鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

コンサルティングの上手な依頼法

私ごとで恐縮ですが、最近は、創業補助金

などの補助金の申請のご相談を多く受ける

ようになりました。


この補助金のご相談のニーズは、大きく

わけて3つあります。


(1)補助対象事業が採択されるような

説得力の高い事業計画を作成するための

ご支援


(2)補助金の応募のための申請書を作成

するためのご支援


(3)補助金が採択された後、補助金

交付申請のためのご支援


これらのうち、(1)が補助対象事業が

採択されるかどうかの肝となる部分で、

最も重要な部分であり、かつ、コンサル

タントとして能力を問われる分野です。


(2)や(3)も、事務が煩雑という面で

ニーズは根強いものがあります。


中には、(1)のような事業計画の策定の

支援の経験がないものの、(2)の申請

手続きについてのみ教えることを中心に

支援する方もいます。


このような方ですと、申請の手続きに

ついては詳しいものの、採択されるか

どうかということについては、あまり

助言することができず、せっかく応募

しても、徒労に終わってしまう可能性が

高くなります。


ですから、「助成金の申請を支援する

コンサルタント」と名乗っている人の

中でも、経歴などから、本当に大切な

部分をきちんと支援してもらえるのか

ということは、依頼する側で判断しな

ければなりません。


この例と似た事例として、よく、税理士の

方に対して不満を持つ会社経営者の方を

見かけます。


すなわち、補助員の方が1か月に1度しか

訪問しないとか、会計的な観点からの

助言をあまりもらえないというものです。


しかし、そのような税理士事務所との

契約は、顧問料が月額3万円程度か、

それ以下という場合が多いようです。


これは、税理士の方の能力がどうかと

いうよりも、顧問料に見合ったサービスか

どうかということでしょう。


3万円程度の顧問料であれば、税理士

事務所から見れば、最低限のことだけしか

できないでしょう。


もし、「追加の顧問料を支払うので、

こういうサービスをして欲しい」と

依頼して、それでも改善されなかったら、

その税理士の方は能力がないということに

なるでしょう。


特に、目に見えないサービスを受ける

ときは、価格だけで判断してしまうと、

安物買いの銭失いになってしまうことに

なる可能性が高くなります。


最も避けなければならないことは、

「なるべく安くやってほしい」とか、

「これだけの金額を支払うから、あとは

任せたい」というような安易な依頼をする

ことです。


本来の目的は、専門的な仕事をしっかり

やってもらうということなので、安易に

パートナーを選ぶことは、単に顧問料を

無駄にするだけでなく、自社の事業の

安定的な継続を揺るがすことになります。


コンサルタントは、クライアントから

選ばれたあとは、クライアントを全力で

支援できますが、選ばれるまでは何も

ご支援できません。


コンサルタントとしては、経営者の方が

専門家を見分ける目を持つことも大切な

要素になると考えています。

 

 

f:id:rokkakuakio:20170512135531j:plain

 

 

値下げの要請は課題の先送り

いま、大手運送会社の荷物の取扱量が増え

すぎて、値上げをせざるを得ないことに

なったという報道が、毎日、行われて

います。


これについては、私は、運送会社にも

問題があると思っているのですが、

利用する側も、運賃を安くして欲しい

という要請を強く行ったことも問題が

あることは間違いありません。


これと似た現象として、昨年は、バターが

品薄となり、酪農家に負担がかかり過ぎて

いたことが問題となりました。


この改善策は、明確、かつ、誰でも理解

できるものですが、供給者に適正な利益を

得られるようにすることが、利用者に

とっても利点があるということです。


しかし、利用者側の立場が強いと、目先の

価格だけが問題とされ、後になって、

前述のような問題が起きてしまうという

ことです。


これについては、伊那食品工業会長の塚越

寛さんが、ご著書「リストラなしの年輪

経営」( http://amzn.to/2piwE5n )の

中で、次のように述べていたことを思い

出します。


すなわち、同社は仕入先も大切なパート

ナーであり、代金の支払も、送金手数料を

差し引いて送らず、手数料は伊那食品

工業がすべて負担している。


このような接し方をしていると、仕入先も

自社のために懸命に協力してくれるように

なり、自社も仕入先もともに繁盛する

ようになる、という主旨です。


とはいえ、この塚越さんの会社の事例は、

塚越さんのような実績のある方が述べる

ことから重みがあるわけですので、

ここで、読者の方に、塚越さんの会社を

見習いましょうなどと、私が述べることは

控えなければならないと思っています。


ただ、私が、中小企業の方の事業改善の

お手伝いをする中で、気づいたことを

これから述べたいと思います。


すなわち、自社の事業の業績がああり

かんばしくない会社は、伊那食品さんとは

逆のことをしているということです。


簡単な例をあげると、自社の利益を確保

することを目的に、材料や商品を仕入れ

いる仕入先に対して、ずっと値下げを要求

し続けていると、その仕入先からは、

粗悪品を購入させられることになり、

自社の販売する製品や商品に対する顧客

からの評価がさらに下がり、ますます

業績が悪くなってしまうというものです。


とはいえ、自社が利益を確保するため

には、やれることからやるしかないと

いう場合も多いでしょう。


ただ、他社に値下げを要求するだけでは

根本的な解決にはなりません。


早い段階で、抜本的な対策を打つことが

必要になるでしょう。


では、抜本的な対策とは何か、どのように

すればそれを実施できるのかという課題が

残りますが、それはまた別の機会に述べる

として、値下げの要請をするだけでは、

単に、自社が解決しなければならない

課題を先送りにしているに過ぎないという

ことです。


会社経営者に就く→他の人にはなかなか

できない難しい課題を解決しなければ

ならない立場に就くということですから、

業績の改善は、まず、真正面から課題に

取り組まなければならないということに

気付くことが必要だと思います。


そして、結論は、非論理的で恐縮ですが、

抜本的に課題を解決しようと決意した

瞬間に、意外と多くの解決策があると

いうことに気づくものだと私は考えて

います。

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20170510154318j:plain

経営戦略の対象と目的

会社にとって経営戦略は大切だという

ことは、多くの方が考えていることだと

思います。


しかし、経営戦略にはどういうものが

あり、どういう経営戦略を自社が採る

べきかというところまで検討している

中小企業はあまり多くないと、私は

感じています。


そこで、今回は、経営戦略の種類に

ついて述べたいと思います。


まず、土台となる戦略はとして、全社

戦略というものがあります。


全社戦略とは、会社全体を対象にする

戦略のことで、その目的は、会社を

成長させるための戦略です。


したがって、全社戦略は、成長戦略とも

いうことができます。


全社戦略の具体的なものは、アンゾフの

提唱した成長ベクトルや、ボストン・

コンサルティング・グループの提唱した

プロダクト・ポートフォーリオ・マネジ

メントが著名です。


つぎに、柱となる戦略として、事業戦略が

あげられます。


事業戦略は、事業を対象にする戦略のこと

ですが、その目的は、他社の事業との

競争に勝つための戦略であり、競争戦略と

いうこともできます。


なお、事業がひとつしかない会社は、全社

戦略は採らずに、事業戦略だけを採っても

よいでしょう。


事業戦略の具体的なものは、ポーターの

提唱した3つの基本戦略や、コトラー

提唱した地位別競争戦略が著名です。


そして、会社の屋根となる戦略として、

機能別戦略があげられます。


機能別戦略は、会社の機能ごとに採る

戦略で、販売機能に対する販売戦略、

生産に対する生産戦略、財務機能に対する

財務戦略、労務機能に対する人材戦略

などがあります。


特に、販売戦略の中には、マーケティング

戦略が大きな比重を占めており、マーケ

ティング戦略では、マッカーシーの提唱

した、マーケティングミクスが著名です。


ここまで、経営戦略の対象と目的を説明

してきましたが、どれが重要でどれが

重要でないということはありません。


事業を安定的に発展させていくためには、

適切な経営戦略を採らなければなりま

せん。


例えば、全社戦略で多角化戦略を打ち

出しても、製品開発戦略で新しい製品を

開発できる体制を整えたり、人材戦略で

人材を育成するための戦略を採らな

ければ、多角化戦略は遂行できません。


希に、「1年で売上を2倍にする戦略」

などといった提案をしているコンサル

タントがいますが、そのようなことを

実現するには、販売戦略だけでなく、

人材戦略、財務戦略なども整えなければ

実現できないでしょう。


大切なことは、経営戦略はつまみぐいは

できないということです。


そして、もうひとつ大切なことは、経営

戦略を打ち出すための、さらに敷地とも

言える経営理念が必要ということです。


経営理念がなければ、それを目指すための

経営戦略も打ち出せません。


さらに、経営戦略を遂行するには、それを

より具体化した戦術も明確にする必要が

あります。


結論は、経営戦略は適切な組み合わせが

必要であるということと、経営戦略に

よってどういう状態に会社を導くのかを

明確にする経営理念、そして、経営戦略を

遂行するための具体策の戦術までを

明確にしていなければ、どのような優れた

戦略をとっても、掛け声倒れになって

しまうことでしょう。

 

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20170511083323j:plain

見えないものを見せる

きょうの記事の内容は、すでに多くの方が

実践してていることと思います。


先日、黄色い帽子の自動車専門店で、

タイヤ交換を依頼してきました。


単なるタイヤ交換なら、タイヤを交換

すれば、それで依頼された仕事は終わり

なのですが、そのお店では、作業が

終わった後、私を自動車のところまで

案内し、目の前ですべてのタイヤの

ナットをしめ直しているところを見せ、

確実にタイヤが取り付けられたという

ことを納得できるようにしていました。


また、先日、コストを訪れたのですが、

そこでは、同店では、店舗内の顧客が

見えるところに、「今月の優秀従業員」

という掲示があり、そこには、対象と

なった従業員の方の顔写真、名前、

表彰された根拠が記載されていました。


こうすることで、同店では、従業員の方の

士気向上に努めるとともに、顧客に

対しても、サービスの改善に努めている

ところをアピールしていると思われます。


別の例では、先日プレイしたゴルフ場では

顧客からの改善のリクエストに応じて改善

した内容について掲示がありました。


例えば、コースの中のトイレに転落防止の

ための柵を取り付けた、帰りの道路の

渋滞情報を表示するようにした、という

ようなものです。


このような取り組みをしているという

ことが利用者に伝わるだけでも、その

ゴルフ場の評価は変わるでしょう。


他者のことばかり批評している私も、

自ら努めていることは、お客さまからの

問い合わせには、直ちに回答をすること

です。


なるべく1時間以内には何らかの連絡を

するようにしています。


即答できない場合は、きちんとした回答を

できる見込みの日時だけはお伝えして

います。


また、メールマガジンやブログを毎日配信

していることも、行動力があることを

客観的に示すことが目的のひとつです。


口では「すぐに実行します」、「必ず成功

させてみせます」とは言うことはいくら

でもできますが、それを信用してもらう

ためには、何らかの客観的な証拠が必要

だと思っています。


そして、もうひとつ大切だと思っている

ことは、このような心がけは、一朝一夕

では実を結ばないことです。


残念ながら、多くの経営者の方は、実施

してみて、1か月後、2か月後に効果が

見込めるものでなければ実施はしないと

判断していると思います。


すぐに効果が現れる戦術は、経営者の方

からみて望ましいのですが、競争が激しい

時代にあっては、即効力のある戦術は

ほとんどありません。


ですから、一日でも早く、地味な努力を

始めるしかないと私は考えています。


よく、「即効力のある戦術を提案できない

コンサルタントは、能力がない」と批判

されますが、一朝一夕で事業が改善できる

ほど事業運営は単純ではないでしょう。

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20170508232454j:plain

コアコンピタンスとUSP

最近、会社の強みを指して、コアコンピ

タンス、または、USPという言葉が

使われているのですが、私としては

おかしい使われ方だと思うので、今回は

両者について解説したいと思います。


まず、コアコンピタンスとは、米国の

経営学者のハメルと、インド生まれの

経営学者のプラハラードが提唱した

考え方で、中核能力と訳されます。


コアコンピタンスの指す強みは、単に

「技術力が高い」とか「スキルが高い」

というものではなく、もっと本源的な

「顧客に特定の利益をもたらす一連の

スキルや技術」と定義されています。


そして、両氏は、ソニーを例に挙げ、

同社のコアコンピタンスは「小型化」で、

顧客の利益とは「携帯性」であると指摘

しています。


こして、このようなコアコンピ

タンスの要件として、つぎの3つを

あげています。


(1)顧客から認知される価値を

持っている


(2)競合他社との違いがある


(3)新製品や新サービスを産み出す

ことができる


定義は抽象的な面もありますが、単に、

「自社の強み=コアコンピタンス」では

ないということは明確です。


会社によっては、コアコンピタンス

持っていないこともありますので、

「あなたの会社のコアコンピタンス

どのようなものですか」という質問は

不適切で、「あなたの会社にコア

コンピタンスはありますか。ある

場合は、どのようなものですか」と

いう質問にすべきでしょう。


つぎに、USPですが、これは

Unique Selling Propositionの略語で、

独自の売りの提案と訳されます。


これは、自社製品を分かりやすく顧客に

伝えるための手段として、利用される

ようになったものです。


その例として著名なものは、ドミノピザの

「30分以内に届かなければ無料」という

触れ込みで、食品の本来の品質である味・

量・価格という要素とは無関係な点に

焦点をあててマーケティング活動を行い、

成功を収めました。


このUSPを使ったマーケティング活動は

小さな会社に適しているといえます。


なぜなら、一つの特徴で顧客を引き付ける

ことが可能だからです。


例えば、「鍵の紛失や閉じ込みに24時間

365日出張して対応」というサービスを

している会社があります。


「鍵の販売」という面では大手と真正面

から対抗することになりますが、「24

時間365日出張して対応」という緊急性

への需要については、小回りのきく小さな

会社の得意とするところでしょう。


このようなUSPを打ち出せれば、小さな

会社が活躍できる機会が大きく広がる

でしょう。


話しを戻して、コアコンピタンスは中核

能力であり、USPは独自の売りの提案

ということで、両者は性質の異なるもの

です。


そして、コアコンピタンスは、会社の

強みの一種であり、会社の強みと言い

間違えられやすいとは思いますが、

USPは提案なので、それは直接に

会社の強みを指すものではないでしょう。


ただ、USPは、会社の強みがあることが

前提になっていると誤認し、そのことから

USPは強みを指すものと誤用される

ようになったのかもしれません。


とはいえ、私は、ここで「言葉を正しく

使いましょう」ということを伝えたいと

考えているわけではありません。


言葉は、しばしば、当初の意味と別の

意味で使われることがあります。


例えば、ゴーイングコンサーンは、

本来の意味とは別の意味で使われる

ことがあります。


ゴーイングコンサーンは、単に、会社の

事業が半永久的に継続する前提という

意味でした。


例えば、会社が機械を購入した時、その

購入代金のすべてを、購入したときの

会計年度の費用とせずに、耐用年数に

わたって費用化する減価償却は、会社の

事業が半永久的に継続するという前提が

あるからで、ゴーイングコンサーンとは

単に、その前提のことに過ぎません。


しかし、現在では、「事業を継続させな

ければならないという会社が担うべき

使命・責任」や、「事業を継続している

会社」ということを指すようにもなって

きています。


ですから、徐々に、コアコンピタンス

USPは、会社の強みを指す言葉として

定着していくかもしれません。


ただ、私の疑問は、なぜ、会社の強みを

コアコンピタンスやUSPと言い換える

必要があるのかということです。


恐らく、「わが社の強みは…」という

よりも「わが社のコアコンピタンスは…」

ということの方が聞こえがよいからでは

ないでしょうか。


これも、当初は厳密なコアコンピタンス

持っていない会社が、その後、製品開発に

注力して、本当のコアコンピタンス

手に入れるとすれば問題はないでしょう。


ただし、わざわざ言い換える必要のない

単なる強みを、あえて言葉だけはコア

コンピタンスと言い換えておきながら、

表面的なことだけにこだわるものの、

中身がともなわないような状況を続けて

しまうとすれば、これは避けなければ

ならないでしょう。

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20170507191650j:plain

長嶋選手のバット

靴下の製造・販売をしているタビオ株式

会社( http://www.tabio.com/jp/ )の

越智直正会長が、かつて、つぎのような

ことをお話しされておられました。


すなわち、「長嶋選手(現、読売巨人軍

終身名誉監督)のバットを買ってきても、

ホームランを打つことはできない」と

いうものです。


これは多くの方が理解できると思います。


長嶋さんがホームランをたくさん打つ

ことができたのは、バットが優れていた

わけではなく、長島さんの打撃の技術が

優れていたからです。


しかし、越智さんは、会社経営者の方の

中には、道具を揃えることで、事業が

改善すると考えている方が多いという

ことを、前述のような例えで指摘して

おられました。


私も、これには覚えがあります。


私が会社員時代に、恐らく、前の日の

夜に「カンブリア宮殿」などの番組を

見てきたと思われる上司が、番組で

紹介された会社の真似をしようとして、

「きょうから、こういう方法で仕事を

する」と意気込むことがありました。


でも、そう宣言した上司自身が、その

ことを1週間もしないうちに忘れて

しまいます。


そもそも、組織は、一朝一夕では変わる

ことはありません。


まず、戦略を打ち出し、それを実現する

ための人材育成をしながら、当初の目的を

達成するという手順を踏まなければ、

ほとんどの場合、一字の打ち上げ花火で

終わってしまうでしょう。


まさに、長島選手のバットを買うという

ことです。


得てして、経営者は理想を掲げることを

好みます。


このことは大切なのですが、実現しない

手順で実施しても、それは無意味です。


より、高度な戦略を実践しようとする

のであれば、まず、組織の能力を高めな

ければなりません。


組織の能力の高さのことを、私は、

習熟度と呼んでいますが、私のコンサル

ティングは、顧問先の習熟度を高める

ことです。


そして、組織の習熟度を高める役割が

経営者の最優先の仕事だと考えています。


話がそれますが、よく、私の行っている

コンサルティングはよくわからないと

言われますが、私は、顧問先の習熟度を

高めるお手伝いをしています。


そして、組織の習熟度を高める役割が

経営者の役割であり、だから、私の

コンサルティングは、経営のコンサル

ティング、すなわち、経営コンサル

ティングだと考えています。


しかし、巷間では、「経営」とは何かと

いうことが、とても漠然としているため、

私は、多くの方に「経営とは何か」と

いうことを明確に理解していただきたいと

考え、ブログ、メールマガジン、ポッド

キャスト、出版などで、それを解説して

います。


話しをもどして、今回の記事の結論は、

より水準の高い経営を目指すには、

手法やツールと同時に、経営の習熟度を

高めることが大切だということです。


くれぐれも、書店で過激な書名の本の

内容を翌日から実践しようとしたり、

テレビで放送されていた会社の真似を

翌日から行おうとすることは、ご注意

ください。

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20170506220511j:plain

土俵の真ん中で相撲をとる

「土俵の真ん中で相撲をとる」というのは

稲盛和夫さんの言葉です。


かつて、稲盛さんの知人の経営者が、

手形の決済があるのに、そのための資金が

なかなか集まらず、苦労の末に資金を

かき集めて手形を落としたということを

自慢話にしているのを聞いたそうです。


しかし、稲盛さんは、手形を決済する

ことはあたりまえのことであり、それを

決済したことは何の自慢にもならないと

感じたそうです。


そして、どうせ同じ苦労をするなら、

ぎりぎりの段階になって苦労するのでは

なく、余裕のあるうちからぎりぎりに

なったときと同じように懸命に取り組む

べきだと考えているそうです。


これを、相撲に例えて、土俵際に追い

込まれてから力を出すのではなく、

土俵の真ん中にいる時から全力を出す

べきだとお話しされていました。


これは、私自身にも心当たりがあり、

原稿などは締め切りが近づかないと

なかなか着手できないことがあり、

いつも反省を繰り返しています。


また、中小企業経営者の方についても

土俵際にならないと、なかなか動き

出してもらえないと感じることがよく

ありました。


私が銀行で働いていたとき、取引先の

中で、資金繰りの忙しい会社には、

前もって資料提出などをお願いする

ようにしていました。


それは、月末ぎりぎりになって融資

稟議書を申請すると、じっくりと

稟議書を見てもらうことができず、

承認されなくなる危険が高くなる

からです。


例えば、融資を受ける金額が不確定

であっても、多めの金額で、日数に

余裕を持って申し込んでもらうことの

方が、お互いに楽になることは間違い

ないことは明らかです。


それでも、なかなか、前倒しの対応を

とってもらえない理由は、気持ちの

問題だと思います。


確かに、きょうやあすにやらなければ

ならない仕事があることは理解できる

のですが、いつまでも仕事に追いかけ

られる状態を続けていれば、受動的に

仕事をすることになり、よい結果には

なかなかたどりつけないと思います。


何かのきっかけで、仕事に追いかけ

られる状態から、仕事を追いかける

状態に切り換える、すなわち、土俵の

真ん中で相撲をとる状態にならな

ければ、能動的な事業展開をできる

ようにはならないでしょう。


とはいえ、これは言うは易く行うは

難しであることも事実でしょう。


だからこそ、強い意志を持つことの

大切さも稲盛さんは強く説いています。


そういう私もいつも土俵際で相撲を

とっている状態です。


一方、年に何冊も本をご出版されている、

経営コンサルタントの小山昇さんは、

常に、何冊分かの原稿を書きためている

そうです。


だからこそ、能動的に執筆活動ができる

のでしょう。


一朝一夕にはいきませんが、私も少しでも

土俵の真ん中に近づくようにしたいと思い

ます。

 

 

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20170505161155j:plain