鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

運をつける

企業法務・税務訴訟の第一人者として

知られる弁護士の鳥飼重和さんが、

ポッドキャストで運についてお話し

されておられました。


(ご参考→ https://goo.gl/q6jRtc


鳥飼さんは、ホテルのトイレに入ると、

洗面台のまわりを掃除する習慣がある

そうです。


そして、鳥飼さんが運がいいと感じる

ときがあると、トイレで掃除をして

いるからだと考えるそうです。


とはいえ、鳥飼さんに限らず、成功者

と言われる人は、少しずつよいことを

していると言われています。


それは、易経に「積善の家に余慶あり」

(善行を積んでいる人の家には、慶事が

起きるようになる)という言葉がある

ことから、それを実践している人が多い

ということもあるでしょう。


だからと言って、ここでまだまだ途上に

ある私のようなものが、みなさんもよい

ことをすると成功します、などという

ことを述べられる資格はないし、その

つもりもありません。


ただし、いわゆる成功者といわれる人は、

よいことをする習慣があるという点で、

共通している理由についてずっと考えて

きました。


これは、私がそう考えるというだけで

あり、正解とは限りませんが、直接自分を

利する行為でなくても抵抗なく実践できる

ようになるということではないかと考えて

います。


人はどうしても自分を優先して行動して

しまいがちです。


そのことに問題はないのですが、

リーダーとしての資質があるかどうかと

いうときは、自分の所属する部署、会社、

社会といった高い見地に立って考えて

行動できるかどうかが問われるでしょう。


よく、頼られる人は、自分の得にならない

ことを進んで引き受ける人だと私は考えて

いますが、よいことをする習慣がある人は

自ずと他人から頼られる存在になっている

のだと私は考えています。


そして、そういう人には、それなりの

報い来るということは必然なのでしょう。


私も鳥飼さんに少しでも近づけるよう、

鳥飼さんをお手本にして過ごしていきたい

と思います。

 

 

 

 

 

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衛生要因・動機付け要因

米国の臨床心理学者のフレデリック

ハーズバーグが提唱した、衛生要因・

動機付け要因は、ビジネスに携わる

方々の多くに知られています。


簡単にその内容を述べると、人は、

仕事に関して、不満足を感じる原因と

なる衛生要因と、満足を感じる原因と

なる動機付け要因があるということです。


衛生要因の具体的なものは、会社の

方針や職場の環境で、これらが不十分な

ときに、不満足を感じます。


動機付け要因の具体的なものは、仕事の

内容、達成感、承認などで、これらが

十分であれば満足を感じます。


ここでポイントとなるのは、不満足を

感じる要因を取り除くことで、不満足は

感じなくなるものの、それだけでは

満足はしないということです。


これは逆のことを言うこともでき、

満足を感じる要因が不十分でも、不満を

感じることにはならないというものです。


例えば、職場の人間関係をよくすることで

従業員の方は不満を感じなくなりますが、

それだけでは満足を感じることにはなら

ないということです。


逆に、会社で達成感を味わうことがなく

なった場合、満足感を感じなくなって

しまいますが、それだけでは不満を感じる

ことにもならないということです。


したがって、不満を感じる要因を取り除く

ことと、満足を感じる要因を増やすことが

大切ということを示唆するものが、ハーズ

バーグの理論です。


ところで、この衛生要因・動機付け要因は

会社の従業員に対する研究ですが、これは

顧客にもあてはまるのではないかと私は

考えています。


例えば、飲食店を営んでいる会社が、

売上を増やそうとして、美味しい料理を

提供することに努力しているとします。


しかし、それだけでは顧客が増えない

可能性があります。


店が清潔である、従業員の接客時の印象が

よい、料理をオーダーしてから給仕される

までの時間が短い、などの要因がなければ

仮に料理がおいしくでも、また利用しよう

という気持ちにならないかもしれません。


得てして、事業に関するスキルの高い人は

製品のよさで勝負しようとすることがあり

ますが、顧客が購買しようとする判断も、

満足する要因だけではなく、不満の要因が

ないということでなければ、購入につな

がらないと私は考えています。


これも、私が述べるまでもないことの

ように思われる当たりまえのことなの

ですが、自社の製品や商品の売上が伸び

ないとき、何がネックとなっているのか、

満足を感じる要因と、不満を感じる要因に

分けて考えてみると、現状を打開できる

ヒントが見つかるかもしれません。

 

 

 

 

 

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月次決算の薦め

私は、事業改善をお手伝いしている会社の

方に、月次決算をお薦めしています。


これは、自社の状況をタイムリーに把握

することで、仮に自社が赤字になっていた

場合に、それを直ちに改善して、赤字額が

大きくなったりすることを防ぐことが

最大の目的です。


ところが、これもこれまでに何度も述べて

きましたが、この月次決算を行う会社は

本当に少数です。


さらに、月次決算を行っていても、2~

3か月経たないとできあがらない会社や、

作成されても事業改善のために活用して

いない会社が多くあります。


私が、月次決算を行いましょうという

意図は、スピーディに事業改善をすると

いうところまで含まれているので、月次

決算を事業改善のために活用している

会社は、本当に少数だと思います。


そのような会社の経営者は、得てして、

決算日が過ぎて1か月程度が経過した

ところで、税金の申告のための手続きを

している税理士の方から、実は会社の

状況は赤字になったということを知ら

されるということになりがちです。


せっかく、日々、事業に熱心に取り組んで

いるのに、その結果が赤字ということに

なっては、日頃の努力が報われないことに

なってしまいます。


したがって、早い段階で事業改善に取り

組むべきだということは多くの方が当然と

感じることだと思います。


しかしながら、それを実践できていない

大きな理由は、月次決算を行う負担が

大きいということと、事業の改善のために

月次試算表をどのように活用すればよい

のかということが分からない方が多い

のだと思います。


月次決算の負担については、最近は、

クラウド会計が普及してきているので、

かつてよりはだいぶ負担は軽減して

いると思います。


ただ、そうはいっても、データを収集

する

体制を整えることは、創業して間もない

会社や、規模の小さな会社では、負担と

感じているようです。


これについては、詳細な説明は割愛

しますが、グループウェアなどを活用

すれば、おおよその月次決算を行う

ことができます。


具体的には、各部署で、販売した金額や

仕入れた材料費などエクセルで集計し、

経理部でも固定費をおおよその見積もりを

集計すれば、翌月の2~3日には前月の

収支状況を把握できます。


そして、それらのデータの活用法に

ついても、あまり時間をかけずに習得

することができます。


私の場合、まず、会社の売上高などに

ついて中期計画を建て、つぎに、そこ

から、今年度の月次計画を建てます。


そして、単月の計画と実績の乖離や、

会計年度初月からの累計の計画と実績の

乖離を確認し、その乖離の要因を分析

して、対応策を考案するという方法を

顧問先に提案しています。


この説明でわかるとおり、複雑なこと

ではありませんが、毎月続けるという

ことと、対策を考えるということを

積み重ねるだけでも、成り行きで事業を

続けている場合と比較して、業績の差は

大きく広がります。


今回の結論は、月次決算は、簡単なこと

なので、実践すれば少なくとも赤字に

陥ることを防いだり、または、赤字額を

縮小したりすることができるということ

です。


ただし、このことを薦めているコンサル

タントや専門家の方は少ないようです。


コンサルタントというと、どうしても、

派手な手法を教える人というイメージが

強いのでしょう。


地味な活動ですが、月次決算の活用に

より、基盤を固めておかなければ、派手な

戦術も実践できなくなります。

 

 

 

 

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従業員目線

人気ブロガーの日野瑛太郎さんのご著書、

「あ、『やりがい』とかいらないんで、

とりあえず残業代ください」

( http://amzn.to/2gLAa51 )を読み

ました。


本の内容はとても面白いのですが、その

中でも「従業員目線を常にもちましょう」

と日野さんが薦めていた点に注目しました。


具体的には、日本の会社では、従業員に

対して「経営者目線を持て」とよく

言われるが、そもそも経営者としての

権限や報酬は従業員には与えられて

いないので、経営者の目線で従業員が

行動しても、その成果は経営者のものに

しかならない。


従業員は、従業員に与えられている権限や

報酬の範囲内で行動するべきだ。


よく「きっちり残業代を払ったら、会社が

潰れてしまう」などと従業員が会社を慮る

ことがあるが、法令や契約に従って会社は

サービス残業に対してきちんと残業代を

支払うべきで、それで会社が潰れるのなら

しかたない、というものです。


ただし、日野さんは、従業員がこのような

主張をできるようにする前提として、雇用

市場を意識して、エンプロイアビリティ

(従業員の雇用市場における価値・能力)

を備えておかなければならないとも説明

しています。


ところで、これだけを読むと、違和感を

感じる経営者の方もいるのではないかと

思います。


というのは、日本では、従業員と会社の

関係は強く、日野さんのご主張は、いわ

ゆる日本的雇用システムとは相いれない

からでしょう。


ただし、日野さんは、日本的雇用シス

テムは、会社が従業員を定年まで雇用

するという前提で成立するもので、

現在は、会社が従業員を定年まで雇用

することを前提としない例が多くなって

いるにも関わらず、会社に忠誠を尽くせ

という要求だけが残っていることが問題で

あると指摘しています。


話しを戻して、前述の日野さんの指摘は、

私は妥当と考えています。


妥当というのは、従業員は従業員目線で

働きさえすればいいということではあり

ません。


組織の構成員は、組織から得られる誘因の

大きさに従って組織に対して貢献をする

ということを指摘していることです。


例えば、サービス残業は、報酬(誘因)を

与えていないにも関わらず労働(貢献)を

させていることになります。


ここで、「それは建前だ」と感じる経営

者の方も少なくないと思います。


もちろん、サービス残業に応じている

従業員の方は、長い目で判断して、

サービス残業に応じることもあるかも

しれません。


しかし、それが積み重なり、そして、

あたりまえのこととなってしまい、本当に

サービス残業に応じても何の得もないと

感じるようになれば、従業員の方は会社に

対して不信感を募らせるばかりでしょう。


そして、それが限界に至った時に、退職

してしまうということにつながります。


もちろん、経営者の方の視点では、

「この従業員は、給料に相応した働きを

しておらず、困ったものだ」と感じる例も

あるでしょう。


その考え方も正しいと思います。


今回の結論は、誘因と貢献のバランスが

崩れると、組織は維持できなくなるという

ことです。


少し抽象的ですが、経営者の役割は、

誘因と貢献のバランスを取ることが

大切だということです。

 

 

 

 

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代表取締役就任は手続きだけでできる

先日、経済評論家でソフィアバンク代表の

藤沢久美さんが制作している、ポッド

キャスト番組を聴きました。


そこで、レストランガイドVegewelを運営

している、フレンバシーの播太樹さんの

お話しを聴きました。


(ご参考→ https://goo.gl/GBsrKF


そのお話しの中で、「行政書士の方に

会社設立の手続きを依頼すれば、自分は

代表取締役に就任することができる。


しかし、代表取締役に就任後も、経営者

としては、ベンチャーキャピタル

方や、エンジェル投資家の方から学ぶ

ことが多かった」という主旨をお話し

しておられました。


このように記載すると、「経営者になる

には、手続きだけではだめで、前もって

きちんと勉強をすべきだ」と私が述べて

いるように感じられると思いますが、

半分はその通りです。


「経営者はそれなりの能力が必要だ」

と考える方は多いと思いますが、その

一方で、会社を起こす方の中には、

会社のトップの地位である代表取締役

就くことだけを目的としてしまっている

人は、意外と多いようです。


その原因は、これから会社を起こして

事業を始めようとするとき、そもそも

その事業は成功するという前提として

いる方が圧倒的に多く、そのような方は

会社を設立して事業を始めればよいと

だけ考えているからだと思います。


ですから、会社を起こすにあたっては

どういう事業をするのかということ

ばかりが頭に入っていて、経営者として

必要なことを学ばなければならないと

いうことはあまり関心がないようです。


しかしながら、実際に会社を起こしてから

「組織運営」という課題に直面し、当初

考えていた通りの事業運営ができないで

いるということが起きてしまうのでは

ないかと私は考えています。


これは、私がこれまで何度も述べてきて

いることですが、これからの会社の競争

力の優劣が決まる要因の比重は、事業の

優劣からマネジメントの優劣に移りつつ

あるので、会社を起こして事業を始めるに

あたっては、きちんと経営者としての

スキルを身に付けることが求められて

いるということです。


しかし、経営者のスキルは、会社を起こす

前にすべて身に付けられるのかというと、

決してそうとは限りません。


経営というものは、実践的なものでもある

ことから、経営者というポジションに

就いてから学ぶことも多いでしょう。


特に、感性や振る舞いといったものも、

経営者にとっては重要であり、それは、

知識として学べるものではなく、実際に

経営者のポジションについてでなければ

身に付けられるものではありません。


だから、マネジメントスキルが大切だと

いっても、会社を起こす前に勉強だけして

いればよいということでもありません。


そういった意味では、なるべく早く経営

者のポジションに就くことも大切という

ことになります。


結論としては、代表取締役に就任すると

いう手続きだけでは経営者の役割は務め

られないので、就任前はもちろん、就任

後も、経営者としてのスキルを磨くための

努力は欠かせないということです。


むしろ、経営者は学び時続けなければなら

ないポジションなのであり、だからこそ、

多くの方に尊敬される人でもあるのだと

思います。

 

 

 

 

 

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子育て1番、仕事が2番

経営コンサルタントの小山昇さんが、

小山さんのポッドキャスト番組で、パート

タイマーの職員の方の勤務に関する方針に

について、「子育て1番、仕事が2番」と

お話しされておられました。


(ご参考→ https://goo.gl/7SLvxR


具体的に述べると、小山さんの会社では、

意欲のある主婦の方に働いてもらいたいと

考えているため、育児中の方も積極的に

雇用しており、それにあたって、もし、

お子さんが病気になったときは、当日、

電話で連絡すれば、会社を休んでよい

ことにしているそうです。


こうすることで、働きたいのに、育児中

ということで勤務することを躊躇している

主婦の方がたくさん勤めてくれるように

なるということです。


とはいえ、これは口でいうほど易しい

ことではないでしょう。


例えば、3時間勤務の人を20人雇った

場合と、6時間勤務の人を10人雇った

場合は、延べ勤務時間は同じですが、

管理する側とすれば、管理の煩雑さを

避けるために、長時間勤務の人を増やし

たいと考えるでしょう。


また、当日になって、欠勤者の対応を

するということも難しいでしょう。


しかしながら、これらの課題は、良し

悪しは別として、時代の要請に対応する

ものと考えるべきだということがこの

記事の結論です。


要は、「何を売るか」というよりも

「どう売るか」が競争力を高める時代に

なっている中にあっては、いかに優秀な

人材を集められるかが、会社の事業の

成否の重要な要因になっています。


ですから、自ずと、「この会社で働き

たい」と思われる職場づくりが事業の

競争力を高めることになります。


小山さんの会社以外にも、最近は、給与の

額よりも、残業がない、休暇をとりやすい

などといった、勤めていても育児に理解が

ある会社に優秀な人材が集まるときいて

います。


このような、会社が競争力と高めるために

人材獲得に注力することについては、

ボトルネック(制約条件)を広げるという

観点から適切な対応であると思います。


事業の競争力を高めるには、事業そのもの

よりも、どうやってそれを遂行するかと

いう戦略を立案し遂行する能力が鍵と

なっていると私は考えています。

 

 

 

 

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陰徳

「陰徳」は進んで実践すべきことと

多くの方が考えておられると思いますが、

実際にはなかなか実践が難しいようです。


その理由は、私自身も含まれますが、

人はよいことをすると、ついつい見返りを

求めてしまうからです。


例えば、ボランティアをしたり、寄付を

したりすると、それを他人に自慢したく

なったり、また、他人から褒められたく

なったりします。


もし、ボランティアや寄付をしても、

そのことを自慢したり褒めてもらったり

すると、結局、他人を助けることが

最終的な目的ではなく、自慢することや

自分を褒めてもらうことが最終的な

目的となってしまい、徳業を積んだ

ことにはならなくなってしまいます。


もう少し陰徳について説明すると、

これは「情けは人のためならず」という

ことわざで表されているとおり、自分

ひとりだけのことを考えず、世の中の

ためになることをすると、それは、

いずれ自分のためにもなることであり、

目先のことにとらわれず行動しようと

いう考え方が根底にあるのだと思います。


ここまで陰徳について述べてきましたが、

経営コンサルタントの立場であるにも

かかわらず、経営者の方に対して道徳的な

ことを実践しましょうということを述べる

つもりはありません。


経営者の方は、高いポジションにありな

がら、普段、思い通りにならないことに

直面しても、かえって身を引かなければ

ならないことが多々あると思います。


顧客、仕入先、従業員などからさまざまな

要望が届くと、「みななんて好き勝手な

ことばかり言うのだろう」と感じることが

多いと思います。


中には、「会社経営者になんてなるもの

ではない」と感じている人もいるのでは

ないかと思います。


そのようなとき、陰徳の考え方がその

気持ちをやわらげてくれるのではないかと

思い、今回の記事に書きました。


会社組織や、会社の事業と関わりを持つ

ステークホルダーとの関係を良好に保つ

役割は、経営者にとって重く課せられる

ものですが、板挟みに遭うような気持に

なったときは、「ここで、自分よりも

他者を優先して行動することは、結果と

して自分のためにもなる」と考える

ことで、自分を奮い立たせることになると

思うし、また、もし、それを実践して

業績があがらなければ、私はおかしいと

信じています。

 

 

 

 

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