鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

日本銀行のもつ国債はGDPと同じ

[要旨]

令和3年3月の日本銀行の持つ国債残高は532兆円で、日本のGDPに匹敵する金額です。これだけの国債を引き受けておきながら、日本はデフレにならないことから、政府はもっと国債を発行し、コロナ禍に苦しんでいる会社の救済に充てることが妥当です。


[本文]

先日、日本銀行が、令和3年3月31日期の決算を公表しました。日本銀行の資産は、714兆円で、前年比111兆円増、増加率は18%です。ちなみに、日本の令和2年度のGDPは539兆円なので、日本銀行の資産はそれよりも約3割多いということです。もうひとつ注目したい点は、資産のうちの国債の額は532兆円であり、構成比では74%になっているということです。さらに、3月時点の政府の国債発行額は、1,216兆円なので、国債の44%は日本銀行が引き受けているということです。

では、これらの情報から、どのようなことがわかるでしょうか?ひとつは、日本銀行は、単に、政府国債を引き受けて、現金(預金)を市中に回すことが最大の役割になっているということです。ふたつめは、日本銀行は、日本のGDPに匹敵する金額の日本国債を引き受けておきながら、インフレになるどころか、デフレからなかなか脱却できないでいるということです。

では、なぜ、政府がこれほど国債を発行しても、インフレにならないかというと、国債を買っている投資家は、政府が国債を返済する能力があると考えているからです。よく、「国民一人当たりの国債残高は、987万円」と報道されたりしますが、そのうちの44%は日本銀行が引き受けているので、実質的な国債発行額は684兆円です。

そして、それは、返済可能と判断されている、すなわち、それを上回る資産や、将来の税収があるということです。こう考えれば、「政府は税収不足」などと言わずに、もっと国債を発行し、コロナ禍で困っている人の救済に使うべきだと思います。そして、本当にインフレになってきたら、日本銀行の物価目標の2%も達成することができ、一石二鳥になると思います。

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