鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

情報や人脈は組織にいるから得られる

[要旨]

フリーランスの立場と比較して、組織に属している人は、情報や人脈を得やすくなります。しかし、そのことに気づかないまま、組織を離れ、ずにフリーランスになってしまうと、見込違いになってしまいます。また、フリーランスの立場でありながら、特定の会社に依存してしまえば、結局、その会社の実質的な一員となってしまいます。


[本文]

今回も、前回に引き続き、瀧本さんのご著書、「君に友だちをいらない」を読んで私が気づいた点についてご紹介したいと思います。「組織を離れたがる人が見過ごしがちなのが、組織にいるときに、業務を通じて自然と入ってくる情報や、得られる人脈の価値だ。フリーランスになると、自分の身の回りの範囲のこと、今、手がけている仕事の情報しか入ってこないために、自分が働いている業界で、どんなものが求められていて、何が時代遅れとなりつつあるのか、『鼻』が利かなくなっていく。

この感覚の鈍化は、1年、2年では、はっきりとは分からないが、数年経つと、取り返しのつかない、ギャップとなることがある。また、『フリー』という肩書で働いていても、本当に『フリー=自由』であるかといえば、そうとは言えない人も少なくない。フリーの物書きの中には、読者の期待に振り回されて、どんどん、センセーショナルなことを書いていくうちに、自滅していったり、いつの間にか、会社の『謎の宣伝塔』になっていたりする人がいる。逆説的だが、『本業』を別に持っている書き手の方が、真に自由にものを書けるといことが珍しくないのだ。

ノマドフリーランスとして働きたいのであれば、自分が今いる会社を辞めて、それでも自分で本当に競争力があるサービスを提供できるか、それとも、会社にとって、『使い捨てできて、都合のよい期間工のような人』で終わるか、客観的に見極めることが肝要だろう」(78ページ)私も、瀧本さんのご指摘はその通りだと考えています。会社に勤務している人の中には、会社という組織に属しているから得られるメリットを、会社に属していることの恩恵と受けとめず、自分自身の能力によるものと勘違いしてしまう方もいます。

したがって、瀧本さんもご指摘しているように、情報や人脈は、組織に属しているから得られるのに、それを、個人で得られるもの思い込んで独立してしまうと、見込み違いが起きてしまいます。そして、そのような方は、立場はフリーランスなったのに、結局、仕事の受注を特定の会社に頼ってしまうようになり、実質的には、その会社の一員ということになってしまいます。だからといって、私は、会社に勤務している方は、独立をすべきではないとは考えていません。

きちんと、会社組織のメリットを理解し、独立した後も、そのようなメリットを得ることができるような会社づくりを目指すことが大切だと思います。また、直ちに独立しない場合であっても、会社に属していることのメリットを理解できれば、会社従業員として働くことのモチベーションが高まると思います。そして、そのことは、エンプロイアビリティを向上させることになり、独立することになった際も、大きなメリットになるでしょう。

2022/7/12 No.2036