぶまれる地方銀行10行

を対象に重点監視に入った」と報道しまし

た。


(ご参考→ https://s.nikkei.com/2ZCMK8N


これは、「改正した『早期警戒制度』の初

適用」であり、従来の「早期是正措置」で

は、自己資本比率が規制水準の4%を下回

らなければ、業務改善命令や業務停止命令

を発動できなかったものが、「リアルタイ

ムで手を打つことで、危機の芽を早く摘ん

で、安定した地域金融システムを維持」で

きるようになるということです。


ここまでは記事の内容ですが、この記事は

いわゆる「バルーン記事」だと思います。


「将来の存続が危ぶまれる地方銀行10

行」というのも、すでにSBIホールディ

ングスから支援を受けることを公表してい

る、島根銀行福島銀行に近い財務状況の

銀行であることは容易に推測でき、具体的

な銀行名を推測することは、それほど難し

くないでしょう。


そして、以前、「規模の小さい銀行ほど、

今後の合併・統合に消極的である」と述べ

ましたが、金融庁も、そのような腰が重い

銀行に対して、従来よりも強い姿勢を見せ

ることで、具体的な行動を促そうとするた

めに、この記事を新聞社に書かせたのでは

ないかと、私は想像しています。


(ご参考→ https://bit.ly/2Q9d4o4


約20年前の金融危機のときは、多くの金

融機関が破たんしましたが、当時の破綻し

た金融機関の経営者たちは、自己保身的と

なり、改善のための活動をあまり積極的に

行わなかったことが、その原因になってい

ます。


これからは、そのような轍を踏む金融機関

が現れることがないよう、金融庁も積極的

な働きかけをすることが望ましいと思いま

す。


また、銀行利用者の観点からは、規模の小

さい銀行と取引のある会社は、慌てて行動

する必要はありませんが、中堅以上の規模

の銀行とも融資取引をしておくことが望ま

しいと思います。

 

 

 

 

※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/

 

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20191231061115j:plain

 

1年の計は元旦にあり

この記事は、毎日、継続して発信していま

すが、その回数は1,100回を超えまし

た。


とはいえ、これまで記事をご覧いただいた

出版関係者の方からの執筆のご依頼があっ

たり、業界団体の方からの講演のご依頼が

あったりしましたが、まだ、直接的な収益

にはつながっていません。


ところが、副産物的な成果はたくさん得ら

れています。


ひとつめは、1,000日以上連続して記

事の配信を行うことができたという実績が

できたので、これが自分の自信にもなり、

新しいことも着手しやすくなりました。


ふたつめは、コンサルタントとして必要な

情報をたくさん集められるようになったと

いうことです。


専門家を名乗る以上、専門知識は持たなけ

ればならないことは当然ですが、記事を配

信するための情報収集が、専門家としての

知識の習得にもなりました。


みっつめは、文章を書く速度が速くなった

ということです。


いわゆる量稽古の効果です。


これ以外にも効果はあったのですが、この

ような効果は、私が述べるまでもなく、ご

理解されておられる方は多いと思います。


問題は、実践する人の割合が低いというこ

とです。


ということで、「六角のようなやつが記事

配信を継続しているくらいなら、自分にも

できる」と考えている方は多いと思います

ので、令和時代の最初のお正月をきっかけ

に、何かを始めてもらえたらと思い、今回

は、記事の継続配信の効果を書きました。


これまで、「一発逆転を狙ってきたけれど

も、どれもうまくいかなかった」という方

には、「毎日こつこつ少しずつ」に考え方

を変えていただくことをお薦めします。





※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/






f:id:rokkakuakio:20191230150821j:plain





成功しないのではなく実践していない

作家の犬養ターボさんのポッドキャスト

組を聴きました。


(ご参考→ https://bit.ly/39oCbuM


番組では、犬養さんが、かつて、自動車を

販売していたころのご自身のことをお話し

ておられました。


そのころの犬養さんは、事業があまりうま

く行っていなかったので、犬養さんと同じ

ように事業がうまく行っていない経営者の

人たちと集まっては、「景気がよくないで

すね」と話し合っていたそうです。


でも、犬養さんは、実は、同じ時期に事業

がうまくいっている人もいて、自社の事業

がうまく行っていないのは、景気が悪いわ

けではないということに、うすうす気づい

ていたそうです。


そして、もう、自社の事業が立ち行かなく

なりそうだというときになって、犬養さん

は、ようやく「成功者」のところに教えを

請いに行ったところ、成功するためのヒン

トをつかんだということです。


確かに、「成功者」に教えを請いたとして

も、必ずしも成功できるようになるとは限

りませんが、少なくとも、成功していない

人たちと集まって傷のなめ合いをしている

よりは、成功に近づくことは間違いないで

しょう。


この犬養さんの経験から学ぶことはいくつ

かあると思いますが、私が最も参考になっ

たと感じたことは、人は、うまくいかない

原因を他者に求めがちということです。


このようなことは、犬養さんのお話を聴く

までもなく、ほとんどの方が分かっている

と思いますが、犬養さんのような人であっ

ても、意識していないと、自分にとって都

合の悪いことは他人のせいにしてしまうと

いうことをあらためて感じました。


そして、そういう私も、自分の行動を見直

してみて、まだまだ実践できていないこと

がたくさんあることに気づきました。


でも、実践できていないことがあるという

ことは、それを実践すれば成功に近づくわ

けですから、逆に、決して「お先真っ暗」

ではないということでもあり、希望が湧い

てきました。


ということで、来年は、実践できていない

ことを実践する年にしたいと思います。

 

 

 

 

※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20191229213542j:plain