鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

心理的柔軟性

[要旨]

組織の心理的安全性を高めるには、リーダーが、心理的柔軟性を高める必要があります。具体的には、「正しいことではなく、役に立つことができるリーダー」になることであり、これは、いわゆる、器を大きくするということと言えるでしょう。


[本文]

前回、石井遼介さんの心理的安全性に関する記事を引用し、業績を高めるためには、心理的安全性も高める必要があるということを述べました。さらに、その記事には、心理的安全性を高めるために、リーダーはどうすればよいのかということが書かれていました。石井さんによれば、「チームの心理的安全性は、特にリーダーの『心理的柔軟性』によって醸成される」そうです。

心理的柔軟性とは、「『現実に対してオープン』で、『マインドフルに集中』しており、『行動にエンゲージしている』状態であると」ということだそうです。具体的には、「『現実に対してオープンである』とは、思考や感情と現実を切り分けること、『マインドフルに集中している』とは、心ここにあらずの状態ではないということ、『行動にエンゲージしている』とは、メンバー個々人に合った役割をアサインできている」ということだそうです。

このことから、「心理的柔軟性の高いリーダーは、『正しいことではなく、役に立つことができる』リーダー」だということです。例えば、プライベートでつらいことがあり、落ち込んでいる部下に対し、「仕事は仕事なのだから、プライベートがどうであれ、給料分働くべきだ」と正論を言うのではなく、「部下や関わる人の望ましい行動を増やし、望ましくない行動を減らす、さまざまなアプローチ」をするべきだということです。

そのアプローチとは、石井さんによれば、「ネガティブなことであっても率直に話す」、「困ったときに助け合う」、「挑戦し、失敗も含めて受け入れる」、「新しい視点や才能・個性を歓迎する」という、4つののカテゴリーに収斂されるそうです。ここまで、石井さんの研究を引用して来ましたが、この石井さんのご指摘は、特段、意外なことではないと感じる方が多いのではないかと思います。

私も、石井さんほど細かく研究していませんが、石井さんのいう心理的柔軟性のあるリーダーとは、一般的に、器が大きい人、懐が深い人と言われている人のことだと思います。ところが、繰り返しになりますが、この器を大きくすることは、頭では分かっていても、実際にはなかなかできないことです。私も、思っているだけで、行動がなかなかともなわない人のうちのひとりですが、石井さんの記事を読んでみて、「リーダーは理屈ではない」ということを、改めて認識しました。

2021/11/29 No.1811

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