鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

リスクをとらない会社は衰退する

[要旨]

アイリスオーヤマの事実上の創業者の大山さんは、果敢にリスクに挑むことが必要と述べておられ、また、そのことは、多くの方も理解しています。しかし、実際に、失敗を肯定的に受け止めるには、ある程度の精神力の強さが求められることから、経営者の中には、失敗を恐れ、果敢に事業に臨むことができない人もいるようです。


[本文]

アイリスオーヤマの会長の大山健太郎さんのご著書、「アイリスオーヤマの経営理念大山健太郎私の履歴書」を読みました。同社は、2021年8月期のグループ売上高が、約2,083億円と、コロナ禍にあっても、業績を向上させています。そして、同書を読んだ結果、業績が向上する要因の大きな部分は、やはり、経営者が経営にどのように臨んでいるかということにかかっているということを、あらためて確信しました。そのひとつは、「リスクをとらない会社は衰退する」という大山さんの指摘です。

同書の中で、大山さんは、同社の失敗事例を2つ挙げています。ひとつは、ペットフード事業です。これについては、価格をライバル製品よりも2割程度高くしたことが、販売店から支持されなかったことが要因でした。もうひとつは、小売事業です。高級品と低価格品の中間を狙った家具をそろえた小売店を展開したものの、主力商品の着せ替えソファが、他社にすぐに模倣されたことなどから、顧客をつかむことができなかったようです。しかし、このような失敗を経た経験から、他の事業の成功につながっていることは言うまでもありません。

そして、このことは、多くの方が理解しているにもかかわらず、実際に、失敗を肯定的に受け止める経営者はあまり多くないようです。そのひとつの例が、みずほ銀行と言えるでしょう。そうはいっても、実際の事業現場で、部下に失敗の責任を問わず、経営者だけが責めを負うということは、相当の精神力がないとできないということも理解できます。そういう面で経営者は損な役回りなのかもしれませんが、だからこそ、経営者には、器量の大きさが問われるのでしょう。

2021/12/9 No.1821

f:id:rokkakuakio:20211208223503j:plain