鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

会計が苦手な人は参謀と組む

私は、ビジネス関連の書籍を多く出版して

いる、ダイヤモンド社メールマガジン

登録して読んでいます。


そのメールマガジンには、会計をやさしく

解説する記事や、会計の入門書を紹介する

記事が書かれていることがあるのですが、

そのような会計に関する記事がずっと配信

されているということに気づきました。


解説記事や入門書の紹介は、例えば、情報

技術など、日進月歩で新たな仕組みやサー

ビスが開発され、それに関する知識を逐次

紹介するのであれば、頻繁にメールマガジ

ンに掲載されることは当然です。


しかし、制度改正以外であれば、会計には

新しいトピックはないのに、ずっと解説記

事や入門書の紹介が掲載されているという

のは、不思議に思えます。


そこで、そのようなことが起きている理由

について考えてみたのですが、私は、それ

は2つあると思っています。


ひとつは、会計の解説記事や入門書を書き

たいと思う専門家がたくさんいるというこ

とです。


そういう私も、会計に関する入門書を2つ

出版しています。


会計の入門書を出版する前は、「会計の専

門家として、広く認知されたい」という目

的があったので、とにかく出版の実績をつ

くろうとしていました。


でも、出版した後に、冷静に振り返って見

れば、私と同じようなことを考えている人

がたくさんいて、書店も会計の入門書であ

ふれている状況を見れば、会計の入門書を

出版したことは、あまり賢明ではなかった

と反省しています。


話をもどすと、(私を含めて)会計の専門

家(と、自認している人)がたくさんいる

ことによって、会計に関する記事や書籍の

供給が多いのではないかと思います。


ふたつめの理由は、会計を苦手とするビジ

ネスパーソンは、依然として多いというこ

とだと思います。


これは、私がコンサルティングを行って来

た経験からも感じることです。


ビジネスパーソンとしては優秀でも、会計

が得意ではないという方は珍しくありませ

ん。


中小企業診断士試験にも、試験科目に財務

がありますが、この科目は、平均点をとる

人が最も多いのではなく、財務を得意とす

る集団と、財務を苦手とする集団のふたつ

の集団に分かれると言われており、得手不

得手がはっきり分かれているそうです。


それくらい、会計は、向き不向きが分かれ

る分野なのでしょう。


ここまでが前置きなのですが、私が中小企

業をコンサルティングをしていて感じるこ

とは、もし、会計が苦手な方が経営者だっ

た場合、事業は家業としての範囲までしか

成長しないということです。


事業が拡大するに連れて、事業は組織的な

活動の性格が高まってきますが、経営者が

会計を理解できなければ、的確な指示がで

きないので、事業も行き詰まってしまいま

す。


別の書き方をすれば、会社がどんぶり勘定

のままでは、事業を拡大しようとすると、

失敗してしまうということです。


でも、会計が得意でない経営者の方の経営

する会社でも、事業規模が大きな会社もあ

ります。


そういう会社は、しっかりとした経営参謀

がいます。


経営参謀の代表例は、本田技研工業の元副

社長の藤沢武夫さんです。


藤沢さんは、社外からはあまり目立たない

存在でしたが、同社の財務・営業を取り仕

切って本田宗一郎さんを支えていたことは

広く知られています。


とはいえ、中小企業では、自社に藤沢さん

のような参謀を迎えようとしても、直ちに

それを実現することは難しいでしょう。


したがって、これは、自社で人材を育成す

るか、時間をかけて参謀を探すかのどちら

かの活動を、長期的な課題として取り組ま

なければならないと思います。


繰り返しになりますが、少なくとも、経営

者自身が会計を学ぶか、会計を得意とする

参謀がいるかのどちらかでなければ、会社

の健全な発展は望めないでしょう。

 

 

 

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