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セブンイレブンが昨年から販売を開始したカレーパンは、味の良さでヒット商品になりましたが、そのような商品を開発するに至るまでは、20年前、社長だった鈴木敏文氏が、数千万円の損失を出す決断をしたという経緯があります。鈴木氏のように、経営者は、時として、目の前の利益を捨てて、長期的な視点で決断をすることが必要になります。
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プレジデントの元編集長の、小倉健一さんが、ダイヤモンドオンラインに、セブンイレブンでヒットしている「お店で揚げたカレーパン」について、寄稿しておられました。その記事によれば、20年ほど前、当時、セブンイレブンジャパンの社長だった鈴木敏文氏が、バイヤーに対し、「このカレーパン、おいしくもなんともないじゃないか!」と怒鳴ったそうです。さらに、そのカレーパンが売れていると聞き、「おいしくもなんともないパンがよく売れているだと?即刻、廃棄せい!」と廃棄を指示したそうです。
その結果、同社は、売れているカレーパンを売らないことで、数千万円の損失を出したそうです。そして、小倉さんは、このような鈴木氏の味へのこだわりが、昨年から販売を開始した、「お店で揚げたカレーパン」のヒットの原動力になったと説明しておられます。私は、小倉さんの分析はその通りだと思うのですが、鈴木氏のような判断を、実際に行うことができる経営者は、あまりいないと思います。
なぜなら、小倉さんも指摘していますが、顧客から支持されている商品を、自分が味に納得できないという理由で、数千万円の損失を出すことになるからです。でも、20年前は、コンビニエンスストアの利便性がある程度評価されていたため、便利なコンビニエンスストアで売られているというだけで、そこそこの味であっても、カレーパンは売れていたのかもしれません。
しかし、鈴木氏は、そのような妥協によって、「コンビニエンスストアは便利さがウリなので、カレーパンの味はそれなり」という印象を顧客に持たれてしまうことを避けたいと考えたのでしょう。この鈴木氏の判断は、いまでは正解だったと断言できますが、20年前の当時は、鈴木氏の横暴と考えていた人もいたのではないかと、私は想像しています。それくらい、経営者にとって、決断力や意思の強さ、先見性の高さはとても重要だということを、小倉さんの記事を読んで感じました。
2022/2/4 No.1878