鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

指差喚呼

「安全」は見えるか?という問いには

見えないと答える人が多いと思います。


もちろん、安全は見えるものではあり

ません。


ただ、私は、鉄道会社で働く駅員さんや

運転士さんが、指差喚呼(しさかんこ)を

しているところを見ると、「安心して

電車に乗ることができる」と感じます。


とはいえ、鉄道会社の方は、そのような

ことを意識しているわけではないとは思い

ますが、だからこそ、利用者としては

なおさら安心できるものと思います。


話をまとめると、指差喚呼によって、

鉄道の安全が目に見えるものとなって

いると私は考えています。


他の例としては、ある山奥にある旅館は、

宿泊客を5回見送るときいたことがあり

ます。


その旅館は、山奥にあることから、その

旅館までの道路が蛇行しているそうです。


だから、旅館の従業員の方たちが、

宿泊者を見送る時は、まず、旅館の前で

バスに乗った宿泊者を見送り、次に、

バスが曲がりくねった道路を走っている

間に、道路をショートカットして斜面を

まっすぐに降りて、そこへバスが走って

くるところで、また見送るということを

5回繰り返すそうです。


よく、宿泊者が見えなくなるまで見送る

ということは聴きますが、5回見送られた

宿泊者は、きっと印象に残るでしょう。


これも、旅館で働く人たちの気持ちを

目に見える方法で表す例だと思います。


また、意外だったのは、寺院で行われる

法要についても、このような考え方で

行われているそうです。


これは、山形県の寺院の住職の方に

聴いたのですが、仏教は本来は人の

心がどうすれば穏やかになるかという

ことを究明することが目的であり、

寺院は、それを悩んでいる人に説く

場所であるということです。


でも、寺院で究明している内容は難解で

あり、一般の人には伝えることが難しい。


だから、「寺院の僧侶の人たちが、自分の

ために修行をしてくれている」という

ことを、檀信徒の方たちに納得してもらう

方法として、法要を開き、それを見て

もらっているということでした。


ここまで3つの例をあげましたが、目に

見えるようにすることが難しい、形のない

ものを見えるようにするという例は、

他にもまだまだあるかもしれません。


サービス業の方で、自社のサービスの

良さをなかなかアピールできないと悩んで

いる方は、それを目に見える方法を

見つけることができれば、その悩みが

きっと解決できるでしょう。

 

 

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コミュニケーションの負担

3月に出版する本の原稿が、残り約20

ページとなり、編集者の方から「13日

までに、残りの原稿をすべて送って

ください」と、最後通告を受けたところで

ふっと思い出したことがあります。


それは、その編集者さんと最後にお会い

したのはいつだろうということです。


思い出してみると、前回お会いしたのは、

前回出版した本ができあがり、それを

受け取りに出版社へ行った時以来でした。


その後は、「また、本を書いて欲しい

ので、書けそうな内容で企画書を提出

して欲しい」という電子メールが届き、

何度かやり取りをしてGOサインが

出たため、執筆を開始したという

次第です。


ということは、今度の新刊は、編集者の

方とお会いすることなく、書いている

ということです。


私の方は、それで不都合はないのですが、

出版社とすれば、1冊の本を出すという

のは、500万円以上の投資をすると

いうことでもあるので、そのような投資の

決断が、電子メールだけで決まったという

ことに、改めてありがたさを感じました。


今回の記事の結論は、組織にとって

コミュニケーションはとても大切なの

ですが、その負担が少なくてすむと、

ビジネスを加速させることになると

いうことです。


恐らく、多くの中小企業の経営者の方は、

従業員の方とのコミュニケーションの

確保に気をつかっていると思います。


そして、それは、経営者にとって、避ける

ことのできない役割だと思っています。


しかし、社長の考え方というものが

従業員の頭の中に染み込めば、あまり

言葉にしなくても社長の意思が伝わる

ようになります。


いわゆる、マニュアルの要らなくなる

状態で、このような動きができるように

なっている状態を「価値前提」といい

ます。


ファーストリテイリングユニクロ)の

社長の柳井正さんが「マニュアルは

従業員をバカにする」とお話しされて

いるのも、このようなことだと思います。


中小企業の経営者の方は、どうしても

今月、今年の売上を得ることに目が

行きがちですが、時間がかかっても、

こういった価値前提の動きができる

ことを目指すことの重要性が年々

高くなっていると私は思っています。

 

 

 

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ものではなくことを売る

先日、知人の経営者の方とお話しして

いたのですが、顧問税理士の方から、

期待していたほど助言をもらえない

というお話を聞きました。


これには、お互いの言い分があると思い

ますが、利用者の方から見れば、その

ような印象を持たれてしまうのでしょう。


これには、私には思い当たる節があって、

新しく契約を結ぶときは、いろいろな

ことができると少し誇張して説明する

ものの、その後、契約すると、当初の

熱心さはすぐに冷めてしまい、前述の

ような印象になってしまうのでしょう。


念のために、お断りしておくと、この

ような例は、税理士の方すべてではなく、

一部の方だと私は感じています。


また、税理士の方に限らず、他の事業に

おいても同様なことが起きていると

思っています。


私自身、10年ほど営業マンをして

いましたが、契約が欲しいあまり、

無理なことまでできると言ってしまうと、

あとあと苦しくなり、そして、できない

ことをできると言ってしまうと、その後、

まったく信用されなくなるという経験を

しています。


だから、私も今は、できることしか

言わないし、逆に、自分が売り込まれる

ときは、できそうにもないことを言う

人は信用しないようにしています。


話を戻すと、このようなことは、これも

私が述べるまでもなく、多くの方が理解

されているとは思うのですが、実際には

よく起きていると思われます。


だからといって、この記事でそういう

状況がなくなるとは思いませんが、

ひとつの改善のヒントを書きたいと

思います。


これも、すでに多くの方が理解している

ことですが、既存の顧客を大切にする

ということです。


そうすれば、前述のような、初めは

調子のいいことばかり言っていたのに、

だんだんぞんざいになっていくという

ことが言われなくなります。


そして、そういう会社は、既存の顧客が

新たな顧客を紹介してくれるように

なります。


これを実践して業績をあげている会社の

例が、町田市にある「でんかのヤマグチ」

という家電店です。

 

ヤマグチさんでは、「冷蔵庫が壊れた」

という顧客からの電話で、「どのメーカー

ですか」ということもきくことなく、

その家庭に駆けつけ、すぐに修理を

するそうです。


既存顧客のリストが整備されているので、

改めてきく必要はなく、だからこそ、

顧客はヤマグチさん以外は利用しない

そうです。


しかも、大手家電店のように、値引きも

しなくても家電を買うそうです。


このような例も、多くの方が知っていて、

しかもすばらしいと思いつつ、なかなか

実践していません。


それは、実は、難しい商法でもあるから

でしょう。


結局、ヤマグチさんのような会社は、

家電品が商品ではなく、サービスが

商品だからです。


でも、そのサービスを提供できるような

体制整備や人材育成が一朝一夕には

できないから、よい商法と分かっていても

実際に実践する会社は少ないのでしょう。


このような状況であるにも関わらず、

中小企業が大手と同じ商法である、安売り

合戦を始めたら、最初から勝てないことが

分かっていることを始めるということに

なります。


すべての中小企業にあてはまるわけでは

ありませんが、勝てる方法があるのに

実践を避けているという例は意外に多いと

私は考えています。

 

 

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信用保証協会と地元一番手銀行

今回は、信用保証協会の特徴について

書きます。


とはいっても、本に書いてあるような

ことではなく、私が銀行勤務時、および、

コンサルタントとして、融資申請の

お手伝いをする中で得られたことに

ついて書きます。


ただし、内容は、当事者である信用保証

協会も、銀行も直接的には肯定ないと

思いますので、その点はあらかじめ

ご了承ください。


ひとつめは、信用保証協会は、銀行に

依存的な面があるということです。


信用保証協会は、一部の例外を除き、

1つの県に1つしかなく、また、

地元の協会がいやだからといって、

一部の例外を除き、隣の県の信用保証

協会に保証を依頼することができない

ので、結果として、独占的に保証事業を

行っています。


確かに、このような点は、保証を依頼

する側から見ると、強いと言えるで

しょう。


でも、その逆を言えば、あまり自由に

できることも少ないということです。


株式会社のように、利益をたくさん

得たいと考えても、広告を出したり、

営業活動をして保証の依頼者を募る

ということはできません。


地元の銀行に、なるべく多くの会社に

保証の申し込みを薦めて欲しいと依頼

するに留まります。


その結果、ある程度、業況の良い

会社には、一般的な保証限度を超えて

保証をすることがあります。


保証限度とは、中小企業信用保険の

保険限度額のことを指します。


保証協会は、中小企業の融資を保証

すると、その保証に保険をつけます。


その保険が中小企業信用保険で、

保険を引き受けているのは、

日本政策金融公庫(事業統合前の

中小企業信用保険公庫)です。


すなわち、業況がよければ、中小

信用保険をつけずに、保証をする

ということがあります。


では、ここまで書いてきた内容が、

融資を受ける会社とどういう関わりが

あるのかということですが、それは、

信用保証協会が最も頼りにしている

地元一番手の銀行を通して信用保証を

依頼すると、保証の承認が得やすい

傾向があるということです。


ただ、東京都や大阪府など、信用保証

協会の規模が大きく、独立性が高い

協会は、このようなことはできない

かもしれません。


とはいえ、業況が少し芳しくなく、融資を

受けられる自信がないという場合は、

地元の一番手銀行から信用保証協会に

保証を申し込むということが得策と

言えます。


そういった面では、メインバンクとは

しないまでも、地元一番手銀行との融資

取引をしておくことをお薦めします。


なお、保証の審査は、基本的には、会社の

業況が大切なので、もともと融資を受ける

ことが難しそうな会社が、地元一番手

銀行を通したからといって、保証を受ける

ことができるようになるということでは

ありませんので、ご注意ください。

 

 

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歯みがき粉のふた

以前、作家の本田健さんのセミナーで

本田さんが、「知人の女性で、夫が、

歯みがき粉のチューブのふたを閉めない

ことが原因で、離婚した人がいた」と

お話ししていました。


もしろん、本当の離婚の原因は、

夫婦の間で、がまんできないことが

たくさんあり、たまたま、歯みがき粉の

ふたを閉めなかったことが引きがねに

なって、妻が、離婚の決断をしたと

いうことだと思います。


夫婦の間のことは、個別のことですので、

これがよいかどうかは述べることは

できませんが、世の中には、なかなか

がまんできないことがたくさんあると

思います。


特に、会社の経営者の方は、毎日、

がまんを強いられていることでしょう。


社長という大きな権限を持っている

にもかかわらず、会社の中で最も

意見を述べることができない立場で

あり、最も大きながまんをしなければ

ならない立場でしょう。


これを言いかえれば、経営者の方は、

どれくらいがまんできるかということが、

経営者としての巧緻として現れてくるの

かもしれません。


ところで、米国の経営者であり、

「経営者の役割」の著者のバーナードは、

その著書の中で「無関心圏」という

考え方を示しています。


厳密には、無関心圏は、上司から受けた

命令のうち、疑義なく受け入れることが

できる範囲のことであり、経営者は、

従業員の無関心圏を広げるよう努める

ことが大切だと、バーナードは説いて

います。


バーナードの述べている本来の無関心圏

とは意味が少し違ってきますが、経営者に

ついても、この無関心圏を広げることは

大切だと、私は思っています。


私は、そのひとつの方法は習慣づけだと

考えています。


その例として、鍵山秀三郎さんは、毎日

トイレ掃除をした結果、精神力が強く

なりました。


トイレ掃除と精神力の因果関係は、私は

明確にできませんが、毎日、人がやりた

がらないことを続けるということが

何とも感じなくなるということが、

精神力を強くしていくのではないかと

思います。

 

風潮が強いようですが、即効性のある

ものは、やはり脆いものでしかないで

しょう。

 

 

 

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変化とメリット

私は、かつて、銀行の本社部門で、融資に

関する事務を所管する部署で働いていたの

ですが、当時は、融資稟議書を電子化する

ことを検討していた段階でした。


そこで、すでに電子稟議書を採用している

銀行の職員の方が、電子稟議書について

セミナーが開かれるということで、それを

聴きに行ったことがあります。


セミナーでは、電子稟議書になっても、

従来の紙の稟議書と同じイメージで

パソコンのモニターで見られるように

したとの説明がありました。


このような配慮は、電子稟議書を開発した

銀行職員の方も、あまり積極的では

なかったようです。


私もこのようなことはすべきではないと

思います。


でも、その銀行の融資審査部の人たちは、

長い間、紙の稟議書を見ることに慣れて

いて、それを電子化したときに、

フォーマットを変えられてしまうことに、

抵抗をしたようです。


恐らく、融資稟議書を電子化した時に、

フォーマットを変えないことが、どうして

問題なのかと考える方もいらっしゃると

思います。


紙の融資稟議書のフォーマットは、紙を

使うことを前提に最適化されているもの

です。


それを、そのままのイメージで、電子

稟議書にあてはめてしまうと、電子

稟議書で最適化されるフォーマットに

なっているとは限りません。


簡単な例で言えは、紙のフォーマットを

維持することを優先したために、電子

稟議では1ページで表示できるものを、

2ページで表示しなければななくなった

かもしれません。


ここまで電子稟議書を例として挙げ

ましたが、世の中には、変更があると

苦情が出ることがしばしばあります。


私も、仕事でMicrosoftさんの

WordやExcelをよく使いますが、

仕様変更があるたびに、「使いにくく

なってしまった」と感じてしまうことが

あります。


でも、「変更したのには、それなりの

理由がある。変更によって一時的には

使いにくくなるが、それを上回る

便利さが得られるはずだ」と考え、

早く新しい操作方法に慣れるように

しています。


この、「変わること」というのは、

間違いなく負担となります。


問題なのは、変化にともなう負担が、

その負担以上のメリットにつながって

いるかどうかということだと思います。


規則や仕様の変更の中には、無意味な

変更もあると思います。


しかし、多くの場合は、よりよくなる

ことを目指して変更が行われている

ものと私は思います。


変更は、負担になるからということで

否定的に評価するのではなく、利点が

あるかどうかで評価すべきと、私は

考えています。


むしろ、変化を繰り返すことが、自分も

会社もより強くなるでしょう。

 

 

 

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第4次産業革命

私が制作しているポッドキャスト番組に、

ただいま、中小企業診断士で、IT

コーディネータでもある、神谷俊彦先生に

ご出演いただいています。

 

神谷先生には、番組のなかで、

神谷先生の新著「図解でわかるIoT

ビジネスいちばん最初に読む本」

ついてお話しいただいています。


その中で、第4次産業革命について

お話しいただきました。


現在は、ひとつの製品について大量生産が

行われ、この大量生産においては相当の

効率化が行われています。


でも、IoTとAIが組み合わされる

ことで、少量の製品についても相当の

効率化が行われるようになります。


これが第4次産業革命と言われています。


現在も、マクドナルド、ユニクロ

ニトリなどで、このような多品種

少量生産の効率化は始まっていますが、

IoTとAIによって、それがさらに

効率化されるということです。


話題が大きくなりましたが、今回の

結論は、中小企業が事業を始めようと

する場合は、小ロット製品にも対抗

できる製品でなければ、競争に勝てなく

なるようになるということです。


これも、多くの方が「それは分かって

いる」とお感じになると思います。


しかしながら、中小企業の経営者の方の

中には、いまだに安売りで勝負しようと

したり、大企業の製品と同じ製品を製造

しようと考えている方がいらっしゃい

ます。


情報技術の進展は、「人でなければでき

ない仕事」をどんどん狭めています。


ですから、これから事業を始めようと

するときは、機械や情報技術には

できない部分で勝負しなければなり

ません。


このように書くと、中小企業の先行きは

暗いように感じてしまいますが、情報

技術に勝つ方法は無数にあります。


それはどんな方法かということを知り

たい方は、こちらのお問い合わせ

フォームからお問い合わせください。


http://yuushi-zaimu.net/contact/

 

 

 

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